洗い出す契約
| 区分 | 契約 |
|---|---|
| 不動産 | 店舗・倉庫の賃貸借、駐車場 |
| 設備 | 什器・システム・車両のリース |
| 販売 | ECモール出店、決済代行 |
| 仕入れ | 法人との継続取引、市場の会員規約 |
| その他 | 保険、通信、清掃・警備、フランチャイズ |
各契約で見る三点
- 名義:法人か、店主個人か
- 承諾条項:支配権が変わる場合に相手の承諾が要るか
- 解除条項:代表交代が解除事由になっていないか
三点目は見落とされがちですが、後で問題になります。
賃貸借契約の注意
- 連帯保証人が前店主のままでないか
- 更新の時期と条件
- 用途の制限(古物の取扱いが認められているか)
- 原状回復の範囲
- 転貸・名義変更の可否
EC・オンラインの規約
モールの出店契約やアカウントは、規約上そのままでは引き継げないことがあります。評価やレビューの実績が資産になっている場合は特に、早めの確認が要ります。
抜けやすい契約
- ソフトウェアの利用契約(在庫管理システムなど)
- ドメインとサーバーの契約
- 電子マネー・キャッシュレス決済の加盟店契約
- 廃棄物の処理委託
- 近隣との覚書(駐車・搬入など)
洗い出しの手順
契約は、思っている以上に散らばっています。
- 保管場所をすべて確認する — 事務所、自宅、金庫
- 口座の引き落としから逆算する — 契約書が見つからない支払いを特定します
- 一覧表を作る — 相手方、内容、期間、金額、更新時期
- 個人保証の有無を記入する
- 承諾・通知の要否を記入する
- 電子的に締結した契約も含める
2番目を必ず行ってください。契約書が見当たらない継続的な支払いがあれば、内容を特定する必要があります。買収監査で「内容不明の支払い」が見つかると、他にも把握されていない債務があるのではないかと疑われます。
各契約で確認する三点
一覧を作ったら、次の観点で確認してください。
- 名義 — 法人か、経営者個人か
- 承継の可否 — 相手方の承諾が必要かどうか
- 経営権の変動に関する条項 — 株式譲渡でも影響する場合があります
- 残存期間と更新の条件
- 中途解約の条件
- 個人保証の有無
1番目が個人名義の契約は、優先して整理してください。経営者個人の名義で結ばれた契約は、法人の資産として扱えません。承継の前に、法人名義への変更を検討してください。
オンラインの規約を確認する
書面の契約だけでなく、規約への同意も契約です。
- ECモールの利用規約 — 承継や名義変更の可否です
- 決済代行の契約 — 再審査が必要になる場合があります
- クラウドサービスの契約 — 在庫管理、会計、勤怠
- ドメインとサーバーの契約
- 広告・集客のアカウント
- 名義と支払い方法を確認する
6番目を確認してください。経営者個人のクレジットカードで支払っているサービスがあると、承継の際に一斉に止まります。支払い方法を法人名義に統一しておいてください。
整理の進め方
すべてを同時に変えるのは現実的ではありません。
- 個人名義のものから着手する
- 承諾が必要なものを特定する — 時間がかかります
- 更新の機会に見直す
- 不要な契約を解約する
- 一覧を年1回更新する
4番目の点検で、固定費が減ることがあります。使わなくなったサービスの契約が自動更新で続いている例は珍しくありません。洗い出しの作業自体が、コストの見直しにつながります。承継の準備であると同時に、日常の経営改善でもあります。
まとめ
契約は名義・承諾・解除の三点で確認してください。
一覧表を作り、一つずつ潰すのが確実です。