確認は3つの層で考える
輸出の可否は、次の3つを順に確認する必要があります。
- 日本側の規制:輸出してよいものか
- 輸送上の規制:船や航空機で運べるものか
- 相手国側の規制:受け入れられるものか
3番目を見落としがちです。日本から出せても、相手国が受け入れなければ貨物は戻ってきます。往復の運賃が損失になります。
廃棄物に該当する場合
この業態で最も注意すべき論点です。
中古部品として輸出するつもりでも、状態や取引の形によって廃棄物として扱われる可能性があります。
判断に関わる要素を挙げます。
- そのまま使える状態か、修理・再生が必要か
- 汚れや異物が付着していないか
- 相手が実際に使用するのか、素材として処理するのか
- お金の流れる向き
- 梱包が商品として適切か(雑然と詰め込まれていないか)
5番目が実務で効きます。選別されず雑に詰められた貨物は、廃棄物と見られやすいのです。商品として扱っている形が求められます。
廃棄物の越境移動には別の枠組みの手続きが関わります。該当し得ると考えられる場合は、必ず事前に所管窓口へ確認してください。
品目ごとの注意点
フロン類を含むもの
カーエアコンのコンプレッサーや配管に冷媒が残っている場合、規制の対象になり得ます。回収してから輸出するのが原則です。
電池を含むもの
鉛バッテリー、駆動用リチウムイオンバッテリー。いずれも輸送上の規制があります。
特に後者は航空・海上輸送で厳しい要件があり、専門的な対応が必要です。安易に含めないでください。
エアバッグ、インフレーター
未作動のものは危険物として扱われます。輸送に制約があります。
燃料、油分
タンクや配管に残留していれば問題になります。抜き取りと洗浄が必要です。
触媒
貴金属を含むため、品目としての扱いと相手国の規制を確認してください。
アスベストを含み得る部材
古い車両の部材について、確認が必要な場合があります。
相手国側の規制
国によって、中古部品や中古車の輸入に制限があります。
よく見られる制限の型を挙げます。
- 年式の制限(一定年数より古いものを入れない)
- 右ハンドル車、または特定の仕様の禁止
- 特定品目の輸入禁止
- 検査証明の要求
- 関税、輸入税の水準
- 輸入ライセンスの要求
そしてこれらは変わります。数年前に問題なかったものが、規制の対象になることがあります。
確認の方法としては、相手方のバイヤーに確認する、通関業者に照会する、公的な情報を確認する。複数の経路で確かめてください。
確認の順序
実務としては次の順で進めてください。
- 取引の内容を整理する:何を、どこへ、どういう状態で、いくらで。
- 通関業者に相談する:最も実務に近い情報を持っています。
- 廃棄物該当性が疑わしければ、所管窓口へ相談する
- 危険物を含む可能性があれば、輸送業者に確認する
- 相手国の規制を、相手方と自社の両方で確認する
- 確認した内容を記録する
2番目を最初にすることをお勧めします。通関業者は日々実務を扱っているため、判断が早いのです。
記録を残す
次を残してください。
- 確認した日、相手、内容、回答
- 輸出した品目、数量、仕向地の記録
- 梱包時の写真
- 回収した冷媒などの記録
- 相手国の規制について確認した資料
これらは「適正に確認して輸出していた」ことの証明になります。行政の確認でも、承継の調査でも問われます。
規制が変わったときに備える
輸出に依存している場合、規制の変更が事業を直撃します。
備えとしては次の点です。
- 仕向地を複数持つ(1国に依存しない)
- 国内販売の比率も維持する
- 規制の動向を定期的に確認する
- 相手方から情報を得る関係を作る
1番目が最も重要です。1国への輸出に大きく依存している事業は、リスクとして評価されます。承継の場面でも同じです。
社内で共有する
規制の確認が社長や担当者1人の頭の中にあると、判断が止まります。
共有すべき内容を挙げます。
- 輸出してはいけない品目の一覧(電池、未作動エアバッグ、冷媒が残ったもの)
- 出す前に必ず処理すべきこと(冷媒回収、燃料抜き、洗浄)
- 仕向地ごとの制限(年式など)
- 判断に迷ったときの確認先
1番目を紙にして梱包の場所に貼ってください。「これは入れない」が一目で分かる状態にします。
そして年に一度は見直してください。規制も、扱う品目も変わります。
※ 輸出に関する規制は品目、状態、仕向地によって異なり、また改正されます。個別の判断は必ず通関業者および所管の窓口へご確認ください。