なぜ発見しにくいのか
買取価格には「正しい値」がありません。同じ品でも、担当者や状況によって金額は変わります。
そのため、不当に高く買っても「目利きが甘かった」で説明がついてしまいます。これが、リユース業特有の難しさです。
買取価格には「正しい値」がありません。これがリユース業特有の難しさです。だからこそ、個々の判断ではなく傾向で見る必要があります。
起きやすい形
- 知人・共犯者から不当に高く買う:差額を後で受け取る
- 伝票と実支払額をずらす:伝票に多く書き、渡す額を減らす
- 架空の買取を計上する:現金だけを引き出す
- 良品を安く仕入れて私的に転売:会社の在庫にせず持ち帰る
- 特定の相手にだけ安く売る
この5つのうち、1番目が最も見つけにくい形です。共犯者が実在する人物であれば、本人確認の記録も正しく残ります。傾向データでしか浮かび上がりません。
データで検知する
個々の取引ではなく、傾向を見ると異常が浮かびます。月次で次を出してください。
- 担当者別の買取原価率:平均から大きく外れる人はいないか
- 担当者別の、買取額と実売額の差:継続して高く買っている人はいないか
- 相手方の重複:同じ人が特定の担当者にだけ持ち込んでいないか
- 本人確認記録の傾向:住所が近接、同一世帯が多い
- キャンセル・返金の偏り
- 棚卸差異の発生場所
個々の取引ではなく傾向を見ると異常が浮かびます。1回の数字では判断できません。3か月以上同じ傾向が続いているかを見てください。
決裁ルールで枠をはめる
- 一定額を超える買取は、必ず別の人の承認を要する
- 承認は形式ではなく、根拠(相場の参照結果)を確認する
- 基準表から大きく外れる価格をつける場合、理由を記録する
- 従業員の知人・親族との取引は、上長が対応する
4番目を明文化しておくと、疑われる側も守られます。
4番目を明文化しておくと、疑われる側も守られます。知人との取引を上長が対応する形にしておけば、後から疑いをかけられることがありません。
査定基準があると不正も防げる
基準表があれば、「なぜこの価格なのか」を説明できます。基準から外れた価格には理由が要る。この状態を作るだけで、恣意的な価格設定は難しくなります。
査定の仕組み化は、育成・承継・不正防止のすべてに効く投資です。
基準から外れた価格には理由が要る。この状態を作るだけで恣意的な価格設定は難しくなります。査定の仕組み化は、育成・承継・不正防止のすべてに効く投資です。
発覚したときの対応
- 事実確認を行う(本人への聴取は、複数人で、記録を残して)
- 被害額を算定する
- 証拠を保全する(データ、伝票、防犯カメラ)
- 専門家に相談する(弁護士、社会保険労務士)
- 懲戒の手続きを、就業規則に沿って進める
- 再発防止策を実施する
感情的に動かないでください。手続きを誤ると、逆に会社側が問題を抱えます。
感情的に動かないでください。手順を誤ると会社側が不利な立場になることがあります。聴取は複数人で行い、記録を残し、専門家に相談してから進めてください。
疑いが生じたときにやってはいけないこと
手順を誤ると、会社側が不利な立場になります。次は避けてください。
- 1人で本人を問い詰める — 記録が残らず、後から「言っていない」という話になります。聴取は複数人で、記録を残して行ってください
- 証拠を集める前に伝える — データや伝票が書き換えられるおそれがあります。先に保全してください
- その場で解雇を告げる — 手続きを踏まない解雇は無効とされることがあります。就業規則に沿って進めてください
- 他の従業員に話す — 事実が確定する前に広まると、名誉に関わる問題になります
- 穏便に済ませようとして記録を残さない — 再発したときに経緯を示せません
いずれの場合も、専門家に相談してから動いてください。弁護士と社会保険労務士の両方が関わる領域です。感情的に動くと対処の幅が狭まります。
まとめ
買取価格の操作は、傾向データで検知します。担当者別の原価率と、買取額・実売額の差を月次で見てください。
そして査定基準を作ること。説明できる価格になれば、不正の余地は小さくなります。
担当者別の原価率と、買取額・実売額の差を月次で見てください。査定基準を作れば不正の余地は小さくなります。