誰が入ってくるのか
まず、実際に出入りしている人を洗い出してください。
- 車を持ち込む人(整備工場、販売店、個人)
- スクラップや部品を引き取りに来る運送業者
- 下請や外注の作業者
- 設備の保守業者
- 行政の職員
- 部品を買いに来る個人
- 金属を持ち込む個人
- 営業訪問
6番目と7番目が管理しにくいところです。不定期に、事前の連絡なく来ます。そして現場の危険を知りません。
3番目は逆に、慣れているために危険な行動を取ることがあります。「いつもやっているから」で立入禁止の範囲に入る例が典型です。
区域を分ける
最も効果があるのは、物理的に分けることです。
- 誰でも入れる区域:事務所、受付、駐車場
- 案内があれば入れる区域:部品の保管棚、引渡場所
- 従業員のみの区域:解体、破砕、重機が動く場所
この3段階に分け、境界を目に見える形にしてください。ロープ、コーン、看板、ラインでよいものです。
そして外部の人が用事を済ませられる場所を、危険区域の外に作ってください。受付が奥にあると、そこまで歩く間に危険区域を通ります。この配置の問題が、実は最も多い原因です。
引渡の場所も同様です。トラックが入る場所と、重機が動く場所を分けてください。
記録を付ける
誰がいつ入ったかを記録してください。負担にならない形で構いません。
記録する内容を挙げます。
- 日時(入りと出)
- 氏名、会社名
- 用件
- 立ち入った区域
- 対応した従業員
1番目の「出」を忘れないでください。災害や火災の際、敷地内に誰が残っているかを把握する必要があります。
記録の用途は3つあります。事故が起きた場合の状況把握、盗難が起きた場合の手がかり、そして体制を示す材料です。特に2番目は実務的な効果があります。記録を付けていると分かるだけで、抑止になります。
危険を伝える
初めて入る人には、最低限のことを伝えてください。
- 入ってはいけない区域
- 重機が動いていること
- 頭上や足元に注意すべき点
- ヘルメットなどの着用を求める場合はその範囲
- 何かあったときに誰に言えばよいか
紙1枚にして、受付で渡すのが実務的です。口頭では伝わらず、記録にも残りません。
下請や保守業者のように繰り返し入る相手には、年に一度確認する運用にしてください。慣れによる油断が最も危険です。
下請との責任関係を確認する
外注先の作業者が自社のヤードで作業する場合、責任関係を整理しておく必要があります。
- 作業の指示を誰が出しているか
- 安全の管理を誰が行うか
- 設備や工具を誰が用意しているか
- 被災した場合の労災の扱い
- 契約書にどう書かれているか
1番目と2番目が実態としてどうなっているかが問われます。契約上は請負でも、実際に自社が細かく指示していれば、扱いが変わり得ます。
5番目を確認してください。契約書がない、あるいは口約束で続けている関係が少なくありません。承継の場面でも指摘される点です。書面を整えておいてください。
承継の場面でも見られる
入場管理の状況は、譲渡の調査で確認されます。
- 外部の人の立入をどう管理しているか
- 下請との契約が整備されているか
- 過去に外部の人が被災した事例があるか
- 係争の有無
2番目が整っていないと、簿外の債務の可能性として見られます。契約書のない外注関係は、それ自体がリスクとして扱われます。時間のあるうちに整えてください。
受付の場所を見直す
設計の問題が原因になっている現場が多くあります。確認してください。
- 出入口から受付までの間に、危険区域があるか
- 持ち込む車をどこで降ろすか
- 引き取りのトラックがどこで待つか
- 部品を買いに来た人がどこまで来るか
- トイレや休憩場所がどこにあるか
5番目が抜けやすいところです。待っている人がトイレを使うために作業区域を横切る、という動線になっていることがあります。
この見直しは費用がほとんどかかりません。受付の位置を変える、案内の看板を立てる、待つ場所を決める。それだけで接触の機会が減ります。
断ることも管理に含まれる
入場管理には、入れない判断も含まれます。
- 事前の連絡がない訪問
- 作業が立て込んでいる時間帯
- 保護具を持たない相手の現場立入
- 用件が明確でない訪問
3番目を曖昧にしないでください。取引先だからと保護具なしで通すと、事故が起きたときに説明ができません。予備を用意して貸すのが実務的です。
そして基準を紙にしてください。従業員がその場で判断できる状態にしておけば、断ることの負担が軽くなります。
連絡なしの訪問を減らす
管理の負担を下げるには、そもそもの来訪を予定できる形にすることです。
- 持ち込みは事前連絡をお願いする(取引先に周知する)
- 引き取りの時間帯を決める
- 部品の販売に対応する時間を決める
- 金属の持ち込みを受ける曜日と時間を決める
3番目と4番目を決めると、現場の混乱が大きく減ります。作業中に呼ばれて手を止めることが、事故の原因にもなります。
取引先には理由を添えて伝えてください。「安全のため」と説明すれば、多くは理解されます。
※ 事業場内での安全管理の責任範囲は個別の契約と実態によって異なります。具体的な整理は専門家にご相談ください。