土地には使える用途の枠がある
都市計画の区域内では、土地ごとに建てられる建物と行える事業に枠があります。
関わり得る制限を挙げます。
- 用途地域による建物の用途の制限
- 市街化調整区域における開発の制限
- 建物の規模に関する制限(建ぺい率、容積率、高さ)
- 特定の作業を行う施設に対する制限
- 農地である場合の転用の手続き
- 条例による独自の制限
1番目と4番目が事業に直結します。解体や破砕を行う施設は、用途地域によって設置できない場合があります。
2番目も重要です。市街化調整区域は原則として開発が制限されます。安く出ている土地がこの区域である場合があり、価格の理由がここにあることがあります。
5番目は農地の場合です。転用には手続きが必要で、認められないこともあります。「地目が畑になっているが、実際は使っていない土地」を借りる話が出た場合は、必ず確認してください。
屋外での作業と建物の扱い
この業種で判断が分かれやすい点があります。
- 建物を建てるのか、屋外で作業するだけか
- 設置する工作物が建築物に当たるか
- 屋根や壁のある構造をつくるか
- 保管だけなのか、処理を行うのか
4番目が分かれ目です。保管だけなら認められるが、解体や破砕を行うなら認められないという土地があります。
2番目も確認が必要です。屋外に設置する設備でも、基礎を伴う構造は建築物として扱われる場合があります。判断は所管によります。
いずれも自己判断せず、窓口で確認してください。図面と作業内容を持って相談するのが確実です。
契約の前に確認する
順序を間違えないでください。次の順で進めます。
- 候補地の所在と地番を特定する
- 用途地域と都市計画上の区域を調べる
- 地目を確認する
- 行いたい作業の内容を整理する
- 都市計画の窓口で相談する
- 環境や廃棄物の所管でも相談する
- 条例による制限を確認する
- 必要な手続きと期間を把握する
- そのうえで契約する
5番目と6番目は別の部署です。都市計画で問題がなくても、廃棄物や環境の面で制限がある場合があります。両方に聞いてください。
8番目を軽く見ないでください。手続きに数か月かかる場合、その間の賃料が発生します。事業を始められない期間の費用を見込む必要があります。
9番目まで待てない場合、契約に条件を付けてください。所定の許認可が得られなかった場合に解除できる、という定めを入れるのが実務的です。
近隣の状況も見る
法令上の制限を満たしても、実際に操業できるかは別です。
- 周辺に住宅がどれだけあるか
- 学校や病院が近くにないか
- 同業が既に操業しているか(前例があるか)
- 進入路の幅と、大型車が通れるか
- 周辺の開発計画があるか
3番目が判断の材料になります。近くで同業が長く操業しているなら、その地域では成り立っているということです。
5番目も確認してください。今は周辺に住宅がなくても、開発が予定されていれば数年で状況が変わります。後から苦情に囲まれることになります。
4番目は実務に直結します。トラックが入れない土地は、安くても使えません。曲がり角、橋の重量制限、時間帯の通行規制も見てください。
既存のヤードを広げる場合
隣の土地を借りて広げる場合も、同じ確認が必要です。
- 隣地の用途地域が同じとは限らない
- 面積が増えることで、届出や許可の要件が変わる可能性がある
- 許可の内容に記載された面積との整合
- 変更の届出が必要か
- 掲示の記載を直す必要があるか
1番目は意外に見落とされます。道路を挟んだ向かい側で用途地域が変わっていることがあります。
2番目も確認してください。「少し広げただけ」で済ませず、面積の変化が制度上どう扱われるかを窓口で聞いてください。
承継の際にも確認しておく
すでに操業している土地についても、一度確認する価値があります。
- 現在の使い方が制限に適合しているか
- 過去に建てた建物の手続きが済んでいるか
- 用途地域が後から変更されていないか
3番目が起こり得ます。長く操業しているうちに、周辺の都市計画が変わっている場合があります。既存の操業が認められる扱いになっているのか、確認しておいてください。
2番目も譲渡の調査で見られます。手続きを経ていない建物があると、指摘の対象になります。時間のあるうちに整理してください。
賃借する場合の確認
土地を借りる場合、制限の確認に加えて契約の内容も見てください。
- 用途として何が認められているか
- 工作物や設備を設置できるか
- 舗装をしてよいか
- 返還時に求められる状態
- 契約期間と更新の条件
- 地主が土地を売った場合の扱い
1番目で矛盾を作らないでください。契約の用途が「資材置場」なのに解体を行えば、契約違反になり得ます。
5番目も投資の判断に関わります。舗装や設備に費用をかけるなら、それに見合う期間が必要です。
専門家に頼む範囲
自社で調べられる部分と、任せる部分を分けてください。
- 用途地域の確認は自社でできる(自治体の窓口や公表資料)
- 作業が認められるかの判断は窓口に確認する
- 開発の手続きが必要な場合は設計事務所に相談する
- 農地の転用は行政書士などに相談する
- 契約の内容は専門家に見てもらう
1番目と2番目を自分で済ませてから相談すると、費用と時間が抑えられます。
※ 用途地域や開発に関する制限は自治体および個別の土地の条件によって異なります。具体的な判断は所管の窓口にご確認ください。