まず一覧にする
業務と担当者の対応表を作ってください。
| 業務 | 主担当 | 代われる人 |
|---|---|---|
| 査定(高額品) | ||
| 査定(一般) | ||
| 買取記録・本人確認 | ||
| EC出品 | ||
| 発送 | ||
| 仕入先・市場との取引 | ||
| シフト作成 | ||
| 経理・支払い | ||
| システム管理 |
「代われる人」が空欄の行が、リスクです。
リスクの大きさを測る
空欄の行について、次を考えてください。
- その人が1週間休んだら、何が止まるか
- 1か月休んだら、いくらの損失になるか
- 退職したら、どれくらいで代わりが育つか
金額で見ると、対策の優先順位が決まります。
リユース店で危ういのは
- 査定:止まれば仕入れが止まる。最優先
- 古物営業の管理者:法令上の要件
- 仕入先・市場との関係:個人の人間関係になっていることが多い
- システムの管理:アカウントとパスワードを1人しか知らない
- 経理・支払い:小規模店では経営者か配偶者に集中しがち
分散の進め方
一度にすべては無理です。影響の大きい順に。
- 査定:基準表を作り、段階的に任せる
- 管理者:候補を各店に2人以上育てる
- 取引先:担当を複数にする、契約を会社名義にする
- システム:管理者アカウントを複数人が把握する
- 経理:手順を文書化し、代われる人を作る
文書化が最低限の備え
代われる人をすぐには作れない場合でも、手順を文書にしておくことはできます。
- 業務の手順書
- 取引先の一覧と連絡先、取引条件
- システムのアカウント一覧(パスワードは別途、安全な方法で管理)
- 年間の定例業務のカレンダー
承継への効き方
兼務の一覧は、そのまま承継の課題リストになります。買収監査でも、業務の属人化は必ず確認されます。
「代われる人」の欄が埋まっている会社は、引き継ぎやすい会社です。
分散が進まない理由
一覧を作っても実際に分散が進まない店には、共通の原因があります。
- 本人が手放したがらない — 自分の存在価値と結びついている場合があります
- 教える時間が業務に入っていない — 引き継ぎは、通常業務の上に乗る負担です
- 受け手の候補がいない — 人数が足りていない状態です
- 手順が書かれていない — 口頭で伝えるしかないため、引き継ぎに時間がかかります
- 急ぎの理由がない — 平時は回っているため、後回しになります
1番目には、役割の再定義で応えてください。「その業務を手放しても、あなたの役割はなくならない」ことを、処遇と新しい担当を示して伝えます。2番目は、月に2時間でも引き継ぎの枠をシフトに書くことで動き出します。
経営者自身の兼務をどう外すか
最も兼務が多いのは、たいてい経営者本人です。ここが手つかずのまま承継はできません。
- 1週間、自分が何に何時間使ったかを記録する — 想像と実態はかなり違います
- 「自分でなくてもよい業務」に印をつける — 発注、シフト作成、EC出品、日常の査定などが該当しがちです
- 印をつけたものから、1つずつ渡す — 一度に渡すと現場が混乱します
- 渡した業務は、結果だけ月次で確認する — 途中で口を出すと、戻ってきます
- 残った業務を書き出す — これが後継者に渡す最終的な範囲であり、承継計画の中身になります
5番目まで進めて初めて、承継の議論ができます。渡せる業務を渡した後に残るものが、本当の意味での経営者の仕事です。
一覧を年1回は更新する
兼務の状態は、人の出入りで変わります。一度作った一覧は必ず古くなります。
- 更新の時期を決める — 決算後や期初など、毎年同じ時期に見直します
- 入退社があった直後にも見直す — 抜けた人の業務が、誰に寄っているかを確認します
- 「増えた兼務」に注目する — 気づかないうちに1人へ集中していることがあります
- 手順書の有無も同じ表で管理する — 一覧と文書化の進み具合を、1枚で見られるようにします
2番目のタイミングが最も危険です。退職者の業務は、正式な引き継ぎがないまま「とりあえず」で誰かが引き受け、そのまま固定化します。半年後には、その人しか分からない業務になっています。退職の連絡を受けた時点で、一覧を開いてください。
まとめ
まず業務と担当者の対応表を作り、「代われる人」の空欄を数えてください。
影響の大きい順に、基準の文書化と担当の複数化を進めましょう。