基本合意書の位置づけ

最終契約の前に、おおよその条件を確認するための書面です。この時点では、まだデューデリジェンスが行われていないため、価格も「現時点の想定」にとどまります。

法的拘束力は、条項ごとに設定されるのが一般的です。秘密保持や独占交渉には拘束力を持たせ、価格や条件には持たせない、という構成がよく使われます。

記載される主な項目

  1. 当事者:譲渡側・譲受側
  2. 対象:株式か事業か、その範囲
  3. スキーム:株式譲渡、事業譲渡、会社分割など
  4. 想定価格:金額または算定の考え方
  5. スケジュール:デューデリジェンス、最終契約、クロージングの目標時期
  6. 独占交渉期間:他の候補と交渉しない期間
  7. デューデリジェンスへの協力
  8. 秘密保持
  9. 費用負担
  10. 法的拘束力の範囲

売り手が確認すべき点

独占交渉期間の長さ
この期間中は他の候補と交渉できません。長すぎると、破談になったときに時間だけを失います。一般的な期間より大幅に長い設定を求められた場合は、理由を確認してください。

価格の調整条項
「デューデリジェンスの結果により価格を見直すことがある」という条項が入るのが通例です。どの範囲で見直されるのか、考え方だけでも確認しておきます。

雇用と屋号の扱い
法的拘束力がなくても、この段階で書面に残しておくことに意味があります。最終契約で条項化する際の前提になります。

破談時の扱い
違約金の定めがあるか、費用は誰が負担するかを確認します。

運送業特有の確認事項

  • 許可の扱い:スキームによって認可の要否が変わるため、スケジュールに織り込まれているか
  • 車両とリース:リース契約の承継について、貸主の承諾が必要かどうか
  • 荷主契約:支配権変更時の条項があるか、事前説明の要否
  • 労務の是正:進行中の場合、その扱いをどう位置づけるか

特に許可の認可手続きは審査期間が読みにくいため、スケジュールに余裕を持たせることを提案しておくと安全です。

書かないほうがよいこと

実現できるか分からない約束を書き込むと、後で自分を縛ります。「◯年間は現体制を維持する」といった条項は、買い手の経営判断に関わるため、実効性を含めて慎重に検討してください。

締結前にやること

  1. 手取りベースの試算(税務の確認)
  2. 譲れない条件の最終確認
  3. 他の候補との比較(独占交渉に入ると戻れない)
  4. 専門家によるリーガルチェック

まとめ

基本合意書は「仮の約束」ですが、独占交渉期間という実質的な拘束が生まれます。締結の前に、条件と相手を十分に比較してください。

条項の見方や交渉のポイントについて、ご相談を承っています。