2つの確認義務がある
リユース事業者が扱う確認には、性格の異なるものが重なることがあります。
- 古物営業法にもとづく相手方の確認:盗品の流通防止が目的
- 犯罪収益移転防止法にもとづく取引時確認:マネー・ローンダリング対策が目的
後者は、貴金属や宝石の売買を業として行う事業者が、一定の要件に当てはまる取引を行う場合に対象となり得ます。該当するかどうかは、取引の性格と金額によります。
2つが重なることを知らずに運用している例があります。古物営業法の確認をしていれば足りると考えてしまうためです。貴金属や宝石を扱っているなら、まず自店が対象かを確認しておいてください。
対象になるかの判断
どのような取引が対象になるかは法令で定められています。金額の基準や、対象となる取引の範囲は改正され得るため、必ず最新の内容を所管の窓口または専門家に確認してください。
自店で貴金属や宝石の売買を行っているなら、「うちは対象か」を一度確認しておく価値があります。対象であることを知らずに運用している例があります。
確認するときは、自店の主力商材と1件あたりの金額帯を整理して持っていってください。「貴金属を扱っています」だけでは判断の材料が足りません。
確認の内容が異なる
古物営業法の確認と、取引時確認では、確認する事項が異なります。取引時確認では、本人特定事項に加えて、取引の目的や職業などの確認が求められる場合があります。
そのため、古物営業法の確認をしていれば足りる、とは限りません。両方の要件を満たす様式にしておく必要があります。
様式を一本化するのが実務的です。2つの伝票を使い分けると忙しい現場で取り違えが起きます。両方の要件を満たす1つの様式にしておけば、判断を現場に委ねずに済みます。
疑わしい取引への対応
取引時確認の対象事業者には、疑わしい取引を届け出る仕組みが設けられています。どのような場合に該当するかの判断基準を、社内で共有しておく必要があります。
古物営業法の「盗品の疑い」とは観点が異なります。資金の出所や取引の不自然さに着目する点が特徴です。
観点の違いは、現場に明確に伝えておく必要があります。盗品の疑いは品物に着目しますが、こちらは資金の流れや取引の不自然さに着目します。見るところが違うため、別の基準として整理してください。
社内で決めておくこと
- 自店が対象事業者にあたるか(確認済みか)
- どの取引で、どちらの確認が必要になるか
- 両方の要件を満たす買取伝票・入力画面の様式
- 記録の保存期間と保管場所
- 疑わしいと感じたときの連絡先と判断者
- 担当者への研修
この6つのうち、3番目の様式が土台になります。様式が両方の要件を満たしていれば、担当者は書くだけで済みます。判断を現場に持たせないことが運用の要点です。
買収監査での扱い
貴金属を扱う会社の譲渡では、この点が確認されます。対象事業者でありながら体制がない場合、是正が取引の条件になったり、表明保証の範囲が広がったりします。
逆に、手順が文書化され記録が揃っていれば、コンプライアンス体制のある会社として評価されます。
逆に言えば、体制が整っている店はそこが評価の材料になります。貴金属を扱う会社では必ず確認される論点なので、整えておく価値の大きい領域です。
貴金属を扱う店が整えておきたい体制
貴金属や宝石は、相場が明確で換金性が高いぶん、確認と記録の要求も重くなります。次を整えておいてください。
- 対象取引の判定基準を明文化する — どの取引でどちらの確認が必要になるか。現場が判断に迷わない形にします
- 様式を一本化する — 両方の要件を満たす買取伝票・入力画面にしておけば、取り違えが起きません
- 記録の保存期間と場所を決める — 2つの法令で期間が異なる場合、長いほうに合わせるのが実務的です
- 疑わしいと感じたときの連絡先 — 判断する人を決め、担当者一人に負わせない体制にします
- 担当者への研修記録 — 周知した記録があれば、体制が人に依存していないことを示せます
- 年1回の点検 — 制度の内容は見直されることがあります。決算のタイミングで最新の内容を確認してください
これらは、相場が高い時期に取引が増えるほど重要になります。件数が伸びてから整えるのではなく、先に固めておいてください。
まとめ
貴金属を扱うなら、古物営業法の確認とは別に、取引時確認の対象になるかを確認してください。
該当する場合は、両方の要件を満たす様式に一本化するのが実務的です。まず「自店は対象か」の確認から始めましょう。
まず「自店は対象か」の確認から始めてください。該当する場合は、様式の一本化が最も効果の大きい一手になります。進め方についてはご相談いただけます。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。古物営業法にもとづく許可の要否・必要書類・審査期間や、本人確認義務の具体的な運用は、法令の改正や管轄する警察署・公安委員会の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄窓口および専門家にご確認ください。