起きやすい問題

  1. 表明保証違反を主張された:在庫、労務、法令
  2. 分割払いの支払いが滞った
  3. 引き継ぎの関与を、契約以上に求められた
  4. 従業員の処遇が、約束と違う
  5. 競業避止義務の解釈で揉めた
  6. アーンアウトの計算で見解が分かれた
  7. 個人保証が解除されない

まず契約書を確認する

ほとんどの問題は、契約書に答えがあります。

  • 表明保証の範囲と、補償の上限・期間
  • 通知義務の有無と期限
  • 引き継ぎ関与の期間と業務範囲
  • 紛争が生じた場合の解決方法(協議、調停、裁判所)

契約書を手元に置いておいてください。成約後、どこかにしまい込んでしまう方が多くいます。

相談先

  • 契約書を確認した弁護士:最も適切。経緯を知っています
  • 仲介会社・FA:契約上の役割が終わっていることもあります
  • 顧問の税理士:税務が絡む場合
  • 公的な相談窓口:事業承継・引継ぎの支援機関

契約時に弁護士を使っていなかった場合、ここで困ります。それが、契約前に弁護士に見てもらうべき理由です。

表明保証違反を主張されたら

  1. 主張の内容と根拠を、書面で受け取る
  2. 契約書の該当条項を確認する(範囲、上限、期間)
  3. 自社の記録と照合する
  4. 弁護士に相談してから回答する
  5. その場で認めない:安易な承認は不利になります

引き継ぎで求められすぎる場合

「もう少し来てほしい」が続くことがあります。

  • 契約上の業務範囲と期間を確認する
  • 超える場合は、追加の報酬を提示する
  • 期限を再設定し、書面で確認する

好意で無償で応じ続けると、際限がなくなります。

予防のしかた

  1. 契約前に、必ず弁護士に確認してもらう
  2. 引き継ぎの業務範囲と期間を、契約書に明記する
  3. 個人保証の解除時期を、契約書に明記する
  4. 成約後も、記録を保管しておく(在庫データ、真贋判定、労務)
  5. 引き継ぎ期間中のやり取りを、記録に残す

4番目が重要です。成約後に主張されたとき、自社の記録が唯一の反論材料になります。

起きやすい問題を想定しておく

成約後のトラブルには、共通のパターンがあります。

  • 表明保証違反を主張される — 在庫、労務、法令に関するものです
  • 引き継ぎで過大な関与を求められる — 契約の範囲を超える要求です
  • 分割払いが遅延する
  • 従業員の処遇が約束と違う
  • 競業避止の解釈で争いになる
  • 個人保証が解除されていない

6番目は成約後に発覚することがあります。買い手との合意だけでは解除されず、金融機関の手続きが必要です。引き渡し後に確認したら解除されていなかった、という事態が起こりえます。書面で解除を確認するまで、完了したと考えないでください。

問題が起きたときの初動

対応の順序を間違えないでください。

  1. 契約書を確認する — 該当する条項と、定められた手続きです
  2. 感情的に反応しない — 記録に残る形での即答は避けます
  3. 事実関係を確認する — 自社の記録と照合します
  4. 専門家に相談する — 回答する前に相談してください
  5. 書面でやり取りする — 口頭の約束を重ねないでください
  6. 期限を確認する — 通知や対応の期限が定められている場合があります

4番目を必ず先に行ってください。請求を受けた段階での回答の内容が、その後の交渉を左右します。安易に非を認めたり、逆に全面的に否認したりする前に、契約書に基づく自社の立場を専門家と確認してください。

予防のためにできること

成約前の準備が、成約後のトラブルを減らします。

  • 不利な情報を、契約前にすべて開示する — 最も効果的な予防策です
  • 開示の記録を残す — 何をいつ伝えたかです
  • 表明保証の範囲を限定する
  • 補償の上限と期間を定める
  • 引き継ぎの範囲を具体的に定める
  • 個人保証の解除を、実行の条件にする
  • 相談できる専門家を、成約後も確保しておく

7番目を軽視しないでください。成約とともに専門家との関係が終わると、問題が起きたときに一から相談先を探すことになります。契約に関与した弁護士に、成約後も相談できる形にしておいてください。経緯を知っている専門家がいることの価値は大きくなります。

まとめ

成約後の問題は、契約書に答えがあることがほとんどです。契約書と記録を手元に保管してください。

相談先は、契約を確認した弁護士が最適です。だからこそ、契約前に弁護士を使ってください。