失敗1:交付決定前に発注してしまう
最も多い失敗です。多くの制度では、交付決定前に契約・発注・支払いをした経費は対象になりません。
回避策:スケジュールを合わせる。急ぐなら、補助金を使わずに導入する判断もあり得ます。補助金申請の流れをご覧ください。
失敗2:補助金ありきで投資を決める
「補助金が出るから買う」は順序が逆です。次のことが起きます。
- 必要のない機能に自己負担分を払う
- 要件に合わせて、使わない設備を追加する
- 導入後に使われず、設備が遊ぶ
回避策:「補助金がなくても導入するか」を先に自問してください。答えがノーなら、その投資は必要ないかもしれません。
失敗3:つなぎ資金を用意していない
補助金は後払いです。総投資額を立て替える必要があります。
回避策:申請の段階で金融機関に相談してください。つなぎ資金の準備をご覧ください。
失敗4:満額入る前提で計画を組む
実績報告で対象外の経費が見つかり、補助額が減ることがあります。
回避策:対象経費を公募要領で精読し、迷うものは事前に問い合わせてください。減額の可能性も見込んで資金計画を組んでください。
失敗5:証拠書類が揃わない
領収書がない、宛名が個人になっている、設置前の写真を撮り忘れた。
回避策:導入が決まったら専用ファイルを作り、その都度書類を入れてください。写真は導入当日に撮る段取りを決めておくこと。実績報告と証拠書類をご覧ください。
失敗6:勝手に内容を変更する
「もっと良い機種があった」「メーカーを変えた」。良かれと思った変更が、対象外の原因になります。
回避策:変更が必要になったら、必ず事前に交付元へ相談してください。
失敗7:報告の期限を過ぎる
実績報告、事業化状況報告。期限を過ぎると、補助金の返還を求められる可能性があります。
回避策:交付決定を受けたら、報告の期限をすべてカレンダーに入れてください。担当者が退職した場合の引き継ぎも決めておくこと。事務・バックオフィスの体制をご覧ください。
失敗8:処分制限を知らずに設備を処分する
制限期間内に売却・廃棄すると、返還が生じる可能性があります。
回避策:財産管理台帳を作り、制限期間を把握してください。取得財産の処分制限をご覧ください。
失敗9:承継・M&Aへの影響を考えていない
数年内に承継やM&Aを予定しているのに、処分制限のかかる設備を導入してしまう。事業譲渡や会社分割を選べなくなることがあります。
回避策:承継の時期を想定しているなら、補助金を使うかどうか自体を判断材料にしてください。自己資金やリースで導入すれば制限はかかりません。承継のタイムラインをご覧ください。
失敗10:支援業者への報酬が過大
申請支援を成功報酬で依頼した結果、補助金額に対して報酬が大きすぎたというケースがあります。
回避策:
- 報酬の水準を複数社で比較する
- 着手金・成功報酬の割合を確認する
- 不採択の場合の費用を確認する
- 商工会議所、よろず支援拠点など無料または低額の支援も検討する
また、虚偽の内容で申請することを勧める業者には絶対に関わらないでください。不正受給は返還だけでなく、公表や刑事責任につながります。
そのほか注意したいこと
- 要件を満たし続ける必要がある:賃上げなどが要件の場合、達成できないと返還が生じることがあります
- 他の補助金との併用:同じ経費に複数の補助を受けられないのが原則です
- 公募要領の変更:年度で内容が変わるため、前年の情報で判断しない
それでも補助金は有効
失敗を並べましたが、正しく使えば有効な制度です。
- 自己負担が減り、投資の判断がしやすくなる
- 申請の過程で事業計画を作ることになる(事業計画書の書き方)
- 金融機関からの評価が上がることがある
- 社内で投資の目的を共有する機会になる
2番目の効果は見落とされがちですが、計画を言語化すること自体に価値があります。承継の準備にもつながります。
まとめ
最も多い失敗は交付決定前の発注です。補助金ありきで投資を決めない、つなぎ資金を用意する、証拠書類をその都度保管する、報告期限を管理する、処分制限を把握する。この5つを守れば、大きな失敗はほぼ避けられます。承継を予定しているなら、使うかどうか自体も判断材料にしてください。
※ 補助金の名称・対象経費・要件・公募時期は年度によって変わります。本記事は一般的な進め方を整理したものですので、実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認ください。