お金の流れを時系列で見る
典型的な流れは次のようになります。
- 申請する
- 採択される
- 交付決定を受ける
- 発注・契約する(交付決定より前だと対象外になるのが原則)
- 納品を受け、全額を自社で支払う
- 実績報告を提出する
- 審査・額の確定
- 入金
支払いから入金までの間隔は、制度や時期によって変わりますが、数か月に及ぶことが珍しくありません。
この流れで最も注意が必要なのは4番目です。業者から「今のうちに押さえておきましょう」と勧められることがありますが、交付決定の通知を待ってから発注してください。採択されていても、発注が先だと対象外になるのが原則です。
リユース業では影響が出やすい
この業種は、もともと在庫に資金が寝ています。そこへ設備投資の立替が重なると、買取資金が薄くなるという形で本業に響きます。
買取資金が足りずに持ち込みを断ると、集客そのものが弱まります。補助金を取りに行った結果、本業が縮むのでは本末転倒です。
影響の出方を先に見積もっておいてください。「◯月に◯万円を支払うと、買取に回せる資金が◯万円減る」という形で数字にしておくと、本業への影響を織り込んだ判断ができます。感覚で決めると、支払い月に資金が足りなくなります。
立替資金の作り方
選択肢は主に3つです。
- 自己資金で賄う:買取資金に食い込まない範囲かを必ず確認します
- 金融機関から借り入れる:補助金の交付決定通知を示せば、返済原資が明確なので相談しやすくなります
- 投資を分割する:制度が認める範囲で、段階的に導入する
3番目は制度によって扱いが異なります。事業を段階に分けて申請できる場合もありますが、一体の投資を分割すると対象外と判断されることもあります。検討する場合は、事前に窓口へ確認してください。
金融機関にどう説明するか
交付決定通知書と事業計画書を持って相談してください。「◯月に◯万円を支払い、◯月ごろに◯万円が入金される見込み。その間のつなぎ資金として借りたい」と、時期と金額を明示します。
このとき、在庫の日齢分布や回転日数のデータもあわせて出すと、資金繰りを管理できている会社だと伝わります。金融機関はそこを見ています。
相談の時期は、申請の前がおすすめです。採択されてから慌てて相談すると、審査に時間がかかって支払いに間に合わないことがあります。申請を決めた時点で一報を入れておくだけで、後の動きがずいぶん楽になります。
証拠書類を揃えないと入金されない
実績報告では、次のような書類の提出を求められます。
- 見積書(相見積りを求められることがあります)
- 発注書・契約書
- 納品書
- 請求書
- 振込を確認できる記録
- 導入したものが分かる写真など
ここでよくあるつまずきが現金払いです。振込記録が残らないと、支払いの証明ができません。原則として振込にしてください。
もう一つが書類の日付の前後関係です。交付決定より前の日付の発注書があると、対象外と判断される可能性があります。
書類は、手元に届いた時点でまとめて保管する習慣をつけてください。実績報告の段階で探し始めると、納品書が見つからない、請求書の日付が合わないといった問題が出てきます。1つのファイルに時系列で入れておくだけで足ります。
投資の判断は補助金と切り離す
最後に、いちばん大事な点です。補助金は投資額の一部しか戻りません。残りは自社の負担です。
「補助金があるからやる」ではなく、「補助金がなくてもやるべき投資か」を先に判断する。この順番を守っていれば、後払いの負担も計画に織り込めます。
判断の目安としては、補助金がなくても3年で回収できるかを考えてみてください。回収できる投資なら、補助金は前倒しの後押しになります。回収できない投資は、補助金が入っても負担が残ります。
入金までの資金繰り表を作る
立替の負担を見誤らないために、簡単な表を作っておいてください。月ごとに次の項目を並べるだけで十分です。
- 設備の支払い — いつ、いくら出るか
- 補助金の入金見込み — 制度の標準的な期間から推定します。余裕を持って遅めに置いてください
- 買取に必要な資金 — 月々の買取額。ここを削らないことが前提です
- その他の固定支出 — 家賃、人件費、返済
- 月末の手元現金 — 上を差し引いた残高
この表で手元現金が薄くなる月が見えます。そこがつなぎ資金の必要額です。金融機関に相談するときも、この表があれば話が早く進みます。
まとめ
補助金は後払いです。全額の立替が必要で、入金までに数か月かかります。買取資金を削らないよう、つなぎの手当てを先に決めておいてください。
申請を考えた時点で、金融機関に一報を入れておくと後が楽になります。
投資したいことを先に決めておき、募集が出たときに動ける状態にしておくのが実務的です。見積りの取得と資金の手当てには時間がかかるためです。進め方についてはご相談いただけます。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。