2つのやり方の性格
| 段階的 | 一気 | |
|---|---|---|
| 単価 | 高く売れる可能性が残る | 低くなる |
| 期間 | 長い | 短い |
| 保管コスト | 積み上がる | 少ない |
| 相場変動の影響 | 受ける | 受けにくい |
| 手間 | 値付け作業が繰り返し発生 | 1回で済む |
判断の分かれ目は3つ
- 相場が動く商材か:動くなら一気。待つほど下がります
- 保管コストが高いか:大型品や倉庫代がかかるなら一気
- 需要が季節に左右されるか:次の需要期まで待てるなら段階的
段階的が向く商材
- 相場が安定している定番品
- 小型で保管に場所を取らない
- 季節性があり、時期が来れば売れる
- 単価が高く、1割の差が大きい
一気が向く商材
- 相場が動く(貴金属、ブランドの流行モデル、カード)
- 大型で場所を取る(家具、大型家電)
- 技術の陳腐化が速い(PC、スマートフォン)
- すでに日齢が365日を超えている
回収額を検証する方法
感覚で決めず、実際に測ってください。
- 日齢181日を超えた在庫を、2グループに分ける
- 片方は段階的に、片方は一気に値下げする
- 3か月後、グループごとの回収額合計を比べる
- 保管日数分のコストも引いて比較する
多くの店で、一気のほうが総回収額が大きいという結果になります。段階的に下げている間の機会損失が大きいためです。
「下げない」という選択肢はない
最も回収額が小さいのは、下げずに置き続けることです。棚を占領し、資金を寝かせ、最後は廃棄になります。
段階的か一気かの前に、期限が来たら必ず動くルールを作ってください。
下げ幅をどう刻むか
段階的に下げると決めても、刻み方が甘いと反応が出ません。次の考え方で設計してください。
- 1回の下げ幅は10%未満だと動かない — 見た目の印象が変わらないためです。最低でも15〜20%を目安にします
- 価格帯の壁を意識する — 9,800円から9,000円より、10,800円から9,800円のほうが反応が出ます
- 下げる回数は3回までに設計する — 4回目以降は、待てば下がると学習されます
- 最終価格を先に決めておく — どこまで下げるかを決めずに始めると、際限なく下がります
- 下げるタイミングを固定する — 毎週同じ曜日にすると、作業として回ります
4番目が最も重要です。最終価格は、処分費用と保管コストから逆算してください。値がつかずに処分するより、その金額より1円でも高く売れれば得です。この下限が決まっていれば、途中の刻みは機械的に決められます。
値下げ以外に回収を増やす手段
売れない原因が価格でない場合、下げても回収額は増えません。先に確認してください。
- 写真が悪い — EC出品なら、撮り直しのほうが値下げより効くことがあります
- 説明が足りない — 型番、サイズ、付属品の記載漏れで検索に掛かっていない場合があります
- 置き場所が悪い — 店頭なら、動線から外れた棚にある可能性があります
- 販路が合っていない — 店頭では動かなくても、専門の販路なら需要があります
- 季節が合っていない — 保管して次の季節に出したほうが高い商材があります
値下げの前に、この5つを1分で確認する習慣をつけてください。とくに1番目と2番目は費用がかからず、効果が出れば粗利を落とさずに回収できます。値下げは、これらを潰したあとの最終手段です。
回収額の検証を仕組みにする
どのやり方が有利かは、店ごとに違います。自店のデータで確認してください。
- 同じカテゴリで、2つの方法を並行して試す — 半分は段階的、半分は一気に下げます
- 期間を揃える — 90日など、同じ期間で比較します
- 回収額を合計する — 売れた分の売価合計です
- 売れ残った分の処分費を引く — ここを入れないと比較になりません
- 保管日数の差も見る — 早く空いた棚に次の商品を置けた分の機会も、判断材料です
- カテゴリごとに結論を出す — 全社で1つの答えにしないでください
4番目を落とすと、判断を誤ります。段階的に下げて売れ残った品物の処分費まで含めて初めて、実質的な回収額が出ます。3か月に1度、1カテゴリずつ検証していけば、1年で主要カテゴリの方針が固まります。
まとめ
相場が動く・場所を取る・陳腐化が速いものは一気に。安定した定番品は段階的に。これが基本の切り分けです。
まず自店で2グループに分けて実験してみてください。答えは自社のデータにあります。