管理監督者とは

労働時間などに関する規定の一部が適用されない立場です。ただし、役職名ではなく実態で判断されます。「店長」という肩書きがあるだけでは足りません。

役職名ではなく実態で判断されるという点が要点です。「店長」という肩書きがあるだけでは足りません。

判断される要素

一般に、次のような点が総合的に見られると考えられています。

  • 経営者と一体的な立場か:経営に関する意思決定に関与しているか
  • 権限があるか:採用、人事評価、シフト編成、仕入れの決裁
  • 勤務時間の裁量があるか:出退勤を自分で決められるか
  • 待遇が相応か:その立場にふさわしい賃金が支払われているか

この4つは総合的に見られると考えられています。どれか1つを満たせばよいというものではありません。自店の店長がそれぞれに当てはまるかを確認してください。

リユース店で問題になりやすい点

  1. シフトに組み込まれている:一般スタッフと同じように店番をしている
  2. 買取の決裁権限がない:一定額を超えると本部の承認が要る
  3. 採用や評価の権限がない:本部が決めている
  4. 待遇が一般スタッフとほとんど変わらない:役職手当が少額
  5. 人手が足りず、実質的に長時間労働になっている
  6. とくに1番目と4番目が重なると、管理監督者とは認められにくくなります。

    とくに1番目と2番目が実態を分けます。シフトに組み込まれて店番をしていて、買取の決裁権限もない状態では管理監督者として扱うのは難しくなります。

    リスクの大きさ

    認められなかった場合、遡って割増賃金の支払いが必要になる可能性があります。店長は長時間働いていることが多いため、1人あたりの金額が大きくなりがちです。

    買収監査でも重点的に確認されます。複数店舗を持つ会社では、店長の人数分だけリスクが積み上がります。

    店長は長時間働いていることが多いため、1人あたりの金額が大きくなりがちです。複数店舗を持つ会社では店長の人数分だけリスクが積み上がります。

    是正の方向

    選択肢は2つです。

    • 実態を伴わせる:権限を与え、勤務時間の裁量を持たせ、待遇を相応にする
    • 管理監督者として扱わない:勤怠を記録し、時間外労働に対して支払う

    どちらが適切かは、店の規模と運営体制によります。中途半端な状態が最もリスクが高いという点は共通です。

    中途半端な状態が最もリスクが高いという点は共通です。権限を与えて実態を伴わせるか、管理監督者として扱わないか。どちらかに寄せてください。

    権限を与えるという選択

    実は、権限を与えるほうが経営にもプラスです。

    • 買取の決裁権限があれば、現場で判断できて機会損失が減る
    • 採用と評価の権限があれば、店のチームづくりが進む
    • 数字の責任を持てば、店長が育つ

    これは承継の準備そのものでもあります。経営者以外が判断できる店になります。

    これは承継の準備そのものでもあります。経営者以外が判断できる店になれば、店主が抜けても回る体制に近づきます。労務の是正が事業価値の向上につながる典型例です。

    権限を与える場合に渡すもの

    管理監督者として扱うなら、実態を伴わせる必要があります。具体的には次を渡してください。

    1. 買取の決裁権限 — 一定額までは店長の判断で決められるようにします。現場で判断できれば機会損失も減ります
    2. シフト編成の権限 — 人員配置を自分で決められることが、勤務時間の裁量の前提になります
    3. 採用への関与 — 面接と採否の判断に関わってもらいます
    4. 評価の権限 — スタッフの評価を店長が行う形にします
    5. 数字の責任と情報 — 店の粗利、在庫日齢、買取件数。判断するための情報を渡します
    6. 相応の待遇 — 一般スタッフとの差が小さければ、実態として認められません

    この6つを渡すと、店長が経営者に近い立場で判断するようになります。労務の是正であると同時に、承継の準備としても意味のある投資です。

    まとめ

    店長を管理監督者として扱うには、権限・裁量・待遇の実態が要ります。肩書きだけでは通りません。

    まず、いまの店長にどんな権限があるかを書き出してみてください。判断はそこから始まります。

    いまの店長にどんな権限があるかを書き出してみてください。判断はそこから始まります。整理のしかたについてはご相談いただけます。

    ※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。労働法令の具体的な適用や必要な手続きは、法改正や個別の事情によって異なります。実際の対応にあたっては、社会保険労務士等の専門家および所轄の労働基準監督署にご確認ください。