条件1:個品管理ができるか
最も重要な条件です。リユース業では、同じ型番でも1点ごとに状態も仕入れ値も違います。型番単位でしか管理できないシステムは使えません。
個品管理ができれば、次が可能になります。
- 1点ごとの入荷日から日齢が取れる
- 1点ごとの原価と売価から粗利が出る
- どの査定担当が買ったかを追える
これらがないと、日齢管理も原価率の検証も成り立ちません。
導入の相談で「型番管理でも運用できますよ」と勧められることがありますが、リユース業では成り立ちません。同じ型番でも仕入れ値と状態が違うため、一点ごとに区別できなければ粗利も日齢も計算できないからです。ここは譲らないでください。
条件2:データを持ち出せるか
意外に見落とされる条件です。将来、別のシステムに乗り換えるとき、あるいは会社を譲るときに、自社のデータを取り出せるかを確認してください。
契約前に、次を必ず聞いてください。
- 在庫データ・取引履歴をCSVなどで出力できるか
- 解約後、どれくらいの期間データを取り出せるか
- 出力できる項目に制限はあるか
買収監査で在庫データの提出を求められたとき、出せないという事態は避けたいところです。
確認するときは、口頭ではなく契約書やサービス仕様書の記載を見せてもらってください。「できます」と言われても、実際には項目が限られていたり追加費用がかかったりすることがあります。書面で確認するのが確実です。
条件3:古物台帳と連動するか
古物営業法にもとづく取引の記録は、いずれにせよ作る必要があります。在庫管理と別々に入力していると、二重の手間になり、記載漏れも起きます。
買取入力の際に、本人確認情報と取引内容が同時に記録され、後から検索できる形で保存される。この仕組みがあると、法令対応の負担が大きく下がります。
ただし、記録として求められる項目や保存の方法は運用によって異なります。導入前に管轄窓口に確認してください。
連動していない場合の負担は、想像より大きくなります。買取1件につき2回入力することになり、忙しい日には片方が飛びます。飛ぶのはたいてい台帳側で、それは法令上の記録が欠けるという意味です。
条件4:販路と連動するか
店頭とECの両方で売るなら、在庫の連動は必須です。連動していないと、同じ商品が2か所で売れる二重販売が起きます。
確認すべき点は次のとおりです。
- 使っているモール・カートに対応しているか
- 在庫の反映にどれくらい時間差があるか
- 出品作業をシステム側から行えるか
時間差については、具体的な分数を聞いてください。数分なら実用上問題ありませんが、数時間かかる仕様だと土日の売れ行きが速い時間帯に二重販売が起きます。実際の運用に耐えるかを確認してください。
条件5:現場が入力し続けられるか
どれだけ高機能でも、入力されなければ意味がありません。導入して半年で使われなくなる例は珍しくありません。
次を確認してください。
- 1点あたりの入力にどれくらい時間がかかるか
- スマートフォンやタブレットから入力できるか
- 写真の登録が簡単か
可能なら、実際に現場のスタッフに試用してもらってから決めてください。
試用は、忙しい時間帯にやってもらうのが有効です。暇な時間に試すとどのシステムも「使える」と感じます。買取が立て込んでいる時間に入力が追いつくかが本当の判断材料です。
クラウドか、買い切りか
| クラウド型 | 買い切り型 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い | 高い |
| 月々の負担 | 継続してかかる | 保守費のみ |
| 機能の更新 | 自動 | 都度費用 |
| 補助金との相性 | 制度により対象範囲が異なる | 投資額が大きく立替負担も大きい |
店舗数が少なく、まず始めてみたい段階ならクラウド型が現実的です。
もうひとつの判断軸は、将来の店舗数です。出店を考えているなら、店舗を追加したときの費用と在庫の共有ができるかを確認してください。1店舗前提の仕様だと、2店舗目で作り直しになります。
導入で失敗する3つのパターン
システムそのものは悪くないのに使われなくなる例があります。原因はおおむね次のいずれかです。
- 入力項目を増やしすぎた — 「せっかく入れるのだから」と項目を並べると、現場が入れきれません。必須は管理番号・仕入日・仕入原価の3つに絞り、他は後から足せる形にしてください
- 既存在庫を遡って登録しようとした — 点数が多い店ではこの作業だけで数か月かかり、その間に意欲が尽きます。新規分から始め、古い在庫は処分の判定に回してください
- 数字を見る場を作らなかった — データが埋まっても誰も見なければ、入力する意味が現場に伝わりません。月次の会議に議題として固定してください
3つのうちいちばん多いのは1番目です。機能の多いシステムを選んだ店ほど、この落とし穴に入りやすくなります。
まとめ
選ぶ基準は、個品管理・データ持ち出し・古物台帳の連動・販路連動・現場の入力負荷の5つです。とくに最初の2つは譲れません。
候補を絞ったら、必ず現場に試させてから決めてください。使われないシステムは、投資ではなく損失になります。
候補を絞る前に、いま手作業でどんな数字を見たいのかを書き出しておくことをおすすめします。見たい数字が決まっていれば、必要な機能も絞れます。選定の進め方についてはご相談いただけます。