ツールができること
- 型番から相場情報を引く
- 過去の取引実績を検索する
- 状態ランクと掛け率から、買取上限を計算する
- 複数の参照先を横断して調べる
- 計算ミスを防ぐ
要するに、調べる・計算するという定型作業を速くします。
ツールができないこと
- 真贋の最終判断
- 相場データがない商品の値付け
- 状態の微妙な差の評価
- 相場が急変している局面の判断
- 自店の客層に合うかの判断
効くカテゴリ
- 型番が明確:家電、PC、ゲーム、カメラ
- 相場が公開されている:貴金属、定番ブランド品
- 取扱点数が多い:1件あたりの短縮効果が積み上がる
- 未経験者が担当する:判断の下支えになる
効かないカテゴリ
- 個体差が大きい:骨董、ヴィンテージ、手作り品
- 型番がない:古着の一部、雑貨
- 真贋が価値の中心:高額ブランド品(補助にはなるが判断はできない)
- 相場が急変する:トレーディングカードの一部
導入の判断
- 取扱点数の多いカテゴリを特定する
- そのカテゴリで、1件あたりの査定時間を測る
- ツールで短縮できる時間を試算する
- 点数 × 短縮時間 × 人件費単価 と、ツールの費用を比べる
- あわせて、未経験者が使えるようになる効果も考慮する
人の判断と組み合わせる
ツールを入れても、基準表は要ります。むしろ基準表があるからツールが機能します。
- ツール:相場を引き、計算する
- 基準表:状態ランクの定義、掛け率、加減点
- 人:状態の評価、真贋、例外の判断
- 決裁ルール:金額と基準外の場合の承認
自社データを蓄積する
外部のツールに頼りきらず、自店の実売データを蓄積してください。最終的には、これが最も正確な判断材料になります。
効くカテゴリと効かないカテゴリ
ツールの向き不向きははっきりしています。自店の主力がどちらかを見極めてください。
| 効きやすい | 効きにくい |
|---|---|
| 型番で相場が引ける(家電、ゲーム、書籍) | 一点物(骨董、美術品) |
| 取引量が多く、データが集まる | 取引が少なく、参照先がない |
| 状態の差が価格に反映しやすい | 微妙な状態差が価値を左右する |
| 相場が公開されている | 相場が業者間だけで形成される |
左側が主力なら導入の効果が出ます。右側が中心の店では、ツールより基準表と育成のほうが効果が大きいことがあります。投資の順序を間違えないでください。
人の判断と組み合わせる設計
ツールに任せきりにせず、どこまでをツールの結果で決めるかを先に決めてください。
- 参照値として使う — 提示された金額をそのまま採用せず、基準表の掛け率を掛ける形にします
- 上限額で線を引く — 一定額を超える品は人が確認する。ツールの結果だけで高額品を買わない設計にします
- 状態の判定は人が行う — ツールは型番からの相場を出しますが、目の前の品の状態は人が見る必要があります
- 結果と実売を突き合わせる — 月次で差を検証し、掛け率を調整してください
とくに4番目を回さないと精度が上がりません。導入して終わりではなく、自店の実績に合わせて調整し続ける前提で考えてください。
自社データを蓄積することの価値
外部の相場情報は誰でも見られます。差がつくのは自店の実売データです。蓄積を始めてください。
- 仕入価格 — いくらで買ったか
- 販売価格 — いくらで売れたか
- 販売までの日数 — 何日で回ったか
- 販売経路 — 店頭かECか市場か
- 状態ランク — どのランクで出したか
この5項目が半年分たまれば、「この商材はこの価格で買えばこの日数で売れる」と語れるようになります。外部の相場表より確実な根拠です。
新人への説明にも、買取価格の根拠をお客様に伝えるときにも、譲渡の場面で買い手に示すときにも、同じデータが使えます。ツール導入の前にここから始めても構いません。
まとめ
査定支援ツールは、型番が明確で点数の多いカテゴリで効きます。真贋と個体差の判断はできません。
まず取扱点数の多いカテゴリで、1件あたりの査定時間を測ってみてください。