何が違うのか

2つの売り方の性質を押さえてください。

まとめて売る

  • 作業が少ない
  • 回転が速い
  • 1点あたりの金額が大きい
  • ただし合計の売上は低くなる
  • 買う相手が限られる

単品に分けて売る

  • 合計の売上が高くなる
  • 買う相手の範囲が広がる
  • ただし分解の手間がかかる
  • 売れ残る部品が出る
  • 保管の点数が増える
  • 掲載と管理の手間が増える

単品の4番目が判断の核心です。分けた10点のうち3点しか売れなければ、残り7点は在庫と処分費になります

合計の売上だけを比べると分けたほうが有利に見えます。売れ残りと手間を含めて比べる必要があります。

計算の方法

部位ごとに次を出してください。

  • まとめて売った場合の金額と、売れるまでの日数
  • 分けた場合の各部品の想定価格
  • そのうち実際に売れる割合(過去の実績から)
  • 分解にかかる時間
  • 掲載と管理にかかる時間
  • 売れ残った分の処分費

3番目が要点です。「全部売れたら」で計算すると、必ず分けたほうが有利に見えます。実績の割合を使ってください。

記録がなければ、まず記録から始めてください。3か月分でも傾向が見えます。

部位ごとの傾向

一般的な傾向を示します。自社の実績で確認してください。

  • まとめて売るほうが向く:需要が特定の相手に集中するもの、分解に工具と時間がかかるもの、単品にすると価値が下がるもの
  • 分けたほうが向く:部品ごとに需要があるもの、単品の単価が高いもの、分解が容易なもの

判断の材料になる問いを挙げます。

  • 分解に何分かかるか
  • 分けた部品それぞれに注文の実績があるか
  • 単価の高い部品が含まれているか
  • まとめて買う相手が確保できているか
  • 保管の場所に余裕があるか

4番目が大きく効きます。まとめて確実に買ってくれる相手があるなら、そちらのほうが資金効率が高くなります

混ぜた戦略が現実的

どちらか一方に決める必要はありません。

  • 単価の高い部品だけ外して、残りはまとめて売る
  • まず一定期間まとめて出し、売れなければ分ける
  • 注文が来た部品だけ外す(在庫を持たない)
  • 需要の多い部品だけ先に取る

3番目が在庫を増やさない方法です。まとめた状態で置いておき、注文が入った部品だけ外して出す。棚の点数が増えません。

ただしこの形は、注文に対する対応の速さが必要です。外すのに時間がかかると機会を逃します。

2番目も有効です。期限を決めて、過ぎたら方針を変える。判断を先送りしない形になります。

保管の制約から考える

置ける場所が有限であることを前提にしてください。

  • 棚の空きがどれだけあるか
  • 点数が増えると探す時間が増える
  • 棚卸の負担が増える
  • 滞留した部品が場所を占める

棚が満杯に近い会社は、分ける判断を絞ってください。置く場所がない状態で点数を増やすと、管理が崩れます

逆に空きが多いなら、分ける余地があります。ただし埋まる速さも見てください。半年で満杯になるなら、その先の判断が必要です。

方針を書いて共有する

現場が判断できる形にしてください。

  • 部位ごとに、まとめるか分けるかの基本方針
  • 単品で必ず外す部品の一覧
  • 取らない部品の一覧
  • 迷ったときの判断者
  • 見直す時期

3番目を作ることが最も効きます。「これは取らない」を明示すれば、無駄な作業と在庫が減ります

そして実績に基づいて見直してください。半年に一度、売れた部品と残った部品を並べれば、一覧を更新できます。

相場と需要で変わる

  • 素材の相場が高ければ、分けずに出す判断が増える
  • 部品の需要が高い車種は分ける価値がある
  • 旧型車は単品の需要が残る
  • 新しい車種は部品の需要が少ない場合がある

1番目は見落とされます。鉄や非鉄の相場が高い局面では、手間をかけて分けるより素材として出したほうが早い場合があります

作業の負担も判断に入れる

金額だけでなく、現場の負担を見てください。

  • 分解に必要な工具と設備があるか
  • できる人が限られていないか
  • その時間を他の工程に回したほうがよいか
  • 作業に危険が伴わないか

2番目が属人化につながります。特定の人しか分解できない部位は、その人の負担が偏ります

3番目も考えてください。分解に時間をかけている間、入庫した車が滞留しているなら、そちらを進めたほうが早く現金になります。

記録を残して見直す

  • 分けた部位と、売れた点数
  • 売れなかった点数と処分費
  • 分解にかかった時間
  • まとめて売った場合の実績

半年分たまれば、部位ごとの判断が数字で決まります。感覚で続けている判断のうち、いくつかは逆だったと分かります

※ 採算の判断は各社の実績と保管の状況によって異なります。具体的な検討は専門家にご相談ください。