属人化すると何が起きるか
- 同じ内容で、対応する人によって結果が変わる
- 強く言う相手に譲り、そうでない相手に厳しくなる
- 判断できる人が不在だと止まる
- 損失の額が把握されない
- 原因の分析ができず、繰り返す
- 担当者の負担が偏る
2番目が信頼を損ないます。同業者の間で「あそこは押せば通る」と伝わります。
4番目も経営の問題です。返品にいくら使っているかが分からなければ、対策の優先順位が決まりません。
類型ごとに基準を決める
来る内容には型があります。それぞれの扱いを決めてください。
- 適合しない:品番の照合をどちらの責任にしたか。表示に誤りがあったか。
- 動作しない:確認済みとして売ったか。保証の範囲内か。
- 説明と違う:写真や説明に記載があったか。
- 輸送中の破損:発送時の写真があるか。運送会社の扱いか。
- 取り付け後に不具合:部品の問題か、取り付けの問題か。
- 買った側の都合:条件として受けるか。
5番目が最も判断が難しい類型です。基準を決めておかないと、その場の力関係で決まります。
1番目と3番目は、自社の表示に誤りがあったかどうかで分けられます。誤りがあれば受ける、なければ条件によるという形にできます。
対応の選択肢を定める
受けると決めた場合の対応も、段階を作ってください。
- 全額返金し、送料も負担する
- 全額返金し、送料は相手負担
- 同等品と交換する
- 一部を返金する
- 次回の取引で調整する
- 受けない
3番目を使えると損失が小さくなります。在庫に同等品があれば、交換のほうが双方に得です。
4番目も実務的な着地点です。取り付けてしまった後など、返品が難しい場合に使えます。
どの類型でどの対応を取るかを、表にしてください。それが基準になります。
誰が判断するか
- 金額の上限を決め、その範囲は担当者が判断する
- 上限を超える場合は責任者が判断する
- 基準にない事例は責任者に上げる
- 判断した内容を記録する
1番目が要点です。「1万円までは現場が判断してよい」と決めれば、その範囲は止まりません。
3番目で出てきた事例を基準に追加していけば、表が育ちます。判断できる範囲が徐々に広がります。
記録に残す内容
- 発生日
- 相手
- 商品と販売額
- 申し出の内容
- 類型
- 対応の内容と金額
- 判断した人
- 原因
- 再発防止のためにしたこと
8番目と9番目を必ず書いてください。対応の記録だけでは、同じことが繰り返されます。
原因の欄には、写真が不足していた、説明に書いていなかった、動作確認をしていなかった、といった具体的な内容を書いてください。
原因を集計して減らす
3か月分たまったら、原因ごとに数えてください。
- 写真が不足していた件数
- 説明が不足していた件数
- 適合の確認が不十分だった件数
- 動作確認をしていなかった件数
- 梱包が原因の件数
- 相手の都合による件数
最も多い原因から手を打ってください。件数の多い1つを直せば、返品の大部分が減ることがあります。
そして品目別にも見てください。特定の品目で返品が集中している場合、その品目の扱い方を変える判断になります。
相手に伝える形を作る
基準があっても、伝え方で受け取られ方が変わります。
- まず内容を最後まで聞く
- 事実を確認する(写真、記録、伝票)
- 判断の根拠を示す
- できることを提示する
- 受けられない場合、理由を説明する
- やりとりを記録する
3番目が納得を得る鍵です。「規定だから」ではなく、「掲載時にこう書いていた」と示せれば、話が収まります。
だからこそ、掲載時の情報を残しておく必要があります。売れた後も、そのときの写真と説明を保管してください。
採算に反映する
- 返品による損失の総額
- 品目別の返品率
- 売上に対する損失の比率
2番目を見て、品目の扱いを判断してください。返品率が高い品目は、他が黒字でも全体を赤字にします。
説明を改めても率が下がらない品目は、扱いをやめるか、条件を明示して安く出す。どちらかの判断が必要です。
基準を相手にも示す
社内の基準を、取引の条件として外に出してください。
- 保証の期間と範囲
- 返品を受ける条件
- 送料の負担
- 取り付け工賃の扱い
- 申し出の期限
5番目を入れてください。期限がなければ、半年後の申し出も受けることになります。
条件を先に示せば、それに納得した相手だけが買います。争いの多くは、条件を示していないことから起きています。
担当者を守る
- 強く言われても基準どおりに対応してよいと伝える
- 判断に迷ったら上げてよいと伝える
- その場で結論を出さなくてよいと伝える
- 対応の記録を評価に反映する
3番目が担当者の負担を軽くします。「確認して折り返します」と言える状態にしておいてください。
※ 返品や保証の取扱いには法令上の要件があります。具体的な条件設計は専門家にご相談ください。