3つの行為が混ざる

遺品整理の現場では、次が同時に起きます。

  • 買取:価値のあるものを商品として買う → 古物商許可
  • 作業の請負:分別、搬出、清掃 → 請負契約
  • 廃棄物の処理:不要品の処分 → 廃棄物処理法の許可(または適法な委託)

1つの現場で完結させるには、3つすべてに対応できる体制が要ります。自社で持つか、提携でカバーするかを決めてください。

1つの現場で完結させられることが選ばれる理由になりますが、3つの性格の違う行為を混ぜたまま進めると後でトラブルになります。記録と請求を分けることが要点です。

買取と処分を切り分ける

最も重要な整理です。次のように分けて記録してください。

  1. 買い取った品:品名・数量・金額の一覧を作り、買取伝票を交付する
  2. 作業料:分別・搬出・清掃の対価として、見積りと請求を分ける
  3. 処分した品:何を、どこに、どう処理したかを記録する

「全部込みで◯万円」という一括の見積りは、後でトラブルになります。買取分が相殺されているのか、いくらで買われたのかが分からないためです。

一括の見積りが問題になるのは、買取分が相殺されて見えなくなるためです。いくらで買い取ったのかが分からない状態は、古物営業の記録としても不十分になります。

相続人の確認

遺品は相続財産です。誰の依頼で作業するのかを確認してください。

  • 依頼者が相続人であることを確認する
  • 相続人が複数いる場合、他の相続人の同意があるかを確認する
  • 後から「勝手に処分された」と言われないよう、記録を残す

とくに買取については、依頼者に処分権限があるかを確認する必要があります。買取伝票にその旨の確認欄を設けてください。

相続人が複数いる場合、後から別の相続人から連絡が来ることがあります。依頼者に処分の権限があるか、他の相続人の了解があるかを確認し、記録に残してください。

契約書に入れる項目

  • 作業の範囲(どの部屋、どこまで)と日程
  • 作業料と、その内訳
  • 買取の扱い(別途精算するのか、相殺するのか)
  • 処分する品の範囲と、処分方法
  • 貴重品・現金・重要書類が出てきた場合の取扱い
  • 追加作業が発生した場合の費用
  • 破損した場合の責任

5番目は必ず入れてください。現場では現金や証書が出てきます。その場での扱いを決めておかないと、疑いをかけられかねません。

5番目は必ず入れてください。現場では現金や証書、通帳などが出てきます。その場での扱いを決めていないと疑いを招くことになります。

現場のルール

  1. 作業前に、部屋の状態を写真で記録する
  2. 貴重品が出たら、その場で依頼者に報告し、記録を残す
  3. 買取候補は分けて置き、依頼者の確認を得てから金額を提示する
  4. 作業は2人以上で行う(単独作業は疑いを招きます)
  5. 作業後の状態も写真で記録する

4番目の複数人での作業は、効率の問題ではなく疑いを避けるための備えです。単独作業で貴重品が出た場合、証明する手立てがありません。人員計画に織り込んでください。

個人情報とデータ

手紙、書類、パソコン、スマートフォン。個人情報の塊です。処分方法を決め、依頼者に説明してください。データ消去の手順も含めて、説明できることが選ばれる理由になります。

データ消去の手順を説明できることが選ばれる理由になります。手紙や書類の処分方法も含めて、「どう扱うか」を事前に伝えられる業者は安心して任せられます。

見積書を分けて作る効果

「全部込みで◯万円」という見積りをやめて、3つに分けて示すだけで多くの問題が防げます。

  • 買取分が明確になる — いくらで何を買い取ったかが記録に残ります。古物営業の記録としても必要な情報です
  • 作業料の根拠が伝わる — 分別、搬出、清掃。人数と日数を示せば、金額の妥当性が分かります
  • 処分費の内訳が見える — 何をどれだけ処分するのか。品目によって費用が違うことも説明できます
  • 後から相続人に説明できる — 依頼者以外の相続人から問われたとき、内訳があれば説明が立ちます
  • 他社と比べられる — 一括の金額では比較できません。分けて示す業者は誠実だと受け止められます

とくに4番目が効きます。遺品整理では、後から別の相続人が「勝手に処分された」と言ってくる場面があります。内訳と記録がそのときの備えになります。

まとめ

遺品整理は、買取・作業請負・廃棄物処理の3つが混ざります。それぞれを切り分け、記録し、契約書で明確にしてください。

まず、買取分と作業料を分けて見積もる様式を作るところから始めましょう。

買取分と作業料を分けて見積もる様式を作るところから始めてください。1枚の用紙を変えるだけで後のトラブルが減ります。整え方についてはご相談いただけます。