店長層が評価を決める理由
買い手が見るのは「引き継いだ後も回るか」です。
- 各店に、数字を見て判断できる店長がいるか
- 各店に、査定できる人がいるか
- 各店に、古物営業の管理者がいるか
- 社長がいなくても、店舗運営が回るか
店長層が薄い多店舗は、社長依存が店舗数だけ増幅されている状態です。
多店舗ならではの評価要素
- 店舗間の在庫融通:A店で売れないものがB店で売れる
- 人員の相互応援:繁忙期、欠員時
- 査定の集約:高額品の二次判定を1か所で
- 仕入れの規模:まとまった量を扱える
- 商圏の面での押さえ
1番目が最大の利点です。これができているかを数字で示してください。
示すべき数字
- 店舗別の損益(本部費配賦前後)
- 店舗別の坪あたり粗利
- 店舗別の在庫日齢と回転
- 店舗間の在庫移動の実績
- 各店の査定できる人の人数
- 店長の勤続年数
本部機能の整理
本部が何をしているかを明確にしてください。
- 経理、人事、システム
- 仕入れ(市場、法人)
- EC運営
- 査定基準の管理
- 法令対応の管理
本部機能が社長1人に集中していないかが問われます。
店舗数が多いことの課題
- 店舗ごとに運用がばらついていないか
- 記録の様式が統一されているか
- 不採算店があるか
- 賃貸借契約の残存期間がばらばら
- 各店の管理者の届出が実態と合っているか
承継の論点
- 店長層の厚み(各店の店長、査定担当、管理者)
- 店舗別の採算の開示
- 運用の統一(記録、査定基準、システム)
- 本部機能の属人性
- 不採算店の扱い
店長層の厚みを数字で示す
この規模では、人の層が評価の中心になります。
- 店長の人数と、勤続年数
- 店長に委ねている決裁の範囲 — 買取上限、シフト、価格改定
- 経営者が関与した取引の比率 — 減っていることが移譲の証拠です
- 店長会議の実施記録
- 店長候補の育成状況
- 各店の査定できる人の人数
3番目が最も説得力を持ちます。経営者の決裁件数が年々減っていれば、組織で回る体制になっていることを数字で示せます。この推移を記録しておいてください。
本部機能を整理する
複数店舗の会社では、本部の役割が評価の対象になります。
- 本部が担う機能を列挙する — 経理、人事、仕入れ、販促、システム
- それぞれの担当者を明示する
- 経営者が担っている部分を特定する
- 本部費を店舗に配賦する基準を決める
- 本部費の水準を確認する — 過大でないかです
3番目が承継の課題を明らかにします。本部機能の大半を経営者1人が担っていれば、規模の割に属人性が高い状態です。機能ごとに担当を割り当て、移譲を進めてください。
店舗別の数字を整える
複数店舗では、個別の数字が求められます。
- 店舗別の売上・粗利・営業損益
- 店舗別の在庫日齢分布
- 店舗別の買取件数
- 店舗間の在庫移動の記録
- 店舗別の人員と人時生産性
4番目を記録していないと、店舗別の数字が説明できません。売れない在庫を他店に移す運用があると、移動先の粗利と日齢が歪みます。移動元・移動先・日付を残す運用にしてください。
規模が大きいことの裏側
規模が大きいほど良いとは限りません。
- 赤字店があれば、全体の評価を下げる
- 店舗ごとに運営がばらつく — 基準が統一されていない場合です
- 契約の確認範囲が増える — 賃貸借、リース、許可
- 買い手の資金負担が大きくなる — 候補が絞られます
1番目については、事前に対応方針を決めておいてください。閉めてから譲るか、そのまま譲るかで、手取りが変わります。赤字店の買取拠点としての貢献も含めて試算し、方針を決めてから交渉に入ってください。
まとめ
店長層の厚みが、多店舗チェーンの評価を決めます。各店に数字を見られる人がいるかを確認してください。
店舗別の採算と、店舗間の在庫融通の実績を、数字で示せるようにしましょう。