査定が上手い=幹部向き、ではない

優秀な査定担当が、必ずしも良い幹部になるとは限りません。求められる能力が違うからです。

査定担当幹部
個々の商品を見る全体の数字を見る
自分の判断の精度他人に判断させる仕組み
短期の成果中長期の設計

見るべき資質

  1. 数字を見る習慣があるか:言われなくても実績を確認しているか
  2. 原因を考えられるか:数字が動いた理由を説明できるか
  3. 人に教えられるか:自分のやり方を言葉にできるか
  4. 他人の失敗を許容できるか:任せられるか
  5. 決めたことをやり切るか
  6. 都合の悪いことを報告するか

6番目が最も重要かもしれません。悪い情報が上がってこない組織は、危機に対応できません。

任せて確かめる

面談だけでは分かりません。小さく任せて観察してください。

  • 1カテゴリの数字責任:粗利と回転を任せる
  • 1人の育成:新人の指導担当にする
  • 1つの改善プロジェクト:期限と目標を決めて任せる
  • 月次会議での報告:数字を説明させる

観察のポイント

  • 数字を自分で取りに行っているか(言われるまで見ないか)
  • うまくいかないとき、原因を人のせいにしないか
  • 教えた相手が育っているか
  • 期限を守るか
  • 失敗を早く報告するか

育成の順序

  1. 数字を見せる(損益、在庫、買取の実績)
  2. 数字の意味を説明する
  3. 1つの数字に責任を持たせる
  4. 権限を与える(決裁、シフト、経費)
  5. 人の育成を任せる
  6. 店全体の数字を任せる

判断の時期

1〜2年は見てください。短期の成果で判断すると、見誤ります。

また、候補は複数持ってください。1人に絞ると、その人が辞めたときに計画が崩れます。

候補者に与える最初の仕事

いきなり店長を任せるのではなく、判断が必要な小さな範囲を渡して観察してください。

  • 1カテゴリの在庫責任 — 仕入れ、価格改定、処分までを一貫して任せます。数字で結果が出ます
  • 新人1人の育成 — 人に対する接し方と、根気が見えます
  • 月次会議での報告 — 数字を読み、原因を説明できるかが分かります
  • 外部との窓口を1つ — 古物市場、提携先、業者との対応です
  • シフト作成 — 全体のバランスを考えられるかが出ます

1番目が最も情報量の多い課題です。仕入れから処分までを任せると、うまくいかない品物をどう扱うかが見えます。損切りを先送りする人か、早めに処分して回転を優先する人かは、幹部としての適性に直結します。

向いていないと分かったときの扱い

任せてみた結果、幹部には向いていないという判断に至ることがあります。ここの扱いを誤ると、優秀な担当者を失います。

  1. 本人に伝える前に、何が理由かを具体化する — 「向いていない」では本人が納得できません
  2. 幹部以外の道を用意する — 査定の専門職として処遇を上げる形が、リユース業には合います
  3. 降格ではなく、役割の変更として扱う — 呼び方と伝え方で受け取られ方が大きく変わります
  4. 処遇を下げない — 挑戦した結果として下がるなら、次から誰も引き受けません
  5. 再挑戦の余地を残す — 時期の問題であることも少なくありません

2番目の道があるかどうかが、この判断の難易度を決めます。管理職しか上のポストがない設計だと、向き不向きの判断がそのまま退職につながります。専門職としての等級を先に用意しておいてください。

複数の候補を並べる意味

1人に絞ると、その人が抜けたときに計画ごと消えます。

  • 2〜3人に同時期に任せる — 別々の範囲を渡せば、比較ではなく分担になります
  • 役割を分ける — 数字に強い人と、人をまとめられる人は別であることが多くあります
  • 本人たちに競わせない — 後継者候補として並べていることを公言すると、関係が壊れます
  • 組み合わせで考える — 1人ですべてを満たす必要はありません

4番目の視点が実務的です。査定に強い幹部と、管理と数字に強い幹部が2人いれば、経営者1人分の役割を分担できます。「完璧な後継者を1人探す」という前提を外すと、候補は一気に増えます。誰と誰を組み合わせれば回るかという形で、あらためて社内を見てみてください。

まとめ

幹部候補は、数字を見る習慣・教えられるか・悪い情報を上げるかで見極めてください。

まず1カテゴリの数字責任を任せ、月次で説明させてみましょう。