許可の性質
古物商の許可は、誰に与えられているかが重要です。個人で取得した許可は、その個人に対するものです。法人で取得した許可は、法人に対するものになります。
この違いが、相続や承継のときに大きく効いてきます。具体的な取り扱いは管轄の警察署に確認してください。
法人化の利点
| 面 | 内容 |
|---|---|
| 承継 | 代表交代で事業を続けやすい |
| 信用 | 法人との取引がしやすい |
| 資金 | 融資の選択肢が広がる |
| 譲渡 | 株式の譲渡という形が取れる |
法人化の負担
- 設立の費用と手間
- 社会保険の加入義務
- 決算・申告の負担が増える
- 赤字でも一定の税負担がある
- 許可の取り直しが必要になる
許可の取り直しには時間がかかります。営業の空白が生じないよう段取りが要ります。
判断の材料
- 事業を次の代に渡したいか
- 売上・利益の規模
- 法人との取引を増やしたいか
- 店主の年齢と健康状態
- 後継者候補の有無
進め方
税理士に税務面を、行政書士や管轄の警察署に許可の手続きを確認してください。両方を並行して確認しないと、時期の設計ができません。
判断の材料を整理する
費用と手間がかかる分、基準を持って判断してください。
- 事業の規模 — 売上と利益の水準です
- 承継の予定 — 数年内に譲る、継がせる予定があるか
- 従業員の有無
- 取引先の要望
- 税負担の比較 — 個人と法人で試算します
- 社会保険の負担
2番目に該当するなら、優先度が上がります。個人の許可は、その人に帰属します。相続や譲渡の場面での扱いを、所轄の警察署に確認したうえで判断してください。税務面は税理士にご相談ください。
手続きと期間を見込む
思い立ってすぐできるものではありません。
- 法人を設立する
- 法人として古物商許可を取得する — 個人の許可は引き継がれません
- 許可が下りるまでの期間を見込む
- 資産を移転する — 在庫、設備、契約
- 契約の名義を変更する — 賃貸借、リース、口座
- 個人事業の廃業手続きを行う
2番目と3番目に時間がかかります。法人の許可が下りるまで、法人としての営業はできません。移行の時期を計画に織り込んでください。手続きの詳細は、所轄の警察署および行政書士にご確認ください。
費用と継続的な負担
設立時より、毎年の負担のほうが判断に影響します。
- 設立の費用
- 許可の申請費用
- 専門家への報酬
- 資産移転に伴う費用と税負担
- 毎年の維持費用 — 決算、申告、法人住民税
- 社会保険の負担
5番目と6番目を試算してください。利益の水準に対して負担が見合うかを、税理士に確認してもらってください。規模が小さい場合、法人化によって手取りが減ることもあります。数字で判断してください。
法人化しない場合の備え
個人のまま続ける判断をした場合でも、できることがあります。
- 許可の相続時の扱いを確認しておく
- 家族に必要な手続きを伝えておく
- 在庫と設備の一覧を作っておく
- 取引先と販路の一覧を作っておく
- 相談できる専門家を決めておく
- これらを1枚にまとめておく
6番目が実務上いちばん役に立ちます。個人事業では、経営者に何かあったとき、家族が何をすべきか分からない状態になりがちです。許可の扱い、営業の継続、相談先を1枚にまとめて渡しておいてください。
まとめ
法人化の最大の理由は、事業を続けられる形にすることです。
許可の取り直しに時間がかかる点を、必ず段取りに入れてください。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。古物営業法にもとづく許可の要否・必要書類・審査期間や、本人確認義務の具体的な運用は、法令の改正や管轄する警察署・公安委員会の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄窓口および専門家にご確認ください。