質問リストの構成
おおむね次の領域に分かれて届きます。
- 財務:決算、月次、資金繰り、借入
- 在庫:管理方法、評価、日齢、差異
- 法務:許認可、契約、係争、コンプライアンス
- 労務:雇用契約、勤怠、賃金、社会保険
- 事業:仕入れ、販売、顧客、競合
- その他:資産、保険、システム
リユース業特有の質問
- 在庫の日齢分布と、滞留在庫の処理方針
- 簿価と実勢価格の差の把握状況
- 預かり品・委託品と自社在庫の区別
- 古物商許可の内容と、届出の実態との一致
- 古物台帳と本人確認記録の作成・保存状況
- 真贋判定の体制と記録
- 査定基準の文書化の状況
- 買取のチャネル別実績
- 過去の行政指導・処分の有無
- 偽造品・盗品に関するトラブルの有無
回答の作り方
- 質問を領域ごとに担当を割り振る:財務は税理士、労務は社労士、在庫は自社
- 回答期限を確認し、逆算する
- 資料で答えられるものは資料を添える:文章より速く、正確です
- 数字は根拠とセットで出す
- 回答した内容を記録する:後で整合を取るため
答えにくい質問への対応
不利な事実を聞かれることがあります。次の原則で対応してください。
- 隠さない:後で発覚すると、はるかに大きな問題になります
- 事実と対応をセットで伝える:「こうだった。こう是正した」
- 分からないことは「確認します」:推測で答えない
- 専門家に相談してから答える:法的な論点は特に
準備しておくと速い資料
- 在庫の日齢分布表とカテゴリ別粗利
- 直近3期の決算書と月次試算表
- 全従業員の雇用契約書と賃金台帳
- 店舗の賃貸借契約書
- リース契約の一覧
- 古物商許可証と届出内容の一覧
- 取引先の一覧と取引条件
- 保険の証券一覧
これらを1つのフォルダにまとめておくだけで、対応期間が大きく短縮されます。
負担を軽くする工夫
- 質問リストを見て、既存資料で答えられるものを先に処理する
- 同種の質問はまとめて回答する
- 追加質問が来る前提でスケジュールを組む
- 秘密保持のため、社内での作業は経営者と限られた人で行う
回答の体制を整える
数十から百を超える質問を、通常業務と並行して処理する必要があります。
- 窓口を1人に決める — 複数が別々に答えると、内容が食い違います
- 質問を分野別に仕分ける — 財務、在庫、法務、労務、事業
- 専門家に振る質問を決める — 税務、法務は顧問に依頼します
- 回答の期限を交渉する — 一律の期限ではなく、分野ごとに調整します
- 回答済みの管理表を作る — 重複した質問が来ることがあります
- 回答内容を保存する — 後の交渉や契約で参照されます
6番目を徹底してください。回答した内容は、表明保証の前提になります。何をどう答えたかの記録がなければ、後から確認できません。回答書とその根拠資料を、一式で保管してください。
回答しにくい項目の扱い
回答が難しい質問は必ず来ます。対応の原則があります。
- 分からないことは「分からない」と答える — 推測で答えると、後で問題になります
- 記録がない場合は、その旨を答える — 作り話をしないでください
- 不利な事実は、経緯と対応をあわせて答える
- 回答の前に専門家に相談する — 法務・税務に関わる質問は特にです
- 質問の意図を確認する — 何を懸念しているかが分かれば、的確に答えられます
5番目が有効です。質問の背景にある懸念が分かれば、質問への直接の回答だけでなく、懸念そのものを解消する情報を提供できます。「何のためのご質問でしょうか」と確認することは、失礼にはあたりません。
事前に用意しておくと速い資料
質問が来てから作ると時間がかかる資料があります。先に作ってください。
- 在庫日齢の分布と推移
- カテゴリ別・販路別の売上と粗利
- 買取チャネル別の実績
- 契約書の一覧 — 賃貸借、リース、提携、委託
- 従業員名簿と労働条件の一覧 — 雇用形態、勤続年数、賃金体系
- 許認可の一覧と、届出の履歴
- 訴訟・紛争・行政指導の有無
5番目と6番目は、作成に時間がかかります。労務と許認可は、確認すべき事項が多く、不備が見つかれば是正も必要です。監査の通知を受けてから着手するのでは間に合いません。譲渡を検討し始めた時点で作り始めてください。
まとめ
質問は財務・在庫・法務・労務・事業の5領域に届きます。領域ごとに担当を割り振ってください。
不利な事実は隠さず、対応とセットで伝えること。準備資料を1フォルダにまとめておきましょう。