なぜリユース業で後継者不足が深刻なのか

理由は3つあります。ひとつは経営者の高齢化です。個人商店から始めて数十年という会社が多く、創業者が一斉に引退期を迎えています。

ふたつめは、目利きの属人化。値付けができるのが社長とベテラン数名だけという状態では、後継者を育てるにも時間がかかります。基準が頭の中にあるため、教えることそのものが難しいのです。

みっつめは、事業環境の変化。フリマアプリの普及で個人間取引が拡大し、買取集客の広告費も上がりました。子どもに「継げ」と言い切りにくい状況があります。

道1:従業員に譲る(社内承継)

現場を知る従業員に譲る方法です。目利きができ、顧客からも信頼されている人であれば、事業の継続性という点では最も安心できます。

ただし2つの壁があります。ひとつは資金。後継者が自社株を買い取るには相応の金額が必要で、在庫を多く抱える会社ほど株価は高くなりがちです。もうひとつは個人保証で、オーナーではなかった人が突然会社の借入に保証を入れることになります。

道2:第三者に譲る(M&A)

他社に譲る方法です。後継者がいなくても事業と雇用を残せ、経営者は対価を得られます。個人保証も原則として解除されます。

リユース業のM&Aで買い手になるのは、同業でエリアや取扱カテゴリを広げたい会社、EC事業者、そして買取チェーンです。消費者直の仕入れルートと目利き人材はどこも欲しがるため、稼働している会社には引き継ぎ手がつきます。

株式譲渡であれば古物商許可は法人に残るため、手続きの面でも現実的です。相手探しに半年から1年半程度かかる点を見込んでおいてください。

道3:廃業する

3つめは畳む道です。ただしリユース業の廃業には、在庫という固有の負担があります。

店舗と倉庫に残った商品を処分しなければなりません。急いで売れば買い叩かれ、処分業者に頼めば費用がかかります。加えて、店舗の原状回復、什器の撤去、従業員の退職金、そして古物商許可の返納手続き。

これらはすべて経営者の負担として残ります。売却であれば在庫ごと引き継いでもらえるうえ対価がつくため、金額だけを比べても不利になることが多いのが実情です。廃業 完全ガイドで具体的に扱っています。

目利きを仕組みに変えておく

どの道を選ぶにせよ、価値を高める打ち手は共通しています。それは、目利きを人から仕組みへ移すことです。

実務では店長クラスが目利きを担っている会社がほとんどで、それ自体は問題になりません。さらに一歩進んで、大手チェーンのようにアルバイトでも適正に買い取れる査定システムが導入されていると、評価は一段高くなります。目利きが仕組みに宿っている状態は、買い手にとって引き継ぎやすさの証明になるからです。

先送りが選択肢を狭める

後継者不足そのものは、いまや珍しいことではありません。問題は、決断を先送りすることで選べる道が減っていくことです。

経営者が体調を崩してから動き出すと、時間的な余裕がないぶん条件面で妥協せざるを得ません。在庫は放置するほど滞留し、評価は下がっていきます。

元気なうちに3つの道を比較し、どれを選ぶかを決めておく。それだけで、いざというときの選択肢が残ります。