何が起きるか

  1. 役員だが決裁権がない状態が続く
  2. スタッフが後継者を通さず店主に相談する
  3. 後継者が当事者意識を持てない
  4. 報酬だけ上がり、周囲の目が厳しくなる
  5. 責任の所在が曖昧になる

段階の設計

段階渡すもの目安
1特定の業務の責任売場・EC など
2金額を区切った決裁権買取の上限額
3部門全体の損益責任店舗単位
4会社全体の意思決定代表交代

各段階にいつまでに次へ進むかを書いてください。期限がないと止まります。

同時に決めておくこと

  • 店主がどこまで関与するか(口を出す範囲)
  • スタッフへの説明と指示系統
  • 報酬と責任の対応
  • うまくいかなかった場合の見直し時期

店主側の引き際

権限を渡したあとに口を出すと、段階設計は無意味になります。相談を受けたら答える、聞かれなければ言わないという線を決めてください。

特に査定と値付けは口を出したくなる領域です。上限額の枠内は任せる、と決めておくことをおすすめします。

役員にする際の実務

  • 役員報酬の額と決め方
  • 役員としての責任の説明
  • 個人保証を求められる可能性
  • 登記の手続き

肩書きと権限を対応させる

ずれた状態を放置すると、組織が機能しません。

  1. 渡す権限を書き出す — 決裁の金額、人事、投資
  2. 肩書きと対応させる
  3. 従業員に明示する
  4. 前経営者の役割を明確にする
  5. 指示のルートを一本化する
  6. 段階的に範囲を広げる

5番目が実務上の要点です。前経営者が直接従業員に指示を出す状態が続くと、後継者の権限は実質的に存在しません。指示は後継者経由にする、という運用を徹底してください。

前経営者の引き際

渡す側の姿勢が、承継の成否を決めます。

  • 関与する範囲を決める
  • 出社の頻度を段階的に減らす
  • 従業員の前で後継者を否定しない
  • 相談されたら、後継者に確認するよう促す
  • 取引先の窓口を移す
  • 終了の時期を明示する

4番目の対応を徹底してください。従業員が前経営者に相談してきたとき、答えてしまうと権限が戻ります。「それは新体制で決めることです」と返す姿勢が、移譲を実質的なものにします。

役員にする場合の実務

肩書きを渡すには、手続きが伴います。

  • 株主総会の決議
  • 登記の手続き
  • 報酬の決定
  • 社会保険の切り替え
  • 古物商許可の届出 — 役員の変更です
  • 各種契約の名義の確認

5番目を忘れないでください。役員の変更は、許可に関する届出の対象になります。期限が定められている場合があるため、就任と同時に手続きを進めてください。所轄の警察署にご確認ください。

段階の到達点を数字で決める

次の段階に進む条件を、明確にしてください。

  • 担当カテゴリの粗利目標
  • 決裁した取引の件数
  • 査定の精度 — 実売額との差です
  • 従業員からの相談の集まり方
  • 数値目標を達成したら、次の権限を渡す

5番目の運用が、移譲を進めます。「そろそろいいだろう」で権限を渡すと、本人も何を目指せばよいか分かりません。条件を数字で示せば、後継者も準備ができ、渡す側も判断に迷いません。

まとめ

肩書きより先に権限と期限を設計してください。

「とりあえず」で始めた状態は、そのまま何年も続きます。