小規模でも書く意味

  • 誰が何に責任を持つかが明確になる
  • 1人に集中している業務が見える
  • 空いている役割(誰もやっていないこと)が分かる
  • 後継者に何を渡すべきかが整理される
  • 買収監査で説明を求められる

書き方

役職名ではなく、機能で書いてください。

  1. 会社に必要な機能を列挙する(査定、仕入れ、販売、EC、記録・法令、経理、人事、システム)
  2. それぞれの主担当を書く
  3. 代われる人を書く
  4. 誰も担当していない機能に印をつける

リユース店で必要な機能

機能主担当代替者
査定(高額・真贋)
査定(一般)
仕入れ(市場・法人)
販売・売場管理
EC運営
記録・法令対応(管理者)
在庫管理・棚卸
経理・資金
人事・シフト
システム管理

見えてくる課題

  • 経営者の欄が多すぎる:最も多いパターン。承継の障害になります
  • 代替者が空欄:属人化のリスク
  • 誰も担当していない機能がある:法令対応、システム管理で多い
  • 配偶者が複数の機能を担っている:家族経営で多い

家族経営の場合

配偶者や親族が、複数の機能を担っていることがよくあります。役割と報酬が対応していないことも。

  • 担っている機能を、すべて書き出す
  • それに見合う報酬になっているかを確認する
  • 承継のとき、その機能を誰が引き継ぐかを決める

「妻が経理と店番をやっている」を組織図に書くと、承継の課題が見えます。

承継準備としての価値

組織図は、そのまま承継の課題リストになります。

  1. 経営者の欄を減らす(権限を移す)
  2. 代替者の空欄を埋める(育成する)
  3. 空いている機能に担当をつける

買収監査でも組織の説明を求められます。役割が整理されている会社は、引き継ぎやすい会社です。

書いたあとに決めること

図を描くこと自体が目的ではありません。描いて見えた空白を埋める作業が本体です。

  1. 空白の箱を洗い出す — 誰も担当していない機能が必ず見つかります
  2. 暫定でよいので担当を決める — 空白のまま置くと、いつまでも誰もやりません
  3. 1人に集中している箱に印をつける — 兼務のリスクが見える形です
  4. 決裁の線を書き入れる — いくらまで誰が決められるかを、図の上に書きます
  5. 不在時の代行者を書く — これがないと、休みのたびに止まります

5番目まで書いて、ようやく実用になります。組織図は平時のためではなく、誰かが不在のときに機能するために作るものです。代行者の欄が空白の箱があれば、そこが次に手を打つべき箇所です。

兼務をどう表すか

小規模な店では、1人が複数の箱に入ります。この表現を工夫すると実態が見えます。

  • 人ではなく機能で箱を作る — 「山田さん」ではなく「買取・査定」と書きます
  • 箱の中に担当者名を入れる — 同じ名前が何箇所に出るかで、兼務の程度が分かります
  • 主担当と副担当を分けて書く — 副が空欄の箱が、リスクの所在です
  • 時間配分の目安を添える — 「買取6割・EC4割」といった記載があると、実態に近づきます

1番目が最も重要です。人を起点に描くと、その人が抜けたときに図が成り立たなくなります。機能を起点に描けば、担当を入れ替えても図はそのまま使えます。承継の議論をするときも、機能単位の図があると「この機能を誰に渡すか」という具体的な話ができます。

毎年書き直す

一度描いて額に入れる資料ではありません。定期的に更新することで、変化が見えます。

  • 年1回、同じ時期に描き直す — 決算後が区切りとして分かりやすい形です
  • 前年の図と並べる — 何が変わったかが一目で分かります
  • 空白が埋まったかを確認する — 前年に見つけた課題への進捗です
  • 人が減った箱に注目する — 退職や配置換えで、リスクが増えていないかを見ます
  • 経営者の名前が減ったかを見る — これが承継準備の進み具合そのものです

最後の点が、この作業を続ける最大の理由です。経営者の名前がいくつの箱に入っているか。その数が毎年減っていけば、承継は着実に進んでいます。減らないまま数年が過ぎているなら、渡す作業に時間を割く必要があります。数字で見えるため、判断を先送りしにくくなります。

まとめ

役職名ではなく機能で組織図を書き、主担当と代替者を埋めてください。空欄が課題です。

まず上の表を埋めてみましょう。経営者の欄がいくつあるかを数えてください。