目的を1つに決める
会員制度でできることは複数ありますが、全部を狙うと中途半端になります。
- 買取のリピートを増やす
- 販売の来店頻度を上げる
- 顧客データを集めて分析する
- 連絡できる相手を増やす
リユース店で最も投資対効果が高いのは、1番目です。買取のリピートは、そのまま仕入れの安定につながります。
買取に効く設計
- 買取金額の上乗せ:会員は査定額に一定率を加算
- 回数に応じた優遇:一定回数以降は上乗せ率を上げる
- 紹介の特典:知人を紹介した場合の上乗せ
- 優先対応:査定の待ち時間を短縮、出張買取の優先枠
4番目は原資がかからず、効果があります。お金をかけない特典を先に考えてください。
ポイントの原資をどう見るか
買取額の上乗せは、そのまま原価の上昇です。原価率に織り込んで設計してください。
会員上乗せ分 < リピートによって削減できる広告費
この不等式が成り立つ範囲で設定します。広告経由の買取獲得コストが、上乗せ額の上限の目安になります。
販売側のポイント
販売にポイントを付ける場合、リユース品は一点物であることに注意してください。
- 「次回使えるポイント」は、次に欲しい品があるとは限らない
- むしろ「買取金額に使える」ほうが、リユース店らしい設計です
- 販売ポイントを買取の上乗せに使えるようにすると、循環が生まれます
個人情報の扱い
会員情報は個人情報です。次を整えてから始めてください。
- 利用目的を明示し、同意を得る
- 保管方法とアクセス権限を決める
- 退会時の削除手順を決める
- 本人確認の記録とは、目的が異なることを整理する
効果を測る
- 会員と非会員で、買取のリピート率を比べる
- 会員の1年あたり買取回数を追う
- 上乗せの総額と、削減できた広告費を比べる
- 登録者数ではなく、実際に使われた回数を見る
4番目が重要です。登録だけされて使われない制度は、コストだけがかかります。
登録してもらう場面を設計する
制度を作っても、登録が進まなければ意味がありません。
- 買取の手続き中に登録してもらう — 本人確認の情報を取得する場面と重ねられます
- 登録の利点を、その場で1つ伝える — 「次回から手続きが早くなります」など、具体的に
- 入力項目を絞る — 項目が多いほど、離脱します
- 紙とデジタルの両方を用意する — 顧客層によって、使いやすい形が違います
- 登録率を記録する — 買取件数に対する登録件数の比率を、担当者別に見ます
2番目の伝え方が登録率を左右します。「ポイントが貯まります」より、「次回は身分証の確認が簡単になります」のほうが、買取客には響きます。制度の利点ではなく、その顧客にとっての手間の削減として伝えてください。
個人情報の管理体制
会員情報を持つということは、管理責任を負うということです。
- 取得の目的を明示する — 利用目的を、登録時に伝えます
- 保管の方法を決める — 紙の保管場所、電子データのアクセス権限
- アクセスできる人を限定する — 全員が見られる状態は避けてください
- 保存期間を決める — 不要になった情報を、いつまで持つかです
- 持ち出しの禁止を明文化する — 退職時の取り扱いも含めます
- 漏えい時の対応手順を決めておく
古物営業法上の記録と、会員情報は分けて考えてください。前者は保存義務があり、後者は管理責任が生じます。制度設計の段階で、個人情報保護法上の取り扱いを専門家に確認しておくことをお勧めします。会員数が増えてからの整備は、負担が大きくなります。
制度が形骸化する前に見直す
作ったまま放置された会員制度は、コストだけが残ります。
- 年1回、稼働状況を見る — 会員数ではなく、直近1年に取引のあった会員数です
- ポイントの未使用残高を把握する — 会計上の負債として認識が必要な場合があります
- 効果を測る — 会員と非会員で、来店頻度や取引額に差があるか
- 差がなければ、設計を変える — 続けること自体を目的にしないでください
- やめる場合の手順を決めておく — 未使用ポイントの扱いが論点になります
2番目は会計と税務の論点を含みます。付与したポイントの残高が大きくなると、財務諸表への影響が生じる場合があります。制度の規模が拡大してきたら、顧問税理士に処理方法を確認してください。M&Aの局面でも、確認される項目です。
まとめ
目的は「買取のリピート」に絞ってください。優先対応など、原資のかからない特典から設計します。
まず自店の買取リピート率を出し、上乗せの上限を広告費から逆算してみてください。