行商とは
営業所以外の場所で古物の取引を行うことを指します。出張買取、催事での販売、古物市場への参加などが該当し得ます。
行商を行うかどうかは、許可の申請時または変更の届出で示す事項です。「する」としていなければ、営業所の外での取引はできません。
自社の許可証にどう記載されているかを、まず確認してください。
「する」となっていない状態で出張買取を始めてしまっている店が実際にあります。店舗の許可があればどこでも取引できると考えてしまうためです。まず許可証の記載を確認してください。
許可証の携帯
行商をする際は、許可証を携帯することが求められます。従業員に行かせる場合は、その従業員に対する行商従業者証などを持たせる必要があります。
様式や取扱いは運用によって異なるため、管轄窓口に確認してください。出張買取を担当するスタッフ全員分を用意しておく必要があります。
用意するときは、出張買取に出る可能性のある人全員分をそろえてください。「今日は人が足りないから」と急に別の人を出す場面で携帯していない状態が生じます。人員に余裕を持たせておくことが大切です。
仮設店舗での営業
催事やイベント会場に一時的な店舗を出して古物を扱う場合、事前の届出が必要になることがあります。期限が定められているため、出店が決まったらすぐ確認してください。
「来週の週末に急に出ることになった」という進め方は、手続きが間に合わない可能性があります。催事の予定は早めに押さえておいてください。
催事の予定は、年間の販促計画に組み込んでおくのが確実です。出店が決まってから手続きを確認するのでは間に合わないことがあります。計画の段階で許認可の確認を工程に入れてください。
出張買取での本人確認
営業所の外で買い取る場合も、相手方の確認と取引記録の作成は必要です。むしろ現場では省略されやすいため、注意が要ります。
対策として、次を用意しておいてください。
- 持ち出し用の買取伝票(確認欄が空欄では処理できない様式)
- スマートフォンやタブレットからその場で記録できる仕組み
- 戻ってから当日中に入力するルールと、その時間の労働時間としての扱い
3つ目については、入力の時間を労働時間として扱う必要があります。「戻ってから自分の時間で入力」という運用は労務の問題になります。営業時間内に入力できる形に組み立ててください。
訪問購入の規制もあわせて確認する
消費者の自宅を訪問して買い取る場合、古物営業法とは別に、特定商取引法の訪問購入に関する規制がかかることがあります。
書面の交付、クーリング・オフ、勧誘に関する制限など、実務への影響が大きい内容です。出張買取を行うなら、この点を必ず確認してください。
この規制は、古物営業法とは別の法律によるものです。書面の交付やクーリング・オフの説明は現場での手順に組み込む必要があります。出張買取を伸ばす前に、手順を文書にしておいてください。具体的な取扱いは専門家にご確認ください。
社内ルールにしておくこと
- 行商の記載がある許可証・従業者証を、担当者全員が携帯しているか
- 催事出店が決まったら、誰が届出を確認するか
- 出張先での記録の取り方と、当日中の入力ルール
- 訪問購入にあたる場合の書面交付の手順
この4つは、出張買取に出る人向けの手順書としてまとめておいてください。持ち出すファイルに一緒に入れておけば、現場で迷ったときに確認できます。
出張買取を始めるときにそろえるもの
出張買取は仕入れを増やす有効な手段ですが、準備なしに始めると記録も手続きも追いつきません。次を先にそろえてください。
- 許可証の記載と従業者証 — 行商の扱いを確認し、担当者全員分の証明を用意します
- 持ち出し用の買取伝票 — 本人確認の欄が空欄では処理できない様式にしておくと、記録漏れが防げます
- その場で記録できる仕組み — スマートフォンやタブレットから入力できれば、戻ってからの作業が減ります
- 訪問購入に関する書面の様式 — 交付が必要な場合の書面を、あらかじめ用意しておきます
- 査定基準の携帯版 — 現場で判断に迷ったときの基準。上限額と決裁者も明記してください
- 入力の時間をどう扱うか — 労働時間として記録する運用を決めておきます
とくに2番目が効きます。様式で強制する形にしておけば、忙しい現場でも確認が飛ばされません。
まとめ
営業所の外で扱うなら、行商の記載、許可証・従業者証の携帯、仮設店舗の届出を確認してください。
あわせて、訪問購入の規制も押さえておく必要があります。出張買取を伸ばす前に、ここを整えておきましょう。
まず許可証の記載を確認し、行商の扱いがどうなっているかを見てください。そこから必要な手続きが見えてきます。体制づくりについてはご相談いただけます。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。古物営業法にもとづく許可の要否・必要書類・審査期間や、本人確認義務の具体的な運用は、法令の改正や管轄する警察署・公安委員会の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄窓口および専門家にご確認ください。