査定が上手い=幹部向き、ではない
優秀な査定担当が、必ずしも良い幹部になるとは限りません。求められる能力が違うからです。
| 査定担当 | 幹部 |
|---|---|
| 個々の商品を見る | 全体の数字を見る |
| 自分の判断の精度 | 他人に判断させる仕組み |
| 短期の成果 | 中長期の設計 |
見るべき資質
- 数字を見る習慣があるか:言われなくても実績を確認しているか
- 原因を考えられるか:数字が動いた理由を説明できるか
- 人に教えられるか:自分のやり方を言葉にできるか
- 他人の失敗を許容できるか:任せられるか
- 決めたことをやり切るか
- 都合の悪いことを報告するか
6番目が最も重要かもしれません。悪い情報が上がってこない組織は、危機に対応できません。
任せて確かめる
面談だけでは分かりません。小さく任せて観察してください。
- 1カテゴリの数字責任:粗利と回転を任せる
- 1人の育成:新人の指導担当にする
- 1つの改善プロジェクト:期限と目標を決めて任せる
- 月次会議での報告:数字を説明させる
観察のポイント
- 数字を自分で取りに行っているか(言われるまで見ないか)
- うまくいかないとき、原因を人のせいにしないか
- 教えた相手が育っているか
- 期限を守るか
- 失敗を早く報告するか
育成の順序
- 数字を見せる(損益、在庫、買取の実績)
- 数字の意味を説明する
- 1つの数字に責任を持たせる
- 権限を与える(決裁、シフト、経費)
- 人の育成を任せる
- 店全体の数字を任せる
判断の時期
1〜2年は見てください。短期の成果で判断すると、見誤ります。
また、候補は複数持ってください。1人に絞ると、その人が辞めたときに計画が崩れます。
候補者に与える最初の仕事
いきなり店長を任せるのではなく、判断が必要な小さな範囲を渡して観察してください。
- 1カテゴリの在庫責任 — 仕入れ、価格改定、処分までを一貫して任せます。数字で結果が出ます
- 新人1人の育成 — 人に対する接し方と、根気が見えます
- 月次会議での報告 — 数字を読み、原因を説明できるかが分かります
- 外部との窓口を1つ — 古物市場、提携先、業者との対応です
- シフト作成 — 全体のバランスを考えられるかが出ます
1番目が最も情報量の多い課題です。仕入れから処分までを任せると、うまくいかない品物をどう扱うかが見えます。損切りを先送りする人か、早めに処分して回転を優先する人かは、幹部としての適性に直結します。
向いていないと分かったときの扱い
任せてみた結果、幹部には向いていないという判断に至ることがあります。ここの扱いを誤ると、優秀な担当者を失います。
- 本人に伝える前に、何が理由かを具体化する — 「向いていない」では本人が納得できません
- 幹部以外の道を用意する — 査定の専門職として処遇を上げる形が、リユース業には合います
- 降格ではなく、役割の変更として扱う — 呼び方と伝え方で受け取られ方が大きく変わります
- 処遇を下げない — 挑戦した結果として下がるなら、次から誰も引き受けません
- 再挑戦の余地を残す — 時期の問題であることも少なくありません
2番目の道があるかどうかが、この判断の難易度を決めます。管理職しか上のポストがない設計だと、向き不向きの判断がそのまま退職につながります。専門職としての等級を先に用意しておいてください。
複数の候補を並べる意味
1人に絞ると、その人が抜けたときに計画ごと消えます。
- 2〜3人に同時期に任せる — 別々の範囲を渡せば、比較ではなく分担になります
- 役割を分ける — 数字に強い人と、人をまとめられる人は別であることが多くあります
- 本人たちに競わせない — 後継者候補として並べていることを公言すると、関係が壊れます
- 組み合わせで考える — 1人ですべてを満たす必要はありません
4番目の視点が実務的です。査定に強い幹部と、管理と数字に強い幹部が2人いれば、経営者1人分の役割を分担できます。「完璧な後継者を1人探す」という前提を外すと、候補は一気に増えます。誰と誰を組み合わせれば回るかという形で、あらためて社内を見てみてください。
まとめ
幹部候補は、数字を見る習慣・教えられるか・悪い情報を上げるかで見極めてください。
まず1カテゴリの数字責任を任せ、月次で説明させてみましょう。