何を持っているかを把握する
まず、自店が保有している個人情報を洗い出してください。
- 買取時の本人確認記録(氏名・住所・確認書類の控え)
- 古物台帳の相手方情報
- 販売時の配送先情報
- 会員・メンバーズカードの情報
- 問い合わせ・査定申込のフォーム記録
- 防犯カメラの映像
把握していないものは守れません。一覧を作るところから始めてください。
洗い出してみると、想像より多いことに気づかれるはずです。把握していないものは守れません。一覧を作り、それぞれの保管場所と見られる人を書き込んでください。
保管のルール
- 紙:鍵のかかる場所に保管し、誰が開けられるかを決める
- 電子:アクセス権限を設定し、必要な人だけが見られるようにする
- 持ち出し:出張買取での持ち出し方と、当日中の戻しを決める
- バックアップ:どこに、どう保管するか
小規模店で見落とされやすいのがアクセス権限です。全員が同じアカウントで全部見られる状態は、内部不正の温床にもなります。
アクセス権限の問題は、規模が小さい店ほど見落とされます。全員が同じアカウントで全部見られる状態は、万一情報が漏れたときに経緯を辿れなくなります。人ごとにアカウントを分けてください。
保存期間と廃棄
古物営業法にもとづく記録には保存義務があります。一方で、期間を過ぎたものを持ち続ける必要はありません。むしろ持ち続けるほどリスクが増えます。
次を決めてください。
- 保存期間(法令上の義務期間を確認する)
- 期間経過後の廃棄方法(シュレッダー、溶解、データの完全削除)
- 廃棄の記録(いつ、何を、誰が)
- 廃棄を行うタイミング(年1回など)
「念のため取っておく」という判断がリスクを増やします。期間が過ぎた記録を溜め続けている店が多くありますが、持っているだけで漏えいの対象が広がります。廃棄の時期を決めてください。
漏えいが起きたときの対応
手順を決めておかないと、初動が遅れます。
- 事実確認(何が、どれだけ、どう漏れたか)
- 被害拡大の防止(アカウント停止、回収)
- 所管の窓口への報告(要件を確認する)
- 対象者への連絡
- 原因究明と再発防止
報告の要否や期限は制度によって定められています。事前に確認しておいてください。
この手順は、起きる前に決めておかないと間に合いません。報告の要否や期限は制度によって定められているため、事前に確認して手順書に書き込んでおいてください。
従業員への周知
- 入社時に、扱う情報の性質を説明する
- 秘密保持の取り決めを書面で交わす
- 退職時に、アカウント権限を回収する手順を決める
- 私物のスマートフォンで顧客情報を撮影・保存しないルールを明示する
最後の項目は、実務では意外に多い問題です。明示的に禁止し、代替手段を用意してください。
最後の項目は、実務では意外に多い問題です。「お客様の連絡先を自分の携帯にメモしておく」といった行為が悪意なく行われます。明示的に禁止し、代替手段を用意してください。
廃業・譲渡のとき
廃業しても、保存義務のある記録はすぐには破棄できません。期間が経過するまで適切に保管し、その後に適切な方法で廃棄します。
事業譲渡で顧客情報を引き継ぐ場合は、その扱いを契約で明確にしてください。買収監査でも、情報管理の体制は確認の対象になります。
事業譲渡で顧客情報を引き継ぐ場合は、契約で扱いを明確にしてください。同意の範囲や通知の必要性についても確認が要ります。専門家に相談のうえ進めてください。
出張買取での持ち出しに注意する
個人情報の漏えいは、大がかりな事件よりも日常の持ち出しから起きます。出張買取では次の点に注意してください。
- 持ち出す情報を最小限にする — 訪問先の住所と連絡先だけで足りるなら、他の顧客情報は持って出ないでください
- 当日中に戻すルール — 車の中に書類を置いたままにしない。戻した記録を残す運用にすると徹底されます
- 私物のスマートフォンで撮影しない — 本人確認書類を自分の端末で撮る行為は悪意なく行われます。明示的に禁止し、会社の端末を用意してください
- 車内での紛失に備える — 鍵のかかるケースに入れる。持ち出しセットに含めてください
- 訪問先で他の顧客情報を見せない — 伝票の綴りをそのまま持って行くと、前のページが見える状態になります
とくに3番目と5番目は担当者に悪意がありません。禁止するだけでなく、代わりの手段を用意することが実効性につながります。
まとめ
保有している情報を一覧にし、保管場所とアクセス権限を決め、保存期間経過後は廃棄する。この3つが基本です。
まず、自店が持っている個人情報の一覧を作ってみてください。想像より多いはずです。
一覧づくりは半日で終わります。保有している情報、保管場所、見られる人、保存期間。この4項目を書き出すだけです。整理のしかたについてはご相談いただけます。