小規模でも書く意味
- 誰が何に責任を持つかが明確になる
- 1人に集中している業務が見える
- 空いている役割(誰もやっていないこと)が分かる
- 後継者に何を渡すべきかが整理される
- 買収監査で説明を求められる
書き方
役職名ではなく、機能で書いてください。
- 会社に必要な機能を列挙する(査定、仕入れ、販売、EC、記録・法令、経理、人事、システム)
- それぞれの主担当を書く
- 代われる人を書く
- 誰も担当していない機能に印をつける
リユース店で必要な機能
| 機能 | 主担当 | 代替者 |
|---|---|---|
| 査定(高額・真贋) | ||
| 査定(一般) | ||
| 仕入れ(市場・法人) | ||
| 販売・売場管理 | ||
| EC運営 | ||
| 記録・法令対応(管理者) | ||
| 在庫管理・棚卸 | ||
| 経理・資金 | ||
| 人事・シフト | ||
| システム管理 |
見えてくる課題
- 経営者の欄が多すぎる:最も多いパターン。承継の障害になります
- 代替者が空欄:属人化のリスク
- 誰も担当していない機能がある:法令対応、システム管理で多い
- 配偶者が複数の機能を担っている:家族経営で多い
家族経営の場合
配偶者や親族が、複数の機能を担っていることがよくあります。役割と報酬が対応していないことも。
- 担っている機能を、すべて書き出す
- それに見合う報酬になっているかを確認する
- 承継のとき、その機能を誰が引き継ぐかを決める
「妻が経理と店番をやっている」を組織図に書くと、承継の課題が見えます。
承継準備としての価値
組織図は、そのまま承継の課題リストになります。
- 経営者の欄を減らす(権限を移す)
- 代替者の空欄を埋める(育成する)
- 空いている機能に担当をつける
買収監査でも組織の説明を求められます。役割が整理されている会社は、引き継ぎやすい会社です。
書いたあとに決めること
図を描くこと自体が目的ではありません。描いて見えた空白を埋める作業が本体です。
- 空白の箱を洗い出す — 誰も担当していない機能が必ず見つかります
- 暫定でよいので担当を決める — 空白のまま置くと、いつまでも誰もやりません
- 1人に集中している箱に印をつける — 兼務のリスクが見える形です
- 決裁の線を書き入れる — いくらまで誰が決められるかを、図の上に書きます
- 不在時の代行者を書く — これがないと、休みのたびに止まります
5番目まで書いて、ようやく実用になります。組織図は平時のためではなく、誰かが不在のときに機能するために作るものです。代行者の欄が空白の箱があれば、そこが次に手を打つべき箇所です。
兼務をどう表すか
小規模な店では、1人が複数の箱に入ります。この表現を工夫すると実態が見えます。
- 人ではなく機能で箱を作る — 「山田さん」ではなく「買取・査定」と書きます
- 箱の中に担当者名を入れる — 同じ名前が何箇所に出るかで、兼務の程度が分かります
- 主担当と副担当を分けて書く — 副が空欄の箱が、リスクの所在です
- 時間配分の目安を添える — 「買取6割・EC4割」といった記載があると、実態に近づきます
1番目が最も重要です。人を起点に描くと、その人が抜けたときに図が成り立たなくなります。機能を起点に描けば、担当を入れ替えても図はそのまま使えます。承継の議論をするときも、機能単位の図があると「この機能を誰に渡すか」という具体的な話ができます。
毎年書き直す
一度描いて額に入れる資料ではありません。定期的に更新することで、変化が見えます。
- 年1回、同じ時期に描き直す — 決算後が区切りとして分かりやすい形です
- 前年の図と並べる — 何が変わったかが一目で分かります
- 空白が埋まったかを確認する — 前年に見つけた課題への進捗です
- 人が減った箱に注目する — 退職や配置換えで、リスクが増えていないかを見ます
- 経営者の名前が減ったかを見る — これが承継準備の進み具合そのものです
最後の点が、この作業を続ける最大の理由です。経営者の名前がいくつの箱に入っているか。その数が毎年減っていけば、承継は着実に進んでいます。減らないまま数年が過ぎているなら、渡す作業に時間を割く必要があります。数字で見えるため、判断を先送りしにくくなります。
まとめ
役職名ではなく機能で組織図を書き、主担当と代替者を埋めてください。空欄が課題です。
まず上の表を埋めてみましょう。経営者の欄がいくつあるかを数えてください。