原価率は一律にできない
「買取は売価の◯%まで」と全社一律で決めている店がありますが、これは無理があります。カテゴリによって回転の速さも、値崩れのリスクも違うからです。
回転が速く相場が安定している商材なら高めに出せますし、回転が遅く相場が動く商材では抑えなければ資金が寝ます。上限はカテゴリごとに変えるべきものです。
一律にしている店で起きるのは、回転の速いカテゴリで買い負け、遅いカテゴリで買いすぎるという状態です。どちらも機会損失になります。カテゴリごとに線を引き直すだけで、同じ資金でより多く回せるようになります。
逆算の考え方
上限は、確保したい粗利と回転日数から逆算します。順序は次のとおりです。
- そのカテゴリの実際の売価を過去実績から把握する(希望売価ではありません)
- 平均回転日数を出す
- 回転が遅いほど資金が寝るので、その分だけ必要な粗利率を高く置く
- 売価 −(必要な粗利)− 諸経費 = 買取上限
諸経費には、送料・出品手数料・クリーニング費・保管コストが含まれます。ここを忘れると計算が合いません。
1番目で気をつけたいのは、希望売価ではなく実際に売れた価格を使うことです。「これは◯円で売れるはず」という見込みで逆算すると、上限が高くなりすぎます。過去の実売データがなければ、まずそれを集めることから始めてください。
回転日数を粗利率に反映させる
おおまかな考え方として、次のような対応になります。
| 平均回転日数 | 必要な粗利率の目安 |
|---|---|
| 短い(30〜60日) | 低めでも成立する |
| 標準(60〜120日) | 標準 |
| 長い(120日超) | 高めに設定する必要がある |
具体的な数値は店の経費構造によって変わります。自店の実績から決めてください。
この対応関係を作るには、カテゴリ別の平均回転日数が必要です。まだ測っていない場合は、主力カテゴリ3つから始めてください。仕入日と販売日が分かれば計算できます。全部そろえてから始める必要はありません。
相場が動く商材への備え
貴金属、ブランド品、トレーディングカードなどは相場が変動します。仕入れた翌月に相場が下がれば、そのまま損失です。
対応は2つあります。
- 原価率を低めに設定する:変動幅を吸収できる余裕を持つ
- 回転を速くする:持つ期間が短ければ変動の影響を受けにくい
後者が本筋です。相場商材は、仕入れたら早く出す。これを原則にしてください。
あわせて、相場を確認する頻度も決めておいてください。週に一度でも参照先を見て記録しておけば、動きの方向が分かります。下がり局面では上限を引き下げるという運用ができるようになります。
買取件数を減らさない
原価率を絞ると、断る件数が増えて集客が弱まるのではという心配があります。もっともな懸念です。
ここで大事なのは、断るのではなく、正しい金額を提示することです。相場を示して説明できれば、納得して売ってもらえる場合が多くあります。査定基準を文書にしておくと、この説明がしやすくなります。
説明のしかたも用意しておいてください。「相場がこうで、当店ではこの状態だとこの価格になります」と根拠を示せれば、納得して売っていただける場合が多くあります。査定基準が文書になっていると、この説明が誰でもできるようになります。
守らせる仕組み
上限を決めても、現場で超えられては意味がありません。次を組み合わせてください。
- 上限を超える場合は決裁が必要にする(金額で線を引く)
- 超えた案件は記録に残し、月次で結果を検証する
- 担当者の評価を買取件数だけでなく買取後の粗利で見る
3つ目が特に効きます。件数だけで評価すると、高く買ってでも件数を取る動きになります。
3番目については、評価の期間に注意してください。買取した月の件数と、その商品が売れた月の粗利は時期がずれます。四半期など少し長い期間で見るほうが、実態に合った評価になります。
上限を超えて買うべき場面
上限はあくまで目安であり、超えてよい場面もあります。決裁を経る前提で、次のような場合は検討に値します。
- まとめ持ち込みの一部 — 全体では採算が取れるなら、個々の品で上限を超えても構いません。合計で判断してください
- 売場に不足しているカテゴリ — 品揃えが薄くなっている領域は、集客のために確保する価値があります
- 継続して持ち込んでくださるお客様 — 1回の採算ではなく、今後の取引を含めて判断する場面です
- 相場が上がる局面の商材 — ただし読み違えると損失になります。根拠を記録に残してください
大切なのは、超えた理由を記録し、結果を後から検証することです。検証されない例外は、いつのまにか常態になります。
まとめ
原価率は、カテゴリ別に、回転日数と粗利から逆算して決めます。相場商材は低めに、または回転を速く。
まずは主要カテゴリ3つについて、実際の売価と平均回転日数を出してみてください。そこから上限が計算できます。
主要カテゴリ3つの実売価格と平均回転日数は、販売台帳から集計すれば出せます。そこから上限が計算でき、現場に示す根拠にもなります。設計についてはご相談いただけます。