なぜ分けるほど価値が上がるのか

アルミは、混ざり物があると価値が下がります。

  • 鉄が混ざる(ボルト、ブラケット、芯材)
  • 銅が混ざる(熱交換器の一部、配線)
  • 樹脂やゴムが付着している
  • 異なる系統のアルミが混在する

買い手はこれらを自分で除去する手間を負います。その分が価格から引かれます。逆に、きれいに分けたものは高く評価されます

つまり、分別は自社で手間を引き受けて対価を得る作業です。手間と対価の釣り合いを見て、どこまでやるかを決めます。

主な発生源

① アルミホイール

最も分かりやすい発生源です。1本あたりの重量があり、品位も比較的安定しています。

実務上の要点を挙げます。

  • タイヤを外す:付いたままでは価値が下がります。
  • バランスウェイトを外す:鉄や鉛が付いています。
  • スチールホイールと分ける:見た目で区別できます。
  • 使えるものは中古品として売る:素材として出すより高くなる場合があります。

最後の点が収益に効きます。傷が少なく、需要のあるサイズと仕様のホイールは、中古品としての価値があります。素材としてまとめて出す前に、選別する価値があります。

② エンジン・ミッションのアルミ部材

シリンダーヘッド、ブロック、ケース類にアルミが使われています。

ただし判断が必要です。

  • 再使用部品として売れるなら、そのほうが高い
  • リビルトのコアとして需要があるなら、そちらへ
  • 素材として出す場合、鉄部品を外す手間が発生する

解体する前に、部品として売れるかを判断してください。素材にしてしまうと戻せません。

③ 熱交換器(ラジエーター、コンデンサー、ヒーターコア)

アルミと銅が組み合わされていることがあり、分けると価値が変わります。

  • アルミのみのもの、銅を含むものを区別する
  • 樹脂のタンク部を外す
  • 冷媒が残っていないか確認する(残っていれば先に回収)

3番目は必須です。フロン類を回収せずに解体することは認められません

④ その他

  • ボンネット、ドアなどの外板(車種により)
  • サスペンション部品(アーム、ナックル)
  • バンパーの補強材
  • ホイールハウス内の部材

車種によって使われ方が違います。近年の車、特に高級車と電動車ではアルミの比率が高い傾向があります

どこまで手をかけるか

判断の基準は単純です。手をかけて上がる金額が、かかる人件費を上回るか

計算してみてください。

  1. 分別前の単価と、分別後の単価の差を確認する(出荷先に聞く)
  2. 1台あたりの重量を測る
  3. 差額 × 重量 = 手をかけて得られる金額
  4. その作業に要する時間 × 人件費 = かかる費用

この計算をすると、部位ごとに結論が変わります。

  • ホイールは、重量があり作業も単純なので、ほぼ確実に手をかける価値がある
  • 細かい部材は、量がまとまらないと回収できない
  • 樹脂の除去に手間がかかるものは、そのまま出すほうが得な場合がある

結論は相場によって変わります。アルミの相場が上がれば、手をかける価値も上がります。年に一度は見直してください。

現場に基準を渡す

「アルミは分けて」だけでは、判断が人によって振れます。

次のように具体化してください。

  • どの部位を外すか(一覧にする)
  • どこまで付着物を除去するか(写真で示す)
  • どの容器・区画に入れるか
  • 判断に迷うものはどうするか(保留の置き場を作る)

写真が効きます。「この状態まで」という見本を並べておけば、言葉より正確に伝わります

出荷先の評価を現場に返す

最後に、続けるための仕組みです。

出荷先から品位について評価や指摘を受けたら、それを現場に伝えてください

  • 「品位が良いと言われ、単価が上がった」
  • 「混入を指摘され、減額された」

現場は、自分の作業が価格にどう影響しているかを知りません。数字で返すと、行動が変わります。逆に何も伝えなければ、丁寧にやる理由が現場には見えません。

月次の会議で、品目別の単価推移を見せる。それだけで分別の質が変わることがあります。

電動車で比率が上がる

長期の視点として押さえておきたい点です。

車両の軽量化が進むにつれ、アルミの使用量は増えてきました。特に電動車では、電池の重量を補うために車体の軽量化が図られる傾向があります。

つまり、エンジンと触媒という収益源が減る一方で、アルミの回収量は増える可能性があります

これは打ち手のある領域です。今からアルミの分別精度を上げておけば、車両構成が変わったときに対応できます。逆に、混ぜて出す運用のままなら、増えた分の価値を取り逃がします。

まず1か月測ってみる

改善の起点は測ることです。1か月だけ、次を記録してください。

  • 解体台数
  • アルミホイールの本数と重量
  • その他アルミの重量
  • 出荷したときの単価

これで1台あたりのアルミ回収量が出ます。この数字を持っていれば、同業者や出荷先に「一般的な水準はどれくらいか」と聞いて比べられます。

下回っているなら、取り残しがあります。どこかは、部位ごとに確認すれば分かります。

※ 素材の相場と買取条件は市況および出荷先によって変動します。分別の範囲は自社の処理量と出荷先への確認に基づいて判断してください。