なぜ狙われるのか
ヤードが標的になりやすい理由を整理します。
- 屋外に価値のある金属がある
- 夜間は無人になる
- 敷地が広く、囲いの全周を見張れない
- 在庫の数量が正確に把握されていないことが多い
- 持ち出しても、売却先がある
- 触媒のように小さく高価なものがある
4番目が本質です。数が分かっていなければ、盗まれた事実を証明できません。警察に届けることも、保険を使うことも難しくなります。
6番目は近年特に狙われます。取り外しが早く、単価が高く、持ち運べます。保管方法を分けて考える必要があります。
設備でできること
費用の安い順に挙げます。
- 照明:人感センサー付きの投光器。単価が低く効果がある。
- 囲い:乗り越えにくい高さと構造。破られやすい箇所の補修。
- 看板:カメラ作動中、無断立入禁止の表示。
- カメラ:出入口と、価値の高い物の保管場所に絞る。
- 施錠できる保管庫:触媒や小型の高額部品を屋内に。
- 車両での封鎖:夜間、出入口に重量物を置く。
- 警備の契約:費用は上がるが抑止力は高い。
1番目と3番目から始めるのが現実的です。暗くて誰にも見られない場所が、最も狙われます。明るくするだけで対象から外れることがあります。
5番目は必ずやってください。屋外に置いた触媒は、囲いがあっても持ち出されます。屋内の施錠できる場所に移してください。
4番目は台数を増やすより、位置を考えるほうが効きます。全周を映すのは費用がかかります。出入口と保管場所に絞ってください。
在庫を数えることが対策になる
設備よりも効果があるのは、数量の把握です。
- 価値の高い部品は、点数を記録する
- 保管場所を決め、そこ以外に置かない
- 持ち出す際は記録する
- 週に一度、点数を確認する
- 合わない場合、その時点で原因を追う
4番目の頻度が要点です。月に一度では、いつなくなったかが分かりません。週に一度なら、範囲が絞れます。
すべての在庫を数えるのは現実的ではありません。触媒、電子部品、アルミホイールのように、単価が高く持ち運べるものに絞ってください。
内部からの持ち出しをどう扱うか
触れにくい話ですが、実際に起きます。
予防の考え方を挙げます。
- 疑うのではなく、疑われない仕組みを作ると説明する
- 持ち出しの手続きを明確にする(誰の承認が必要か)
- 従業員が部品を買う場合の手続きを決める
- 現金でのやりとりを減らす
- 在庫の管理を1人に任せきりにしない
3番目を曖昧にしないでください。「自分で使うから持っていく」を黙認していると、線が引けなくなります。有償か無償か、承認は誰か。決めて周知してください。
4番目も効きます。現金で買い取り、現金で売る取引が多いと、記録が残りません。承継の場面でも指摘される点です。
5番目は牽制の意味だけでなく、属人化の解消にもなります。管理する人が休んだときに困らない体制は、同時に不正が起きにくい体制です。
起きた場合の対応
- 現場を保全する:足跡、切断された箇所の写真。
- 警察に届ける:被害届。数量と価格を示す資料を用意。
- 被害の内容を記録する:品目、数量、推定金額。
- 保険会社に連絡する:対象になるか確認。
- 侵入経路を特定し、塞ぐ
- 従業員に共有する:手口を伝えて警戒を促す。
- 近隣や同業に情報を回す:連続することが多い。
2番目で困るのが数量の証明です。在庫の記録がなければ、被害額を主張できません。ここが在庫管理を勧める実務的な理由です。
7番目も有効です。同じ手口が近隣で繰り返されることが多く、情報の共有が次の被害を防ぎます。
買い取りの記録が身を守る
持ち込まれる金属や部品の記録も、防犯の一部です。
- 持ち込んだ人の確認(本人確認の書類)
- 品目と数量
- 取引の日時と金額
- 車のナンバー
- 取引を断った場合、その記録
1番目を徹底してください。盗品が持ち込まれた場合、記録がなければ会社が疑われる側に回ります。
5番目も残す価値があります。不審な持ち込みを断った記録は、同じ相手が別の場所で問題を起こした際に、こちらの姿勢を示す材料になります。
承継の場面でも確認される
盗難対策と在庫管理の状況は、譲渡の調査で見られます。
- 在庫の数量が帳簿と合っているか
- 現金取引の割合と記録
- 買い取りの本人確認の運用
- 過去の盗難被害と、その後の対策
- 保険の加入状況
1番目が最も影響します。帳簿の在庫と現物が合わない会社は、数字そのものが信用されません。
2番目も指摘されます。現金の取引が多いこと自体は業種の特性ですが、記録が伴っていなければ問題として扱われます。防犯のために始めた記録が、そのまま承継の準備になります。
保険の内容を確認する
盗難が対象になるかを、契約内容で確かめてください。
- 屋外に保管した物が対象になるか
- 対象となる品目の範囲
- 支払の上限
- 被害を証明するために求められる資料
- 囲いや施錠が条件になっていないか
1番目が分かれ目です。屋外保管が対象外という契約は珍しくありません。
4番目を先に確認してください。求められる資料が分かれば、日常の記録の付け方が決まります。起きてから知るのでは間に合いません。
※ 防犯設備の設置や被害への対応は個別の状況によって異なります。具体的な対策は専門業者および所管の窓口にご相談ください。