なぜ会議が必要なのか
この業界では、経営数値が社長だけのものになっていることが多くあります。
その結果、次のことが起きます。
- 現場が、自分の作業が利益にどう影響するか分からない
- 相場が下がった月に「今月は悪かった」と言われても、理由が分からない
- 改善の提案が出てこない
- 判断を任せられない
- 承継のときに、誰も会社の状況を説明できない
逆に、数字が共有されている会社では現場の行動が変わります。品位を上げれば単価が上がると分かれば、選別に手をかけるようになります。
並べるべき数字
この業態で意味を持つ指標を挙げます。すべてを見る必要はありません。自社の事業構成に応じて5〜8個に絞ってください。
量の指標
- 入庫台数(引取元の区分別)
- 解体台数
- 出荷トン数(品目別)
- 部品の出庫点数
単価の指標
- 品目別の平均売却単価
- 1台あたりの粗利
- 買取単価の平均
効率の指標
- 在庫回転率、在庫日数
- 入庫から出荷までの日数
- 1台あたりの作業時間
安全・管理の指標
- 労災、ヒヤリハットの件数
- 移動報告の遅延件数
- 返品、クレームの件数
最後の群を入れることをお勧めします。売上だけを見る会議は、安全を犠牲にする方向に働きます。並べる数字が行動を決めます。
粒度と見せ方
細かすぎる資料は読まれません。次の原則で作ってください。
- 1枚にまとめる:A4で1枚。それ以上は詳細資料として別に。
- 前年同月と並べる:季節性があるため、前月比だけでは判断できません。
- 推移を見せる:単月の数字より、12か月の動きが分かる形。
- 量と単価を分ける:売上の増減がどちらの要因か分かるように。
- グラフを使う:数字の羅列より伝わります。
4番目がこの業態では特に重要です。「売上が減ったのは相場のせいか、量が減ったせいか」を判別できる形にしてください。
会議の進め方
1時間以内で終わる設計にしてください。長い会議は続きません。
- 数字を確認する(15分):資料を読み上げるのではなく、動いた項目に絞る。
- なぜそうなったかを話す(20分):現場から見た理由を聞く。
- 今月やることを決める(15分):1つか2つに絞る。
- 前月に決めたことの確認(10分):やったか、結果はどうか。
4番目を必ず入れてください。決めたことを確認しない会議は、決めても実行されません。
そして2番目で、社長が話しすぎないこと。現場に話させてください。理由を説明させることが、考える訓練になります。
誰を入れるか
規模によりますが、次の考え方があります。
- 全員:小規模なら可能。共有が最も進む。
- 各工程の責任者:10人以上なら現実的。
- 幹部候補のみ:判断を渡す準備段階として。
どの形でも、会議で話された内容が現場に伝わる経路を作ってください。参加者から伝える、掲示する、朝礼で共有する。伝わらなければ意味がありません。
数字が出ないという問題
始めようとすると、多くの会社でこの壁に当たります。月次の数字が翌月末になっても出ない。
原因は多くの場合、在庫評価です。棚卸に手間がかかるため、締めが遅れます。
対応としては次の考え方があります。
- 正確な在庫評価は決算時のみとし、月次は概算で回す
- 量の指標(台数、トン数)だけ先に出す
- 品目別の在庫を日常的に把握する仕組みにする
2番目が現実的な出発点です。金額が出るのを待たず、量の指標から始めてください。台数とトン数は、伝票から集計できます。
そして量の指標だけでも、共有には十分な価値があります。相場に左右されないため、むしろ現場の努力が見える指標です。
続けることが価値になる
最初の数回は、話が出ないかもしれません。数字を見慣れていないためです。
3か月続けると変わってきます。半年続けば、現場から提案が出るようになります。1年続けば、12か月分の推移という資産ができます。
そしてこの資料は、承継の場面でそのまま使えます。買い手が知りたいのは、まさにこの数字です。金融機関との折衝でも同じです。
月に1時間の投資で、経営の見える化と承継の準備が同時に進みます。来月から始められます。
最初は3つの数字でよい
完璧な資料を作ろうとすると始まりません。次の3つから始めてください。
- 入庫台数:前年同月と並べる
- 出荷トン数:主要品目のみ
- ヒヤリハット・労災の件数
いずれも伝票から集計できます。金額が出るのを待つ必要がありません。
3番目を最初から入れてください。安全を議題に含めない会議は、生産だけを追う方向に働きます。件数がゼロなら、それを確認するだけで済みます。
3か月続けて形ができたら、単価と粗利を加えてください。段階的に増やすほうが、続きます。
※ 指標の選び方や会議の形は組織の規模によって異なります。自社で続けられる形から始めてください。