まず計算式
買取獲得コスト = 買取のためにかけた費用 ÷ 買取件数
「買取のためにかけた費用」には、次を含めてください。
- チラシ、折込、ポスティング
- ネット広告
- 看板、のぼり
- 買取キャンペーンの上乗せ分
- 出張買取の車両費・移動時間の人件費
チャネル別に出す
全体の平均では判断できません。チャネル別に出してください。
| チャネル | 件数 | 費用 | 1件あたり | 平均粗利 |
|---|---|---|---|---|
| 来店(広告なし) | ||||
| ネット広告経由 | ||||
| チラシ経由 | ||||
| 出張買取 | ||||
| 宅配買取 | ||||
| 紹介・リピート |
これを埋めるには、買取伝票にチャネルを記録する必要があります。まずそこから始めてください。
いくらまでかけてよいか
判断の基準は、その買取から得られる粗利です。獲得コストが1件あたりの平均粗利に対して大きすぎれば、件数が増えるほど赤字になります。
上限は、他の経費(人件費、家賃)をまかなえる水準から逆算してください。
リピートを織り込む
1回の買取だけで判断すると、投資を過小評価します。一度売った人が再び来るなら、その分も獲得の成果です。
実質の獲得コスト = 費用 ÷(件数 × 平均リピート回数)
リピート率を上げれば、同じ広告費でも獲得コストは下がります。広告を増やすより、リピートを作るほうが安いことが多くあります。
広告依存を測る
買取件数のうち、広告経由の比率を出してください。
- 比率が高い → 広告を止めると仕入れが止まる。承継やM&Aで減点されます
- 比率が低い → 立地、認知、リピートで回っている。評価されます
数字を月次で追う
次の3つを毎月出してください。
- チャネル別の買取件数
- チャネル別の獲得コスト
- チャネル別の平均粗利
効率の悪いチャネルへの投資を止め、良いチャネルに寄せる。この繰り返しで収益が変わります。
費用に何を含めるか
広告費だけで計算すると、実態より安く見えます。含めるべき項目を確認してください。
- 広告出稿費 — 検索連動、チラシ、看板、地域紙など
- 制作費 — チラシのデザイン、撮影、ウェブサイトの更新
- 販促物の費用 — 買取キャンペーンの景品、上乗せ分
- 問い合わせ対応の人件費 — 電話やメールへの対応時間
- 成約しなかった査定の時間 — 査定したが買い取れなかった件も、コストです
5番目を含めると、数字の見え方が変わります。成約率が低いチャネルは、広告費が安く見えても実際は高コストです。査定にかけた時間まで含めて「買取1件あたりの獲得費用」を出してください。チャネルの優劣が、はっきり分かれます。
費用の上限をどう決めるか
いくらまでかけてよいかは、1件から得られる粗利から逆算します。
- 買取1件あたりの平均粗利を出す — 買い取った品物が売れたときの粗利の平均です
- そこから、販売にかかる費用を引く — 手数料、送料、保管、作業
- 残った金額が、獲得費用の上限の目安になる
- リピートの見込みを加味する — 2回目以降の来店が見込めるなら、上限は上がります
- カテゴリ別に計算する — 高単価カテゴリでは、上限が大きく変わります
5番目が実務上の分かれ目です。全カテゴリを平均した数字で判断すると、高単価カテゴリへの投資が過小になり、低単価カテゴリへの投資が過大になります。獲得したい商材を明確にして、その商材の粗利から上限を決めてください。
数字が悪化したときの見方
獲得費用が上がってきたとき、原因は複数あります。順に確認してください。
- 競合が増えた — 同一エリアの広告単価が上がっている可能性があります
- 訴求内容が古い — 同じチラシを使い続けると、反応が落ちます
- 成約率が下がった — 集客ではなく、査定・接客側の問題です
- 対象商材がずれている — 集まる品物が、扱いたいものと違っています
- 季節要因 — 引越しシーズンなど、時期による変動があります
3番目かどうかは、すぐに切り分けられます。問い合わせ件数が維持されているのに買取件数が落ちているなら、集客ではなく接客の問題です。この場合、広告費を増やしても改善しません。件数と成約率を分けて記録しておくことが、判断を早めます。
まとめ
買取獲得コストは、チャネル別に出してください。そのためには買取伝票へのチャネル記録が必要です。
まず今月から、買取伝票に「どこで知ったか」の欄を作ってみてください。