書面がないとどうなるか

労働条件の明示は、法令上求められています。書面がないと、次の問題が起きます。

  • 賃金や労働時間について、言った・言わないの争いになる
  • 退職時の条件をめぐってトラブルになる
  • 買収監査で、労働条件の実態を説明できない
  • 助成金の申請などで、必要書類が揃わない

この4つのうち、経営に直接響くのは1番目と2番目です。争いになったとき、書面がなければ会社側に不利に働きます。

明示すべき主な事項

  • 契約期間(期間の定めの有無、更新の基準)
  • 就業の場所と、従事する業務(変更の範囲を含む)
  • 始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩、休日、休暇
  • 賃金の決定・計算・支払方法、締め日と支払日、昇給
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

明示すべき事項は改正されることがあります。最新の内容を確認して様式を整えてください。

明示すべき事項は改正されることがあります。様式を作るときは最新の内容を確認してください。古い様式を使い続けると記載事項が不足する状態になります。

リユース業で書いておきたいこと

  • 歩合給がある場合:計算方法、対象期間、支給時期
  • 固定残業代がある場合:金額と相当時間数
  • 店舗間の異動:ありうるかどうか
  • 出張買取の有無:運転を伴うか
  • 査定業務の範囲:決裁できる金額

この5つは、一般的なひな型には入っていない項目です。とくに歩合給と固定残業代は、書き方によって割増賃金の計算に影響します。専門家に確認してください。

パート・アルバイトも同じ

雇用形態にかかわらず、労働条件の明示は必要です。むしろパート・アルバイトのほうが、契約書がないケースが多くあります。

シフトの入り方、時給、昇給の考え方を明確にしておくと、定着にもつながります。

むしろパート・アルバイトのほうが契約書がないケースが多くあります。シフトの入り方、時給、昇給の考え方を明確にしておくと定着にもつながります。

契約更新時の注意

期間の定めがある契約では、更新のたびに書面を作り直してください。「自動的に続いている」という運用は、次の問題を生みます。

  • 雇止めをする際に、トラブルになりやすい
  • 労働条件が変わっているのに、書面に反映されていない
  • 更新回数や通算期間の管理ができない

「自動的に続いている」という運用は、雇止めの場面でトラブルになりやすくなります。更新のたびに書面を作り直してください。更新回数と通算期間の管理も必要になります。

いま何をすべきか

  1. 全従業員のリストを作り、契約書の有無を確認する
  2. ない人については、現在の条件で書面を作成する
  3. ある人についても、内容が実態と合っているかを確認する
  4. 様式を統一し、今後の採用で使う
  5. 更新時期を管理する一覧を作る

過去に遡って作ることはできませんが、いまの条件を書面にすることは今日からできます。

過去に遡って作ることはできませんが、いまの条件を書面にすることは今日からできます。ない状態を続けるより、今から整えるほうがはるかに有利です。

様式を1つ作れば以降は使い回せる

全員分を作るのは大変に見えますが、様式が1つできれば以降は埋めるだけです。次の項目を空欄の様式として用意してください。

  • 共通部分 — 会社名、所在地、代表者。事前に印字しておきます
  • 個人ごとに変わる部分 — 氏名、契約期間、就業場所、業務内容、賃金、所定労働時間
  • 選択式にできる部分 — シフト制の区分、店舗間の異動の有無、出張買取の有無。チェック欄にします
  • リユース業固有の欄 — 歩合給の計算方法、固定残業代の金額と時間数、査定の決裁権限
  • 更新の管理欄 — 契約期間がある場合、更新日と更新回数を記録します

あわせて、更新時期の一覧を作ってください。期間の定めがある人の契約がいつ切れるかが分かる形にしておけば、更新のたびに書面を作り直せます。

まとめ

雇用契約書は、全員分・最新版で揃っていることが基本です。パート・アルバイトも同じです。

まず従業員リストを作り、契約書の有無に印をつけてみてください。それが是正の出発点です。

まず従業員リストを作り、契約書の有無に印をつけてみてください。それが是正の出発点です。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。労働法令の具体的な適用や必要な手続きは、法改正や個別の事情によって異なります。実際の対応にあたっては、社会保険労務士等の専門家および所轄の労働基準監督署にご確認ください。