モーダルシフトとは
トラック輸送の一部を、鉄道や海運(内航船)に切り替えることです。主に長距離の幹線輸送が対象になります。
目的は次のとおりです。
- ドライバー不足への対応
- 労働時間規制への対応
- 環境負荷の低減
- 輸送コストの削減(条件による)
向く貨物・向かない貨物
| 向く | 向かない |
|---|---|
| 長距離(一定以上の距離) | 近距離・中距離 |
| ロット・量がまとまる | 小口・多頻度 |
| リードタイムに余裕がある | 翌日必着、時間指定が厳しい |
| 定期的な輸送 | 不定期・スポット |
| 荷姿が規格化されている | 特殊な形状・重量 |
| 温度管理が不要または対応可能 | 厳密な温度管理が必要 |
すべての貨物が対象になるわけではありません。 自社の荷物がどちらかを見極めてください。
運送会社にとっての機会
1. 前後の集配
鉄道・海運を使っても、発地から駅・港まで、駅・港から着地まではトラックが運びます。この区間の仕事が生まれます。
しかも、近距離で日帰りの運行になるため、規制対応と採用の面で有利です。
2. 自社が提案する側になる
荷主が自力でモーダルシフトを検討するとは限りません。運送会社が組み合わせを提案できれば、単なる下請けから提案する側に回れます。
- どの路線が対象になるか
- リードタイムがどう変わるか
- コストの比較
- 前後の集配をどう組むか
これは3PLへの転換の方向でもあります。
3. 長距離運行の負担軽減
自社が抱える長距離運行のうち、規制に収まらない便をモーダルシフトに切り替えるという使い方もあります。時間外労働の上限規制への対応をご覧ください。
運送会社にとっての脅威
- 長距離の幹線輸送を失う
- その分の車両・ドライバーが余る
- 単価の高い仕事が減る可能性
荷主が自社を通さずにモーダルシフトを進めると、仕事だけが減ります。だからこそ、提案する側に回る意味があります。
実務上の課題
1. リードタイムが延びる
積替えと待ち時間が生じます。荷主の納品条件と合うかが最初の関門です。
2. 積替えの手間とコスト
コンテナ単位で運べれば積替えは不要ですが、コンテナに載せる作業は発生します。荷役の負担とコストを計算してください。
3. 便数と発着時刻の制約
鉄道・船は本数が限られます。その時刻に間に合わせる必要があり、集荷の計画に制約が生まれます。
4. 遅延・運休のリスク
災害・事故で運休した場合の代替手段を、事前に決めておく必要があります。荷主への説明責任は運送会社に残ることがあります。
5. コンテナ・機材の手配
繁忙期には手配が難しくなることがあります。
検討の進め方
- 対象になりそうな路線を洗い出す:長距離・定期・ロットがまとまる
- リードタイムを確認する:荷主の条件と合うか
- コストを比較する:トラック直送 vs 鉄道・海運+前後の集配
- 鉄道・船会社、フォワーダーに相談する
- 荷主に提案する
- 試験的に実施する:一部の便から
3番目では、前後の集配コストを必ず含めてください。幹線が安くても、集配を足すと変わらないことがあります。
環境面での訴求
荷主が輸送に伴う環境負荷を把握しようとする動きがあります。モーダルシフトは、その削減策として分かりやすい取り組みです。
荷主への提案材料として使えます。荷主側の規制強化と運送会社への影響、EVトラック・次世代車両の検討をご覧ください。
支援制度
モーダルシフトの取り組みについて、支援制度が用意されることがあります。名称・要件・時期は年度によって変わるため、最新の情報を確認してください。
※ 補助金の名称・対象経費・要件・公募時期は年度によって変わります。本記事は一般的な進め方を整理したものですので、実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認ください。
中継輸送との比較
長距離運行の負担軽減という目的では、中継輸送という選択肢もあります。
| モーダルシフト | 中継輸送 | |
|---|---|---|
| 手段 | 鉄道・海運を使う | トラックのまま人を交替 |
| 制約 | 便数、発着時刻、リードタイム | 相手先、中継地点 |
| 柔軟性 | 低い | 比較的高い |
| 自社の仕事 | 前後の集配のみ | 幹線も自社 |
自社の仕事を残したいなら中継輸送、荷主のコストと環境を優先するならモーダルシフト、という整理ができます。
まとめ
モーダルシフトは長距離・定期・ロットがまとまる貨物に向きます。運送会社にとっては前後の集配という仕事が生まれ、提案する側に回れば関係が深まります。コスト比較では前後の集配を必ず含めてください。中継輸送との使い分けも検討の余地があります。