まず表を作る
主要な設備をすべて書き出してください。次の項目を並べます。
- 設備の名称と型式
- 取得年(分からなければ推定)
- 取得方法(購入・リース)と、リースなら残期間
- 取得価額
- 帳簿価額(決算書から)
- アワーメーターまたは稼働年数
- 直近3年の修理費
- 年間の稼働日数
- 扱える人の人数
- 残存年数の見立て
- 更新した場合の概算費用
- 撤去した場合の概算費用
10番目から12番目は、整備業者や解体業者に聞かなければ分かりません。そこまで含めて作ることが目的です。
対象に含めるもの
重機だけではありません。この業態で見落とされやすいものを挙げます。
- 重機、フォークリフト、トラック
- プレス、シャー、破砕機
- 選別設備、磁選機
- トラックスケール(計量器)
- 油圧ユニット、コンプレッサー
- フロン類回収装置
- 油水分離設備
- 建屋、屋根、囲い、舗装
- 事務所の設備、システム
7番目と8番目を忘れないでください。油水分離設備の更新や舗装の打ち直しは、金額が大きく、しかも許可の要件に関わります。
4番目の計量器も重要です。検定の期限があり、取引の根拠になります。
表から読み取れること
① 更新が集中する年が分かる
残存年数を並べると、特定の年に複数の設備が寿命を迎えることが見えます。
これが最も危険な状態です。同じ年に大きな投資が重なれば、資金が持ちません。分散させる計画が必要になります。
② 修理費の傾向が見える
修理費が年々増えている設備は、限界に近づいています。更新の優先順位が数字で決まります。
③ 稼働していない設備が見つかる
年間稼働日数を書くと、ほとんど使っていない設備が浮かび上がります。維持費と場所を食っているだけかもしれません。
④ 1人しか扱えない設備が分かる
経営リスクとして把握すべき項目です。
⑤ 撤去費用の総額が見える
これが廃業や譲渡の判断材料になります。すべての設備を撤去したらいくらかかるのか。この数字を知らなければ、どの選択も比較できません。
投資計画に落とす
表ができたら、5年分の計画を作ってください。
- どの年に、どの設備を更新するのか
- それぞれの概算費用
- 資金をどう手当てするのか
- 更新しないと決めた設備は、いつまで使うのか
4番目を明示することが重要です。「更新しない」も判断です。使い切ったら外注に切り替える、その工程をやめる、といった設計が必要になります。
そして計画は、引退の時期と照らしてください。引退まで5年なら、5年で回収できない投資は慎重に判断することになります。
承継の場面で使う
この表は、買い手が最初に知りたい情報です。
買い手の視点を整理します。
- 引き継いだ後、いつ、いくら投資が必要になるのか
- 稼働している設備はどれだけあるか
- 撤去しなければならない設備はあるか
- リースの残債はどうなるか
- 扱える人が残るのか
1番目が価格に直接影響します。「引き継いだ翌年に数千万円の投資が必要」と分かれば、その分が価格から差し引かれます。
そして、この情報を売り手が把握していない場合、買い手は最悪の想定で見積もります。表を示せることが、交渉の土台になります。
更新するか、そのまま譲るか
表を見ると、この判断が具体的になります。
比較すべき数字を挙げます。
- 更新した場合の投資額
- 更新した場合、譲渡価格がどれだけ上がる見込みか
- 更新しない場合、価格からどれだけ差し引かれるか
- 更新しない場合、撤去費用は誰が負担するのか
2番目と3番目の差が投資額を上回るなら、更新する合理性があります。下回るなら、そのまま譲るほうが手元に残ります。
この試算をするには、譲渡した場合の評価を知る必要があります。相談先に、両方の場合の見込みを聞いてみてください。表を持って行けば、具体的な話になります。
年に一度更新する
一度作ったら、毎年更新してください。決算の作業に合わせるのが現実的です。
更新するのは次の項目です。
- アワーメーターの値
- その年の修理費
- 稼働日数
- 残存年数の見立て(減らす)
- 新たに取得した設備を追加
- 処分した設備を削除
数年分たまると、設備がどう老いてきたかの履歴になります。これは口頭の説明よりはるかに強い材料です。
まず1時間、思い出せる範囲で書く
完璧な表を目指すと着手できません。次の手順で始めてください。
- 紙を1枚用意し、思い出せる設備をすべて書く(30分)
- 取得年を思い出せる範囲で入れる(分からなければ「たぶん○年頃」でよい)
- 決算書の固定資産台帳と突き合わせる(帳簿価額と取得年が正確に分かります)
- アワーメーターを見て回る
- 足りない情報を、業者に聞く
3番目が効率的です。固定資産台帳を見れば、取得年と価額が正確に分かります。税理士に依頼すれば出してもらえます。
そして台帳を見ると、すでに処分したはずの設備が載っていることがあります。除却していない資産です。これも整理すべき項目として見つかります。
※ 残存年数や更新費用の見立ては専門家の助言に基づいて行ってください。税務上の帳簿価額と実際の価値は一致しません。