コストの全体像

倉庫は賃料だけではありません。

  • 賃料・共益費
  • 光熱費
  • 店舗との往復の運搬費と人件費
  • 棚卸にかかる時間
  • 保管中の劣化・破損
  • 探す時間(何がどこにあるか分からない)

最後の2つは金額に見えませんが、確実にコストです。倉庫の在庫は「見えない在庫」になりやすいのが最大の問題です。

倉庫にあるものを確認する

まず、倉庫の中身を日齢別に集計してください。多くの場合、次が判明します。

  • 日齢が極端に長いものが大半を占めている
  • 存在を忘れられている在庫がある
  • 帳簿と現物が合っていない

倉庫は「売れないものを置く場所」になりがちです。ここを直視してください。

在庫を減らせば固定費が下がる

他の固定費と違い、倉庫コストは在庫量に連動して減らせます。

  1. 倉庫の在庫を日齢別に集計する
  2. 日齢の長いものから、業者間市場・まとめ売りで処理する
  3. 必要な面積が減ったら、契約を見直す(縮小・解約)

在庫圧縮の効果が、最も直接的に現れる領域です。

外部倉庫と自社倉庫

外部倉庫自社倉庫
コスト変動させやすい固定化する
縮小のしやすさ契約次第で可能難しい
アクセス距離による近い
承継時契約の引き継ぎ確認が必要資産として評価される

在庫量が変動する事業では、縮小できる形にしておくほうが安全です。

EC倉庫(3PL)という選択

EC販売の比率が高いなら、保管と発送を外部に委託する方法があります。

  • 保管料と発送手数料が変動費になる
  • 発送作業の人件費が減る
  • ただし、個品ごとの状態確認が難しくなる
  • 在庫データの連携が必須

削減の手順

  1. 倉庫の在庫を、日齢別・カテゴリ別に集計する
  2. 年間の倉庫コスト総額を出す
  3. 倉庫在庫が生んでいる粗利と比べる
  4. 日齢の長いものから処理する
  5. 面積が減ったら契約を見直す

3番目で、倉庫コストのほうが大きいという結果になることがあります。その場合は、倉庫をやめる判断もあり得ます。

倉庫の中身を分類する

コストを下げる前に、何が保管されているかを把握してください。

  1. 販売用の在庫 — 日齢を確認します。長いものが多ければ、倉庫の問題ではなく在庫の問題です
  2. 季節待ちの在庫 — 保管費用と、次の季節の見込み売価を比べます
  3. 修理・部品取り待ち — 期限を決めていないと、永久に残ります
  4. 什器・備品 — 使う予定のないものが、場所を占めていることがあります
  5. 書類・記録 — 保存義務のあるものと、そうでないものを分けます
  6. 用途不明のもの — 必ず一定量あります

6番目の量が、倉庫の使い方を物語ります。誰も中身を把握していない箱が積まれている状態なら、まず開封して分類する作業から始めてください。この作業だけで、必要な面積が変わることがあります。

面積あたりのコストを意識する

倉庫費用を月額の総額でしか見ていないと、判断ができません。

  • 1平方メートルあたりの月額を出す — 賃料、共益費、光熱費、保険を含めます
  • 1点あたりの保管費用に換算する — 保管点数で割ります
  • 商品の粗利と比べる — 保管費が粗利を食う商材が見えます
  • 保管日数を掛ける — 半年置けば、費用は6か月分です
  • カテゴリ別に出す — 大型商材は、面積あたりの負担が大きくなります

この計算をすると、値下げの判断が変わります。あと3か月置いて定価で売るより、いま値下げして売ったほうが有利な場合があります。保管費用を意識していないと、この比較ができません。カテゴリごとの1点あたり月間保管費を、一度出してみてください。

外部倉庫を使う場合の確認事項

自社倉庫から外部への切り替えを検討する際は、費用以外も確認してください。

  • 入出庫の手間と時間 — 必要なときにすぐ出せないと、販売機会を失います
  • 入出庫の費用 — 保管料が安くても、作業料で逆転することがあります
  • 在庫の確認方法 — 現物を見に行けるか、システムで確認できるか
  • 保険の適用範囲 — 破損・盗難時の扱いを確認します
  • 古物営業法上の営業所の扱い — 保管場所の位置づけについて確認が必要です
  • 契約期間と解約条件

5番目は所轄の警察署に確認してください。保管のみを行う場所の扱いは、営業の形態によって判断が分かれます。届出の要否を含め、契約の前に確認しておくことをお勧めします。あとから指摘を受けると、契約の見直しが必要になります。

まとめ

倉庫は在庫量に連動して減らせる固定費です。まず中身を日齢別に集計してください。

年間の倉庫コストと、そこから生まれる粗利を比べてみましょう。