値下げだけが解決策ではない

売れないとき、多くの店はまず値下げを考えます。しかし店頭で売れないものが、ECでは相場どおりに売れることがあります。

値下げの前に「場所を変える」という選択肢を持ってください。粗利を守ったまま回転させられます。

基本の流れ

典型的な順序は次のとおりです。

  1. 店頭(通常価格):まずここ
  2. EC・モール:全国の買い手に届ける
  3. ネットオークション:相場で処理する
  4. 業者間市場:まとめて現金化する
  5. まとめ売り・一括処分

商材によって、途中から始めたり飛ばしたりして構いません。大事なのは、次がどこかを先に決めておくことです。

日齢と連動させる

日齢アクション
91日売価を相場と照合。必要なら見直し
181日第2販路へ移す(店頭 → EC など)
271日第3販路へ移す(EC → 業者間市場)
365日まとめ売り・一括処分の対象

日数はカテゴリごとに変えてください。回転の速い商材なら、もっと短く設定します。

カテゴリ別に期間を変える

  • 相場が動く商材(貴金属、カード、流行モデル):期間を短く。持つほど損
  • 季節商材:次の需要期まで持つか、シーズン終わりに一気に出すか
  • 定番品:期間を長めに取ってよい
  • 大型品:保管コストが高いため、短めに

自動化する

担当者が探して判断する形では続きません。

  • 日齢が基準に達した在庫を、自動で抽出する
  • 抽出リストを、毎月決まった日に出す
  • 移動先の販路と作業を、リストに表示する
  • 作業した実績を記録する

抽出さえ自動化できれば、あとは作業するだけになります。

例外を可視化する

「これは特別だから残したい」という主張は必ず出ます。認めても構いませんが、記録に残してください。

  • 例外にできる点数・金額の上限を決める
  • 承認者を決める
  • 例外にした品は一覧に残し、翌月に再判定する

流す順序を書き出す

頭の中にある順序を、1枚の図にしてください。担当者が変わっても同じ判断ができるようになります。

  1. カテゴリごとに、販路の並びを書く — 例:店頭 → 自社EC → モール → 業者間市場 → 処分
  2. 各段階の滞在日数を書く — 30日、30日、60日、といった形です
  3. 次に進む条件を書く — 日数だけでなく、閲覧数や問い合わせ数を条件にする形もあります
  4. 飛ばしてよい場合を書く — 明らかに専門販路向きの品物は、最初からそこへ出します
  5. 最終処分の方法と費用を書く

5番目まで書き切ってください。最後の出口が決まっていないと、途中の段階で止まった在庫が動かなくなります。処分費用まで含めた図があれば、どの段階でいくらまで下げるべきかも逆算できます。

自動で動く仕組みにする

手作業で判断していると、繁忙期に止まります。仕組みで動かしてください。

  • 日齢で抽出する — 在庫システムから、31日を超えた品物の一覧を毎週出します
  • 作業日を固定する — 毎週火曜の午前、といった形で作業枠を確保します
  • 一覧を担当者に渡す — 探す作業をなくすことが、実行率を上げます
  • 移動と価格変更を、同じ作業でまとめる
  • 実行した件数を記録する — 一覧に対して何件処理できたかを見ます

5番目で運用の健全性が測れます。抽出された件数に対して処理された件数の比率が低ければ、作業枠が足りていないか、一覧の件数が多すぎます。いずれにせよ、仕組みの側を直す必要があると分かります。感覚では気づけない指標です。

例外を放置しない

どの店にも、流れから外れる在庫があります。これを可視化してください。

  • 「保留」区分を作る — 修理待ち、部品待ち、季節待ちなど、理由を記録します
  • 保留にも期限を設ける — 期限が来たら再判断する形にします
  • 保留の総額を毎月見る — ここが膨らんでいる店は、実質的に滞留在庫を隠しています
  • 理由別に集計する — 同じ理由が多ければ、運用の課題です

3番目が重要な指標になります。流す仕組みを作っても、例外区分に逃がしていれば、在庫は動きません。保留在庫の金額が在庫全体の一定割合を超えたら警告が出る、という運用にしておくと、隠れた滞留を早期に発見できます。月次の資料に、必ずこの数字を入れてください。

まとめ

値下げの前に「場所を変える」。日齢に応じて次の販路へ自動的に流す設計にしてください。

まず自店の主要カテゴリについて、第1〜第3販路と移動の日数を決めてみてください。