何年かかるかを見積もる
次の要素で大きく変わります。
| 要素 | 短い | 長い |
|---|---|---|
| 判断の根拠 | 型番・相場表 | 目と経験 |
| 真贋 | 不要 | 必須 |
| 単価 | 低い | 高い |
| 候補者の経験 | 業界経験あり | 未経験 |
段階で区切る
- 基礎(商材の名称・種類が分かる)
- 初級(低単価品を一人で査定できる)
- 中級(中単価品を上限内で判断できる)
- 上級(高額品・難物を判断できる)
- 完成(仕入れの方針を自分で決められる)
各段階に要する期間を見積もると、全体の年数が出ます。
着手時期の決め方
引退したい年から、上の年数を引いてください。その年が着手すべき年です。すでに過ぎているなら、期間を短縮する工夫が要ります。
期間を短くする手
- 扱う商材を絞る(難しいものから撤退)
- 外部の鑑定を使う体制にする
- 査定基準を徹底的に文書化する
- 複数人で育成し、リスクを分散する
- 業界経験のある人を採用する
進捗を測る
感覚ではなく数字で見てください。
- 後継者が査定した品の粗利率
- 店主の査定額とのずれ
- 在庫日齢(買いすぎていないか)
- 一人で判断できた件数の比率
引き継ぎの段階を定義する
進捗を測るには、段階の定義が要ります。
- 第1段階:基準表を見て、少額の査定ができる
- 第2段階:主要カテゴリで、中額まで査定できる
- 第3段階:判断に迷う品物を識別し、適切に上げられる
- 第4段階:高額品を含めて査定でき、実売との差が小さい
- 第5段階:他者に教えられる
3番目が最も重要な段階です。すべてを判断できることより、判断できない品物を自覚できることが安全につながります。この段階に達していれば、経営者が不在でも大きな損失は避けられます。
進捗を数字で測る
感覚ではなく、実績で確認してください。
- 担当者別の査定件数と金額
- 実売額との差の平均 — 精度の指標です
- 上限を超えて相談された件数 — 判断の自覚を示します
- 経営者が関与した取引の比率
- 担当できるカテゴリの数
2番目を毎月確認してください。査定額と実売額の差が縮まっていれば、精度が上がっています。この数字を担当者本人にも見せることで、学習が加速します。記録が蓄積されれば、承継の資料にもなります。
期間を短くする方法
3年を2年に縮める手段があります。
- 取扱カテゴリを絞る — 覚える範囲が減ります
- 基準表を先に整備する — 学習の土台になります
- 実売データを蓄積する — 判断の根拠が記録から得られます
- 外部の判定を使う — 高額品は外部鑑定に出す形です
- 複数名で分担する — 1人がすべてを覚える必要はありません
5番目が最も現実的です。カテゴリごとに担当を分ければ、それぞれの習熟が早くなります。1人で全カテゴリを覚えるより、3人で分担するほうが、短期間で体制が整います。
着手が遅れた場合の選択肢
時間が足りない場合でも、対応はあります。
- 引退の時期を後ろにずらす
- 取扱カテゴリを絞って、引き継ぎの範囲を減らす
- 外部から経験者を招く — 育成より早い場合があります
- 同業への譲渡を選ぶ — 査定ができる相手なら、引き継ぎが不要です
- 引き継ぎ期間の残留を前提にする
4番目が現実的な解決策になることがあります。査定人材を持つ同業に譲れば、引き継ぎの課題そのものが解消します。育成が間に合わないと分かった時点で、この選択肢を検討してください。
まとめ
目利きの引き継ぎ年数から、育成の着手時期が決まります。
間に合わないなら、扱う商材を絞ることを検討してください。