相談しないことのリスク
自己判断で進めた結果、後から問題になる場面を挙げます。
- 廃棄物の区分を誤り、必要な手続きを取っていなかった
- 許可の範囲外の行為をしていた
- 施設の基準を満たさない改修をしてしまった
- 届出が必要な変更を届け出ていなかった
いずれも相談していれば防げたものです。そして発覚したとき、「自己判断で進めた」という事実が状況を悪くします。
逆に、相談した記録があれば「確認したうえで進めた」と説明できます。判断が結果的に誤っていたとしても、扱いが変わります。
準備してから行く
相談の質は、準備で決まります。手ぶらで行くと一般論しか返ってきません。
持っていくものを挙げます。
- 敷地の図面:配置、面積、既存の設備が分かるもの
- 写真:現状、対象となる物、施設の状態
- 保有する許可・登録の一覧:許可証の写しも
- 具体的な質問:紙に書いて用意する
- 取引の条件:相談内容に関わる場合(価格、相手方、経緯)
4番目が最も重要です。「どうすればいいですか」ではなく「こう考えているが、この理解で合っているか」と聞く。前者では答えようがありません。
聞き方を設計する
同じ内容でも、聞き方で回答が変わります。
良い聞き方
- 「この物について、有価物として扱えると考えていますが、判断の要素として何を確認すべきでしょうか」
- 「この作業を行うために、解体業許可の範囲で足りるか、産業廃棄物処理業の許可も必要になるかを確認したいです」
- 「この範囲を舗装する計画です。基準を満たすか、図面で確認いただけますか」
避けたい聞き方
- 「これって大丈夫ですか」(何を聞かれているか分かりません)
- 「他社もやっているのですが」(判断の材料になりません)
- 都合の悪い事実を伏せて聞く(後で問題になります)
3番目が最も避けるべきです。前提が違えば回答も違います。伏せて得た回答は、根拠として使えません。
記録を残す
相談したら、必ず記録してください。
- 相談した日付と時刻
- 窓口の部署名と担当者名
- 相談した内容(持参した資料も含めて)
- 回答の内容
- 次に何をすることになったか
そしてその場でメモを取り、帰ってから文書にまとめてください。記憶に頼ると、細部が曖昧になります。
可能であれば、後日「先日ご相談した内容について、このように理解しました」と文書で確認するという方法もあります。認識の相違を防げます。
回答が曖昧なとき
「個別の判断になります」「ケースバイケースです」という回答が返ることがあります。
そこで終わらせず、次を聞いてください。
- 判断の要素として、何が考慮されるのか
- どういう場合に該当し、どういう場合に該当しないのか
- 他に確認すべき窓口はあるか
- 参考になる資料や通知はあるか
4番目が有効です。判断の根拠となる文書を教えてもらえれば、自社で検討できます。
関係を築くことの効果
相談を重ねると、次の効果が生まれます。
- 制度の改正や新しい条例の情報が早く得られる
- 立入検査の際、日常的に管理している会社として扱われる
- 指導を受けた場合も、改善に向けた相談ができる
- 判断に迷う案件を気軽に確認できる
2番目が実務で効きます。普段から相談に来ている会社と、問題があったときだけ現れる会社では、対応が変わります。
もちろん相談すれば不備を指摘されることもあります。しかしそれは、後から発覚するより良い形です。
担当者が代わることに備える
行政の担当者は異動します。同じ質問に対して、以前と違う回答が返ることもあります。
そのために記録が要ります。
- 以前の相談記録を持参する
- 「以前このように確認しましたが、認識は変わっていませんか」と聞く
- 回答が変わった場合、その旨も記録する
自社の担当者が代わる場合も同じです。相談の履歴が引き継がれていなければ、また同じことを聞くことになります。記録を1か所にまとめてください。
承継の場面での価値
相談の記録は、承継の調査で評価される材料です。
示せることを挙げます。
- 判断に迷う案件を確認してきた履歴
- 行政との関係が良好であること
- 制度の変更に対応してきた経緯
- 指導を受けた場合、どう改善したか
買い手にとって、行政とのやりとりが記録されている会社は、隠れたリスクが少ないと映ります。自己判断で進めてきた会社は、その逆です。
今から記録を始めれば、数年後には履歴になります。次に相談する機会から、日付と担当者、回答を残してください。
相談すべき場面を決めておく
毎回相談するのは現実的ではありません。基準を決めてください。
相談すべき場面の例を挙げます。
- 新しい品目を受け入れるかどうか判断するとき
- 取引の形が変わったとき(有価から逆有償へ、など)
- 施設を改修する前(工事を発注する前に)
- 事業所を移転、増設するとき
- 新しい作業を始めるとき
- 役員が変わるとき(届出の要否と欠格要件)
- 判断がつかない持込みがあったとき
3番目が最も金額的な影響が大きい場面です。基準を満たさない工事をしてしまうと、やり直しになります。図面の段階で確認してください。
逆に、日常の運用について都度相談する必要はありません。一度確認した内容を記録し、社内の基準にすればよいのです。
※ 行政の回答は個別の事情に基づくものであり、他の案件に一般化できるとは限りません。案件ごとにご確認ください。