費用の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 従業員の退職金 | 規程がある場合。最も大きくなりやすい |
| 未払賃金の清算 | 残業代を含む |
| リース残債 | 中途解約の違約金を含む |
| 借入の返済 | 資産の売却で足りるか |
| 車庫・事務所の原状回復 | 賃借の場合 |
| 車両の処分 | 売却できれば収入。廃車なら費用 |
| 許可の廃止手続き | 行政書士への報酬など |
| 清算の費用 | 登記、税理士・司法書士への報酬 |
| 産業廃棄物の処理 | 廃油、部品、事務用品 |
1. 従業員の退職金
最も大きな費目になることが多い項目です。
- 退職金規程がある場合、全員分の要支給額
- 中退共などに加入していれば、そこから支給される部分
- 規程がなくても、慣行として支給してきた実績があれば検討が必要
まず要支給額を計算してください。退職給付の見積りと価格調整をご覧ください。
2. 未払賃金の清算
労働時間の記録と賃金台帳にずれがある場合、廃業時に清算を求められることがあります。
従業員が退職後に請求してくるケースもあります。廃業前に労務の状態を確認してください。未払残業代の整理の進め方をご覧ください。
3. リース残債
見落とされやすく、金額も大きい項目です。
- リースは中途解約できないのが原則
- 解約する場合、残リース料相当額の支払いが生じることがある
- 台数が多いほど金額が膨らむ
全リース契約の残債と満了時期を一覧にしてください。 満了を待って廃業するほうが有利な場合があります。リース残債が価格に与える影響をご覧ください。
4. 借入の返済
資産を売却して返済に充てます。
- 車両の売却代金
- 不動産の売却代金
- 売掛金の回収
- 保険の解約返戻金
売却額が借入を下回る場合、差額をどうするかが問題になります。個人保証があれば、社長個人に請求が及びます。経営者保証は外せるかをご覧ください。
5. 車庫・事務所の原状回復
賃借している場合、契約に基づく原状回復が必要です。
- 舗装、フェンス、看板の撤去
- 建物の修繕
- 敷金の返還額との差引き
契約書で原状回復の範囲を確認してください。長年使った車庫では、金額が大きくなることがあります。
6. 車両の処分
売却できれば収入になりますが、次に注意してください。
- 車齢が高いと、売却額はわずか
- 特殊車両は買い手が限られる
- 廃車には費用がかかる
- 一斉に売ると、相場より安くなることがある
計画的に、時期を分散して処分するほうが有利です。車両の評価はどう決まるかをご覧ください。
7. 許可の廃止手続き
運送事業を廃止する場合、届出が必要です。あわせて次の手続きが生じます。
- 事業用自動車の登録の抹消・変更(黒ナンバーから白ナンバーへ)
- 営業所・車庫に関する手続き
- 運行管理者・整備管理者の解任届
- 倉庫業・利用運送の登録がある場合、その廃止
手続きの種類と期限は個別に確認してください。行政書士に依頼する場合、その報酬もかかります。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。許認可の具体的な取扱い・必要書類・審査期間は、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄の運輸支局等および専門家にご確認ください。
8. 清算の費用
法人を解散・清算する場合、次がかかります。
- 解散・清算結了の登記(登録免許税、司法書士報酬)
- 官報公告の費用
- 清算に関する税務申告(税理士報酬)
- 清算所得への課税が生じることがある
税務の取扱いは個別に確認してください。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務の取扱いは、法令の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご確認ください。
9. その他
- 産業廃棄物の処理(廃油、バッテリー、部品)
- 事務所の什器・書類の処分
- 各種契約の解約違約金(通信、システム、保険)
- 帳簿・書類の保存(廃業後も一定期間必要)
費用を試算する
- 上の項目ごとに金額を出す
- 売却できる資産の見込額を出す
- 差引きでいくら必要か(または残るか)を計算する
この数字を、譲渡した場合の手取りと比較してください。判断材料になります。廃業と承継の比較、会社を残すか畳むかをご覧ください。
資金が足りない場合
- 時期を早める:資産があるうちに
- リース満了を待つ:残債を減らす
- 譲渡を検討する:買い手が負債ごと引き受ける形
- 専門家に相談する:法的整理を含めて
「資産を食いつぶしてから廃業」が最悪です。退職金も払えず、保証だけが残ります。体力があるうちに判断してください。
順序
- 費用を試算する
- 資金の目処を確認する
- 時期を決める
- 従業員に伝える(再就職の時間を確保)
- 荷主に伝える
- 車両・設備を処分する
- 許可の廃止手続き
- 清算
廃業の完全ガイドで全体の流れを整理しています。
まとめ
廃業には、退職金・未払賃金・リース残債・借入返済・原状回復・許可廃止・清算費用がかかります。特にリース残債は見落とされやすく金額も大きい項目です。まず費用を試算し、譲渡した場合の手取りと比較してください。資産があるうちに判断することが、従業員を守ることにもつながります。