抜き取る対象を漏らさない
まず、何を抜くのかを一覧にしてください。抜き忘れが後の工程で漏えいにつながります。
- エンジンオイル
- ミッションオイル、デフオイル
- ブレーキフルード
- パワーステアリングフルード
- 冷却水(不凍液)
- 燃料(ガソリン、軽油)
- ウォッシャー液
- 冷媒(別途、回収の記録が必要)
6番目が最も危険です。燃料が残ったまま切断や圧縮の工程に入ると、火災の危険があります。
2番目と4番目は抜き忘れが起きやすいところです。量が少なく、作業に手間がかかるためです。しかし残っていれば、破砕や保管の段階で漏れます。
手順を紙にして掲示する
抜き取りは経験者が感覚で行っている現場が多いものです。それでは新しい人が入ったときに再現できません。
手順書に入れるべき内容を挙げます。
- 抜く順序
- 使う工具と受け容器
- 抜いた液をどの容器に入れるか(品目ごとに分ける)
- こぼした場合の処置
- 抜き終わったことをどう確認するか
- 記録の付け方
3番目を明確にしてください。種類の違う液を同じ容器に混ぜると、処理の委託先が受け取れなくなります。混ざったものは処理費が上がるか、引き取り自体を断られます。
5番目も入れてください。「抜けたつもり」を防ぐ確認方法が必要です。目視でどこを見るか、写真を撮るか。具体的に書いてください。
保管の設備
抜いた液の保管が、漏えいの主な発生源になります。
確認すべき点を挙げます。
- 容器が液の種類に適したものか
- 容器に何が入っているか表示されているか
- ふたが閉まっているか
- 防液堤や受け皿があるか
- 容量に対して余裕があるか(満杯まで入れていないか)
- 屋根があるか(雨水が入らないか)
- 床が舗装されているか、ひび割れがないか
4番目が要点です。容器が倒れたり破れたりしても、防液堤があれば土壌には届きません。この一段があるかどうかで、事故が「掃除で済む」か「調査と対策」になるかが分かれます。
6番目も見落とされます。屋外に置いた容器に雨水が入ると、量が増えて溢れます。また、油水が混ざったものは処理費が上がります。
記録を残す
抜き取りと引き渡しの記録が必要です。
- いつ、どの車から、何をどれだけ抜いたか
- どの容器に入れたか
- いつ、どこへ引き渡したか
- 引き渡した量
- 委託先の許可の内容
3番目から5番目は、廃棄物としての管理の話になります。抜いた液は廃棄物であり、処理を委託する際は許可を持つ相手に出す必要があります。
そして記録は保管期間を守ってください。検査で最初に求められる書類のひとつです。
漏らしたときの初動
それでも起こる可能性があります。手順を決めておいてください。
- 拡がりを止める:吸着材、土のうで囲う。
- 流出先を確認する:排水溝、側溝、河川へ向かっていないか。
- 吸着材で回収する
- 写真を撮る:範囲と対応の記録。
- 量と原因を記録する
- 敷地外に出た場合は所管へ連絡する
- 吸着材や汚染土の処理を手配する
- 原因を除去する:容器の交換、手順の見直し。
2番目を最優先で確認してください。敷地内で止まったか、外に出たかで、その後の対応が大きく変わります。
そして吸着材を常備してください。必要になってから買いに行くのでは間に合いません。作業場所と保管場所の近くに置いてください。
床と排水を先に見る
手順を整えても、床が抜けていれば漏えいは防げません。設備側の確認点を挙げます。
- 作業する場所が舗装されているか
- ひび割れ、目地の劣化がないか
- 勾配がどこへ向いているか
- 排水が油水分離設備を通っているか
- 分離設備の清掃と点検の記録があるか
- 雨水の経路と、作業場所の排水が分かれているか
3番目を確認してください。こぼした液がどこへ流れるかを知らないまま作業している現場が少なくありません。バケツの水を流して確かめるだけで分かります。
5番目は検査で求められる記録です。設備があっても、清掃されていなければ機能しません。頻度を決めて記録してください。
作業場所を固定する
最も効く対策は、抜き取りを行う場所を1か所に決めることです。
- その場所だけ床の対策を集中させられる
- 受け容器と吸着材を常備できる
- 点検の対象が絞れる
- 新しい人に教えやすい
- こぼした場合の影響範囲が限定される
1番目が費用の面で大きいところです。ヤード全体を舗装するのは高額ですが、1区画に絞れば現実的な金額になります。
そして「今日は忙しいから別の場所で」を認めないでください。例外を作った日に漏れます。
委託先を確認しておく
抜いた液は、許可を持つ相手に引き渡す必要があります。委託先の確認は年に一度行ってください。
- 許可の内容(扱える品目に該当するか)
- 許可の有効期限
- 契約書の内容と期間
- 処理の方法と、最終的にどう処理されるか
- 引き渡しの記録が相互に合っているか
2番目を見落とすと、失効した相手に出し続けることになります。委託した側の責任も問われます。
4番目も確認する価値があります。委託先で問題が起きた場合、こちらにも影響が及びます。一度は現地を見ておいてください。
※ 廃油・廃液の取扱いと処理委託の要件は法令および条例で定められています。具体的な運用は所管の窓口および専門家にご相談ください。