なぜ届出が求められるのか
インターネット上の取引は、対面と違って相手も所在も見えません。だからこそ、どの事業者がどのURLで営業しているかを明らかにすることが求められます。
あわせて、サイト上に許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称を表示することが求められます。表示の方法や記載事項は運用によって異なるため、管轄窓口に確認してください。
表示については、実際に自社のサイトを開いて確認してみてください。制作時に入れたつもりでも、リニューアルで消えていることがあります。モールの店舗ページにも表示欄があることを見落としがちです。
表示は、お客様に対する情報でもあります。許可を受けた事業者だと分かることは、高額品を買う側にとって安心の材料になります。義務として最小限に載せるのではなく、信頼の裏づけとして見える場所に置くと効果が出ます。
対象になり得る範囲
次のような場合、届出の要否を確認する必要があります。
- 自社のECサイトで古物を販売する
- モールに出店して販売する
- オークションサイトに出品する
- ウェブ上で買取の申込みを受け付ける
判断は個別の実態によります。「これは届出が要るか」を、始める前に管轄の警察署に確認してください。
4番目の買取申込フォームは、見落とされやすい項目です。「販売はしていないから関係ない」と考えてしまいますが、買取の申込みを受け付ける仕組みも確認の対象になり得ます。フォームを設置する前に相談してください。
モール出店の扱い
自社ドメインを持たないモール出店でも、店舗ページのURLが対象になり得ます。複数のモールに出店するなら、それぞれについて確認が必要です。
ここが最も漏れやすい部分です。「モールだから自社サイトではない」と考えて、届け出ていないケースが実際にあります。
複数出店している場合は、出店先の一覧を作っておいてください。担当者が変わると「どこに出店しているか」が把握されていない状態になります。一覧があれば点検も引き継ぎも簡単です。
追加・変更のタイミング
新しいモールに出店した、独自ドメインに切り替えた、サイトをリニューアルしてURLが変わった。いずれも届出の要否を確認する場面です。
EC担当者が独自に判断して出店を増やしていると、届出が追いつきません。「新しい販路を開くときは許認可の確認をする」というルールを社内に置いてください。
社内ルールにするときは、出店の意思決定の工程に確認を組み込むのが確実です。出店してから届け出るのではなく、出店を決める段階で確認する。この順序にしておけば漏れません。
届出漏れが招くこと
まず、指導や処分の対象になり得ます。加えて、実務上の影響があります。
- 買収監査で指摘され、是正が条件になる
- モール側の審査で、許可情報の確認を求められたときに整合しない
- 是正までECを止めることになり、売上に影響が出る
3番目の影響は、売上への打撃として直接効きます。ECの比率が高い店ほど、止めている期間の損失が大きくなります。「後で届け出ればよい」と考えず、始める前に確認してください。
点検のしかた
年に1回、次を並べて確認してください。
- いま古物の取引に使っているURLをすべて書き出す(モール・自社サイト・買取申込フォーム)
- 届出済みのURL一覧と突き合わせる
- 各サイトに、許可に関する表示が正しく載っているかを確認する
書き出すときは、EC担当者だけでなく実際にサイトを見て確認してください。担当者の記憶に頼ると、過去に作って放置しているページが漏れることがあります。
EC担当者に共有しておきたいこと
届出漏れは、経営者が把握していないところで生じます。現場に次の点を伝えておいてください。
- 新しい販路を開く前に確認が必要だということ — 「モールに出すだけ」でも手続きが関わります
- 誰に確認するのか — 相談先が決まっていないと、判断がその場の担当者に委ねられます
- URLが変わる場面 — 独自ドメインへの切り替え、サイトのリニューアル、店舗ページの移転。いずれも確認が要ります
- サイトに載せる表示 — 許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称。リニューアルで消えやすい部分です
- 止まったときの影響 — 是正までECを止めることになれば売上に直結します。手続きを軽く見ないよう伝えてください
とくに2番目を決めておくことが効きます。相談先が明確なら、現場は迷ったときに聞いてくれます。
まとめ
ECを始める前に、URLの届出と表示を確認する。販路を増やすたびに同じ確認をする。この2つを社内ルールにしてください。
いま出店しているモールをすべて書き出すところから始めましょう。
いま出店しているモールと自社サイトのURLを書き出すところから始めてください。一覧ができれば、届出済みのものと突き合わせるだけです。点検のしかたについてはご相談いただけます。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。古物営業法にもとづく許可の要否・必要書類・審査期間や、本人確認義務の具体的な運用は、法令の改正や管轄する警察署・公安委員会の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄窓口および専門家にご確認ください。