変更と新設は扱いが違う
まず、自社の計画がどちらに当たるかを整理してください。
- 同じ事業所の面積を変える:変更の届出で足りる場合がある。
- 事業所を移転する:許可や登録の内容が変わる。
- 2拠点目を開設する:新たな許可が必要になることがある。
- 拠点を廃止する:廃止の届出が必要。
2番目と3番目は手続きの重さが違います。移転は既存の許可の変更、新設は取得というのが基本の考え方です。ただし制度と自治体によって扱いが異なります。
いずれの場合も、持っている許可・登録ごとに確認が必要です。引取業、フロン類回収業、解体業、破砕業、そして廃棄物処理業。それぞれ手続きが別です。
確認の順序
順序を間違えないでください。
- 候補地の用途地域と都市計画上の制限を確認する
- その土地で行いたい作業が認められるか、所管に相談する
- 必要な許可・登録を一覧にする
- それぞれの手続きと必要書類を確認する
- 審査にかかる期間を確認する
- 施設の基準を満たす設計にする
- 土地の契約または取得
- 工事
- 申請
- 許可の取得
- 操業の開始
1番目から5番目を、土地を決める前に済ませてください。契約してから認められないと分かるのが最悪の展開です。
6番目が見落とされます。施設には満たすべき基準があります。設計の段階で織り込まなければ、後から作り直すことになります。囲い、床の構造、油水分離設備、保管の区分。これらを図面に入れてから工事してください。
期間を見積もる
操業できない期間が資金繰りに影響します。
- 土地の確保にかかる期間
- 設計と工事の期間
- 申請から許可までの審査期間
- 設備の移設にかかる期間
- 在庫を移すか処分する期間
- 旧ヤードの原状回復の期間
3番目を先に確認してください。審査に数か月かかる場合、その間は新拠点で操業できません。
移転の場合、旧拠点と新拠点の期間が重なるように組んでください。旧を先に返してしまうと、操業が止まります。両方の賃料が重なる期間の費用を見込む必要があります。
移転の場合に重ねる期間
実務的な設計を示します。
- 新拠点の許可を取得してから、旧拠点の操業を止める
- 段階的に移す(設備、在庫、作業の順)
- 取引先への案内の時期を決める
- 旧拠点の在庫を先に減らす
- 移す価値のないものは処分する
4番目と5番目を早めに始めてください。在庫を移す費用と、処分する費用を比べると、処分のほうが安い場合があります。
3番目も重要です。移転の時期と新しい所在地を、取引先に事前に伝えてください。連絡がなければ、その間に別の先が定着します。
掲示と表示を直す
手続きが終わったら、現場の表示も直してください。
- 掲示板の記載(所在地、面積、保管の上限)
- 許可番号
- 保管場所の品目表示
- 会社の案内表示
- 取引先に渡す書類の住所
1番目は面積が変われば必ず直す対象になります。掲示と実態が違う状態は、検査で最初に指摘されます。
2拠点になった後の管理
開設した後の負担を想定してください。
- 拠点ごとに記録と報告が必要になる
- 拠点ごとに責任者を置く必要がある
- 必要な資格者を各拠点に配置する
- 掲示も各拠点に必要
- 検査も各拠点で受ける
- 点検と教育を両方で回す
3番目が実務の関門です。資格を持つ人を既存の拠点から動かすと、そちらが手薄になります。開設の前に、育成または採用の計画が必要です。
1番目も負担が増えます。報告の仕組みをどう分けるか、誰が担うかを決めておいてください。1人が両拠点分を処理する形にすると、属人化と遅延の両方が起きます。
承継を控えている場合
拠点を動かす計画と承継の時期が重なる場合、順序を考えてください。
- 移転の投資を、誰が判断し、誰が返済するか
- 許可の名義が代表者に紐づく部分の手続き
- 代表者の交代と拠点の変更を同時に行うか、分けるか
- 買い手にとって、移転の途中は評価しにくい
3番目は分けるほうが確実です。2つの変更を同時に進めると、どちらかの手続きが漏れます。
4番目も判断に含めてください。譲渡を考えているなら、移転を終えてから交渉に入るか、移転前の状態で譲るか。中途の状態は最も評価しにくい形です。
資金計画に入れるもの
手続きと工事のほかに費用が発生します。
- 申請にかかる手数料
- 図面の作成や測量の費用
- 施設の基準を満たすための工事
- 設備の移設と据付
- 旧拠点と新拠点の賃料が重なる期間
- 操業できない期間の損失
- 在庫を移す、または処分する費用
- 旧拠点の原状回復
5番目と6番目が見落とされます。工事費だけを見積もって、重複期間の費用を忘れる例があります。
相談を先に済ませる
- 都市計画の窓口
- 廃棄物や環境の所管
- 自動車リサイクル法の所管
- 消防
- 近隣への説明
4番目を忘れないでください。危険物の保管や設備の設置には、消防に関わる確認が必要な場合があります。
※ 拠点の変更に必要な手続きは許可の種類および自治体によって異なります。具体的な手続きは所管の窓口にご確認ください。