この業態に関わる許認可
事業の内容によって組み合わせが変わります。自社に当てはめて確認してください。
ほぼ必須:古物商許可
中古部品の売買を業として行うため、古物営業法に基づく許可が前提になります。窓口は都道府県の公安委員会で、申請は所在地を管轄する警察署を通じて行います。
この業態ではこの許可が事業の根幹です。にもかかわらず、長年の慣習で未取得のまま営業しているケースが見られます。承継の検討に入る前に、まず取得状況を確認してください。
解体を行うなら:解体業許可
自社で使用済自動車を解体して部品を取る場合は、自動車リサイクル法の解体業許可が必要です。他社から部品を仕入れて販売するだけであれば、この許可は不要と整理される場合があります。
つまり解体部門を持つかどうかで、必要な許認可が変わります。ここが解体業との大きな違いです。
該当すれば:産業廃棄物処理業許可
他社の委託を受けて廃棄物を扱う場合に必要です。自社で出た廃棄物を自ら運ぶ範囲では許可が不要とされる場合がありますが、基準の遵守は求められます。
該当すれば:引取業・フロン類回収業の登録
使用済自動車を最終所有者から引き取る、カーエアコンのフロン類を回収する場合に必要です。
輸出を行うなら:関連する手続き
中古部品を海外へ輸出する場合、品目や仕向地によって規制や手続きが関わることがあります。適用される内容は取り扱う品目と輸出先によって異なるため、個別の確認が必要です。
まず許認可の棚卸をする
承継の検討で最初にやるべき作業です。次を一覧にしてください。
- 保有する許可・登録の種類
- 許可番号
- 有効期限と更新時期
- 届出内容(営業所、代表者、管理者、扱う区分)が現状と一致しているか
4つ目が漏れやすい部分です。倉庫を増やした、管理者が退職した、扱う品目が増えた。こうした変更の届出が済んでいないケースが少なくありません。買い手から見れば、これは法令遵守体制への疑念になります。
スキーム別の扱い
株式譲渡
株主が変わるだけで法人格は維持されるため、許認可は原則そのまま残ります。操業を止めずに承継できる可能性が高く、この業態でも第一に検討すべきスキームです。
ただし、代表者や管理者が変わる場合は変更の届出が必要になります。また、許可の要件を引き続き満たし続ける必要があります。
事業譲渡
譲受側は別の法人なので、許認可は引き継がれないのが原則です。古物商許可も譲受側で取得し直すことになります。
実務上の論点は、取得までの期間です。その間、中古部品の売買を続けられるでしょうか。許可取得のスケジュールを軸にクロージング日を決める必要があります。
会社分割
部品販売部門だけを切り出す場合に検討されるスキームです。ただし許認可が自動的に承継されるとは限らず、根拠法令ごとに扱いが異なります。事前に管轄行政庁への確認が不可欠です。
個人事業・相続の場合
個人で古物商許可を受けている場合、その許可は個人に紐づきます。法人化するなら法人として取得し直すのが原則です。相続時の取扱いにも定めがありますので、事前に確認してください。
解体部門を持つ場合の設計
部品販売と解体を一体で運営している場合、承継の設計が複雑になります。
買い手が部品販売部門だけを求めるケースがあります。この場合、事業譲渡や会社分割が検討されますが、切り出した側で古物商許可の取得が必要になり、解体業許可の扱いも整理しなければなりません。
逆に、解体部門だけを譲るケースもあり得ます。いずれにせよ、どの許認可がどちらに残るのかを設計段階で明確にすることが前提です。
帳簿と記録の整理
許認可の有効性と並んで、記録の整理状況が問われます。
- 古物営業法上の帳簿:取引の年月日、古物の特徴、相手方の情報。作成と保存の義務がある
- 解体部門があれば:使用済自動車の移動報告、産業廃棄物マニフェスト、フロン類の回収記録
- 行政への届出の記録:変更届の控え、立入検査の結果と対応
これらはデューデリジェンスで確認されます。日々の記録が、そのまま管理体制の裏付けになります。
更新時期と承継時期を重ねない
実務上の助言です。許可の更新手続きとM&Aのクロージングが重なると、負担が集中します。更新には申請の準備期間があり、審査にも時間がかかります。
保有する許可の有効期限を一覧化し、承継のスケジュールと突き合わせておくことをおすすめします。
まとめ
リサイクル部品販売業の許認可は、古物商許可が中心です。解体を自社で行うかどうかで解体業許可の要否が変わり、産廃許可や引取業・フロン類回収業の登録も事業内容に応じて関わります。
承継では、株式譲渡なら原則そのまま残り、事業譲渡では取り直しが原則です。会社分割は根拠法令ごとに扱いが異なります。解体部門を持つ場合は、どの許認可がどちらに残るかを設計段階で明確にしてください。
まずは許認可の棚卸から始め、届出内容が現状と一致しているかを点検してください。取扱いは管轄行政庁の運用によって異なりますので、必ず事前確認を行ってください。
※ 許認可の必要性の判断、有効期間、承継時の取扱い、輸出に関わる規制は、事業の実態および法令の改正・管轄行政庁の運用によって異なります。本記事は一般的な考え方を整理したものです。実際の対応にあたっては、管轄の行政庁および専門家にご確認ください。