対象になり得るもの

制度によって範囲は異なりますが、リユース業で検討されることが多いのは次のような投資です。

  • 在庫管理・販売管理システム(クラウド型を含む)
  • POSと在庫の連携
  • 複数モールへの一元出品ツール
  • 古物台帳の電子化・検索できる記録の仕組み
  • 本人確認記録の電子保管
  • 導入にともなう初期設定・データ移行の費用

一方、パソコンやタブレットといった汎用機器、月々の通信費などは対象外とされることが多い点に注意してください。

迷いやすいのが、既存システムの改修や追加ライセンスの扱いです。新規導入は対象になっても、既存の保守や更新は対象外とされることがあります。「新しく何ができるようになるか」を説明できる投資かどうかが分かれ目です。

登録制度の有無を先に確認する

制度によっては、あらかじめ登録されたツールの中から選ぶ形式のものがあります。導入したいシステムが登録されていなければ、その制度は使えません。

先にツールを決めてから制度を探すと、ここでつまずきます。候補を2〜3に絞った段階で、登録の有無を確認してください。

登録されたツールから選ぶ形式の場合、登録の一覧は公開されています。候補を絞った段階で検索し、見つからなければ提供元に登録の予定があるかを聞いてみてください。登録の手続きは提供元が行うものなので、自社で対応することはできません。

効果の示し方:在庫日齢を根拠にする

審査で効くのは、投資の効果を数字で書けているかです。リユース業には、これに使える指標があります。

たとえば次のような書き方です。

現在、在庫のうち日齢181日超が◯%を占め、金額にして◯万円が滞留している。個品単位で日齢を把握できていないため、値下げの判断が担当者任せになっている。システム導入により日齢区分ごとの自動抽出を行い、値下げのタイミングを標準化する。これにより平均回転日数を◯日短縮し、運転資金を◯万円圧縮する。

現状 → 原因 → 打ち手 → 効果、という流れになっていることが重要です。

数字がまだ取れていない場合でも、諦める必要はありません。3か月分でも記録を始めれば傾向として書けます。申請の時期を1回見送って記録を積むほうが、結果として通りやすくなることもあります。

申請前に決めておくこと

次の3点は、申請書を書き始める前に固めておいてください。

  • 個品管理に移行するか:型番単位のままか、1点ごとに管理するか。リユース業では個品管理でないと日齢が取れません
  • 既存データをどうするか:移行するのか、切り替え時点から新規に取るのか
  • 誰が運用するか:入力の担当と、月次で見る人を決めておかないと定着しません

3番目がいちばん重要です。入力の担当と、月次で数字を見る人。この2つが決まっていないシステムは、導入した翌月から使われなくなります。申請書に運用体制を書く欄があるのは、そこが定着を左右すると分かっているからです。

補助金は後払いである

採択されても、先にお金が入るわけではありません。導入費用はいったん全額を自社で支払います。補助金が入るのは、実績報告が終わって確定してからです。

クラウド型のシステムは初期費用が抑えられる分、この負担は軽くなります。オンプレミス型で大きな初期投資をする場合は、立替資金の手当てを金融機関と相談しておいてください。

あわせて、支払いの時期を業者と調整できるかも確認してください。納品と同時に全額ではなく、分割にしてもらえる場合があります。制度が認める支払い方法の範囲内で、資金の出方をならすことができます。

よくあるつまずき

  • 交付決定前に発注してしまう:原則として対象外になります
  • 導入したが誰も入力しない:運用の担当を決めていないケースです
  • データを持ち出せない:将来の乗り換えやM&Aの際に困ります。契約前に確認を

3番目については、契約前に必ず確認してください。在庫データを標準的な形式で出力できるか、解約後もデータを保持できるか。データを持ち出せないシステムは、将来の承継やM&Aで足かせになります。

導入して定着させるまでの順序

システムは入れただけでは効きません。定着までの順序を先に決めておいてください。

  1. 入力項目を絞る — 管理番号・仕入日・仕入原価の3つを必須にし、他は後から足せる形にします。項目が多いと入りません
  2. 新規分だけから始める — 既存在庫を遡って登録するのは負担が重すぎます。古い在庫は処分の判定に回してください
  3. 最初の1か月は手書きと並行する — 入力漏れの出方が分かります。ここで運用を直します
  4. 月次の会議に議題として固定する — 見る場がなければデータは埋まりません
  5. 3か月目に項目を見直す — 使っていない項目を削り、足りない項目を加えます

この順序を守れば、半年後には日齢に基づく判断が当たり前になっています。逆に、最初から完全な形を目指すと入力が続かず止まります。

まとめ

在庫管理システムは、リユース業で最も投資効果を説明しやすい領域です。日齢のデータがあれば、計画書は書けます。

まずは手作業でよいので、いまの在庫の日齢分布を出してみてください。それが計画書の出発点になります。

手作業での日齢分布は、主力カテゴリだけなら半日で出せます。その数字が計画書の出発点になり、同時にどんな機能が必要かも見えてきます。進め方についてはご相談ください。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。