この業種に固有の危険

一般的な災害の備えに加えて、次を想定してください。

  • 浸水により、抜いていない液類が流出する
  • 保管している廃油の容器が転倒、流失する
  • 積み上げた車両が崩れる、流される
  • 電動車の電池が水に浸かり、発熱や発火に至る
  • 停電で計量器や管理の仕組みが止まる
  • 重機が動かせなくなる、水没する
  • 敷地外に物が流出し、周辺に被害を与える
  • 強風で軽い部材や看板が飛ぶ

7番目が最も重い結果を招きます。自社の損害に加えて、周辺への責任が生じます

4番目は近年の新しい危険です。水没した電池は時間が経ってから発熱することがあります。取り扱いの手順を決めておく必要があります。

1番目は日常の運用と直結します。抜き取りを滞らせないことが、そのまま災害への備えになります。

先に決めておくこと

気象の予報が出た時点で動けるように、判断の基準を決めてください。

  • どの段階で作業を止めるか(警報の種類で決める)
  • 誰が判断するか、社長が不在の場合は誰か
  • 従業員をいつ帰すか
  • 重機をどこに移すか
  • 液類の容器をどう固定するか、どこへ移すか
  • 積み上げた車両を下げるか
  • 飛びやすい物をどう片付けるか
  • 電源をどう落とすか

2番目を決めておいてください。判断する人が決まっていないと、誰も決めないまま時間が過ぎます

4番目は事前の確認が必要です。敷地内で最も高い場所はどこか、そこに何台移せるか。実際に動かしてみて確かめてください。当日に考えると間に合いません。

6番目は時間がかかります。高く積んだ車両を下げるには重機と時間が必要です。だからこそ、平時の積み上げを低く保つことが備えになります。

設備面の備え

費用の低い順に挙げます。

  • 吸着材と土のうの常備:流出への初動に使う。
  • 容器の固定:転倒しない置き方、ベルト、囲い。
  • 高い場所の確保:液類と電池を置く区画を決める。
  • 排水経路の点検:詰まっていないか、逆流しないか。
  • 防液堤の設置:日常の漏えい対策と兼用できる。
  • 止水板:事務所や倉庫の入口に。
  • 非常用の電源:最低限の照明と通信を確保する。
  • 盛土や擁壁:費用が大きい。

1番目から4番目は、いずれも数万円から数十万円で対応できます。費用の大きい対策より、まずここを埋めてください

4番目は自社で確認できます。排水溝に土砂が詰まっていれば、少ない雨でも水が溜まります。定期的な清掃を運用に入れてください。

自社の地形を確認する

備えの内容は場所によって変わります。次を調べてください。

  • 自治体が公表している浸水の想定
  • 近くの河川、水路との位置関係
  • 敷地内の高低差
  • 過去に水が出た記録(近隣に聞く)
  • 土砂災害の想定区域に該当するか

4番目が実務的に有効です。長く住んでいる近隣の人は、どこまで水が来たかを覚えています。公表されている想定と合わせて確認してください。

3番目を測っておいてください。数十センチの差で、水没するかしないかが変わります。液類と電池を置く場所を決める根拠になります。

復旧の順序

起きた後の順序も決めておいてください。

  1. 人の安全を確認する:全員の所在。
  2. 敷地に入る前に危険を確認する:漏電、発熱、崩落。
  3. 流出の有無と範囲を確認する:敷地外に出ていないか。
  4. 写真を撮る:保険と行政への報告に使う。
  5. 流出があれば所管に連絡する
  6. 水に浸かった電池を隔離する:他の物から離す。
  7. 保険会社に連絡する
  8. 取引先に状況を伝える:いつから受け入れられるか。
  9. 片付けと処分の手配
  10. 再開の目処を立てる

2番目を飛ばさないでください。水が引いた直後の敷地は危険です。崩れかけた積み上げ、通電したままの設備、発熱している電池。急いで入って被災する例があります。

8番目が事業の継続に効きます。連絡がなければ、取引先は別を探します。「いつから受け入れられるか」を早く伝えるだけで、戻ってくる先が増えます。

保険と資金を確認する

  • 水災が対象に含まれているか
  • 屋外に保管した車両や部品が対象になるか
  • 重機や設備の補償
  • 休業した期間の補償
  • 敷地外への流出による責任の補償
  • 支払までの期間

2番目と5番目を確認してください。屋外の在庫が対象外である契約は珍しくなく、周辺への責任が対象外の場合もあります

6番目も把握しておいてください。保険金が入るまでの間、片付けと処分の費用が先に出ていきます。手元資金でどこまで持つかを見ておく必要があります。

1枚の手順書にまとめる

備えを文書にしてください。長いものは使われません。

1枚に次を入れてください。

  • 作業を止める判断の基準
  • 判断する人と、不在時の代理
  • 重機と液類を移す場所
  • 連絡先(消防、所管、保険、従業員)
  • 復旧時に入る前の確認事項

事務所と現場の両方に貼ってください。停電すれば、画面上の資料は見られません。紙で置くことが要点です。

年に一度確認する

作って終わりにしないでください。

  • 連絡先が現在のものか
  • 判断する人の顔ぶれが変わっていないか
  • 吸着材と土のうの在庫があるか
  • 排水経路が詰まっていないか
  • 移す場所が物で埋まっていないか

5番目が起きやすい問題です。避難させる区画に在庫を置いてしまい、当日使えないという事態が起こります。空けておく場所として周知してください。

※ 災害への備えや保険の適用範囲は個別の条件によって異なります。具体的な対策は所管の窓口および保険会社にご確認ください。