洗い出す契約

区分契約
不動産店舗・倉庫の賃貸借、駐車場
設備什器・システム・車両のリース
販売ECモール出店、決済代行
仕入れ法人との継続取引、市場の会員規約
その他保険、通信、清掃・警備、フランチャイズ

各契約で見る三点

  1. 名義:法人か、店主個人か
  2. 承諾条項:支配権が変わる場合に相手の承諾が要るか
  3. 解除条項:代表交代が解除事由になっていないか

三点目は見落とされがちですが、後で問題になります。

賃貸借契約の注意

  • 連帯保証人が前店主のままでないか
  • 更新の時期と条件
  • 用途の制限(古物の取扱いが認められているか)
  • 原状回復の範囲
  • 転貸・名義変更の可否

EC・オンラインの規約

モールの出店契約やアカウントは、規約上そのままでは引き継げないことがあります。評価やレビューの実績が資産になっている場合は特に、早めの確認が要ります。

抜けやすい契約

  1. ソフトウェアの利用契約(在庫管理システムなど)
  2. ドメインとサーバーの契約
  3. 電子マネー・キャッシュレス決済の加盟店契約
  4. 廃棄物の処理委託
  5. 近隣との覚書(駐車・搬入など)

洗い出しの手順

契約は、思っている以上に散らばっています。

  1. 保管場所をすべて確認する — 事務所、自宅、金庫
  2. 口座の引き落としから逆算する — 契約書が見つからない支払いを特定します
  3. 一覧表を作る — 相手方、内容、期間、金額、更新時期
  4. 個人保証の有無を記入する
  5. 承諾・通知の要否を記入する
  6. 電子的に締結した契約も含める

2番目を必ず行ってください。契約書が見当たらない継続的な支払いがあれば、内容を特定する必要があります。買収監査で「内容不明の支払い」が見つかると、他にも把握されていない債務があるのではないかと疑われます。

各契約で確認する三点

一覧を作ったら、次の観点で確認してください。

  • 名義 — 法人か、経営者個人か
  • 承継の可否 — 相手方の承諾が必要かどうか
  • 経営権の変動に関する条項 — 株式譲渡でも影響する場合があります
  • 残存期間と更新の条件
  • 中途解約の条件
  • 個人保証の有無

1番目が個人名義の契約は、優先して整理してください。経営者個人の名義で結ばれた契約は、法人の資産として扱えません。承継の前に、法人名義への変更を検討してください。

オンラインの規約を確認する

書面の契約だけでなく、規約への同意も契約です。

  • ECモールの利用規約 — 承継や名義変更の可否です
  • 決済代行の契約 — 再審査が必要になる場合があります
  • クラウドサービスの契約 — 在庫管理、会計、勤怠
  • ドメインとサーバーの契約
  • 広告・集客のアカウント
  • 名義と支払い方法を確認する

6番目を確認してください。経営者個人のクレジットカードで支払っているサービスがあると、承継の際に一斉に止まります。支払い方法を法人名義に統一しておいてください。

整理の進め方

すべてを同時に変えるのは現実的ではありません。

  • 個人名義のものから着手する
  • 承諾が必要なものを特定する — 時間がかかります
  • 更新の機会に見直す
  • 不要な契約を解約する
  • 一覧を年1回更新する

4番目の点検で、固定費が減ることがあります。使わなくなったサービスの契約が自動更新で続いている例は珍しくありません。洗い出しの作業自体が、コストの見直しにつながります。承継の準備であると同時に、日常の経営改善でもあります。

まとめ

契約は名義・承諾・解除の三点で確認してください。

一覧表を作り、一つずつ潰すのが確実です。