止まったときの損失を数える
まず、故障の損失を把握してください。修理費だけではありません。
- 修理費と部品代
- 作業が止まった分の売上機会
- 手待ちになった従業員の人件費
- 納期に間に合わなかった場合の影響
- レンタル機械を手配した費用
- ヤードに車が溜まる(保管基準への影響)
2番目と3番目が大きいのです。1日止まれば、修理費の何倍もの損失になることがあります。
この金額を出しておくと、予防保全にかける費用の判断ができます。
予防保全という考え方
壊れてから直すのではなく、壊れる前に手を打つ。単純ですが、実行には仕組みが要ります。
2つのやり方があります。
- 時間で管理する:稼働時間または期間で、部品を交換する。
- 状態で管理する:点検して、劣化が進んでいれば交換する。
両方を組み合わせるのが現実的です。消耗品は時間で、それ以外は状態で判断します。
点検項目を決める
重機について、日常的に見るべき点を挙げます。実際の項目は機種によって異なるため、取扱説明書と整備業者の助言を基に作ってください。
始業前(毎日)
- 油量(エンジンオイル、作動油、冷却水、燃料)
- 漏れの跡(機械の下を見る)
- 異音、異臭
- 下部走行体の状態
- アタッチメントの取付部、ピンの状態
- キャビンのガラス、ミラー
- 警告灯
週次・月次
- グリスアップ(箇所と頻度は機種による)
- フィルター類の状態
- 油圧ホースの摩耗、ひび割れ
- ボルトの緩み
- バッテリーの状態
年次
- 整備業者による点検
- 消耗部品の計画的な交換
- 油圧系の点検
始業前点検を形だけにしないことが要点です。項目を紙にして、チェックを入れる形にしてください。
油圧ホースが最も止まる原因
この業態で特に注意すべき点です。
解体作業では、ホースが飛来物に当たる、擦れる、高い圧力がかかる。摩耗が早く進みます。そして破損すれば、その場で作業が止まります。
対策を挙げます。
- 点検でひび割れ、膨らみ、擦れを見る
- 予兆がある段階で交換する
- 保護カバーを付ける
- 主要なホースの予備を持つ
- 交換できる人を社内に確保する
4番目と5番目が効きます。予備があり、社内で交換できれば、数時間で復旧します。業者を呼んで部品を手配すれば数日かかることもあります。
記録を残す
点検と整備の記録は、次の3つの用途があります。
① 傾向が見える
修理費が年々増えているか、同じ箇所が繰り返し壊れるか。更新の判断材料になります。
② 引き継げる
整備の担当者が代わっても、履歴があれば次に何をすべきか分かります。
③ 譲渡で評価される
買い手は機械の状態を知りたがります。整備記録がある機械と、ない機械では評価が変わります。中古機械の売却でも同じです。
残す内容は次のとおりです。
- 機械ごとに1つのファイル
- 点検した日と、確認した人
- 交換した部品と、その時のアワーメーター値
- 修理の内容と費用
- 業者による点検の報告書
担当を決める
「気づいた人がやる」では回りません。
- 機械ごとに担当を決める(オペレーターが担当するのが自然です)
- 始業前点検の項目表を作り、記入させる
- 月次の点検日を決める
- 異常を見つけたら報告する先を明示する
- 報告を上げやすい雰囲気をつくる
5番目が実は最も重要です。「壊した」と思われるのを恐れて報告しないという状況が、故障を大きくします。早く報告したことを評価する姿勢が必要です。
予備の考え方
止まらない体制のために、次を検討してください。
- 予備部品:ホース、フィルター、よく壊れる部品
- 予備機:古い機械を残しておく、または近隣の同業者と融通する取り決め
- レンタルの手配ルート:緊急時に借りられる先を把握しておく
- 整備業者との関係:すぐ来てもらえる関係があるか
2番目については、古い機械を予備として残すことに一定の合理性があります。ただし維持費と保管場所、そして譲渡時の評価を考えてください。予備として意味があるのか、単に処分していないだけなのかを区別する必要があります。
3番目は費用がかかりません。平時に「緊急時に借りられるか」を確認しておくだけです。
整備業者との関係を作る
自社でできることには限りがあります。外部の力が要ります。
関係づくりで押さえる点を挙げます。
- 年次点検を定期的に依頼する(困ったときだけ呼ぶ関係にしない)
- 機械の履歴を共有する
- 予防のための提案を聞く
- 緊急時の対応可能時間を確認する
- 複数の業者と関係を持つ
1番目が重要です。普段から依頼している会社と、故障時だけ連絡する会社では、対応の速さが違います。
5番目も現実的な備えです。1社に依存すると、その会社が忙しいときに待たされます。主と副を持ってください。
※ 点検項目と交換周期は機種によって異なります。取扱説明書および整備業者の助言に従って設定してください。