制度の枠組みが違う
自動車リサイクル法は、四輪の自動車を対象としています。二輪車はこの対象外です。
したがって、次のことが当てはまりません。
- リサイクル料金の預託の仕組み
- 引取から破砕までの移動報告
- フロン類、エアバッグ類、ASRの引取義務
- 解体業許可の対象としての扱い
二輪車については、業界による自主的な取り組みとして回収の仕組みが設けられてきました。四輪と同じ手続きを想定して動くと、実務がかみ合いません。
では何に従うのか
自動車リサイクル法の対象外であっても、他の法令は適用されます。
廃棄物処理法
使用済みの二輪車や、そこから出る廃棄物の扱いには廃棄物処理法が関わります。
- 有価物なのか廃棄物なのかの判断
- 他社の廃棄物を運ぶ場合、収集運搬業の許可
- 処分を行う場合、処分業の許可
- マニフェストの運用
ここが最も見落とされる部分です。四輪の解体業許可を持っているからといって、二輪について何でもできるわけではありません。
古物営業法
中古の二輪車や部品を買い取って売るなら、古物商許可が関わります。四輪と同様の考え方です。
その他
- 廃油、燃料、バッテリーの扱い(消防法、水質関係)
- ヤード条例(二輪も対象になる場合があります)
- 労働安全衛生関係
登録の抹消手続き
二輪車の登録は、排気量によって手続きの窓口と方法が変わります。
- 小型の原動機付自転車:市町村の手続き
- 軽二輪:陸運局の手続き
- 小型二輪:陸運局の手続き
四輪とは異なる書類と流れになるため、区分ごとの手続きを整理しておいてください。
また、所有者本人が手続きするのか、事業者が代行するのかで必要書類が変わります。お客様に説明できる状態にしておくことが、トラブルを防ぎます。
実務上の注意点
盗難車のリスク
二輪車は四輪より盗難が起きやすく、持ち込まれる可能性もあります。
- 車体番号を確認する
- 番号が削られている、打ち直された形跡があれば受け取らない
- 所有者と持ち込んだ人が一致するか確認する
- 書類が揃わない場合の対応を決めておく
断る基準を文書にして、現場の全員が同じ判断をできるようにしてください。
燃料とバッテリー
量は少ないですが、扱いは四輪と同じ注意が必要です。特に燃料タンクは、抜き取りを確実に行ってください。
電動二輪
電動の二輪車が増えてきています。リチウムイオンバッテリーを搭載しているため、四輪の駆動用電池と同様の注意が必要です。
取り外し、保管、引渡先の確保。四輪より小型ですが、発熱・発火のリスクは同じです。区分して保管してください。
収益構造
1台あたりの規模は四輪より小さくなります。
- 素材としての重量が少ない
- 1台あたりの作業時間は短い
- 部品の点数は少ないが、単価が高いものがある
- 人気車種、旧車は部品の需要が高い
4番目が収益の鍵になります。車種によって部品の価値が大きく違います。見極めができるかどうかが差になります。
また、海外への需要がある部品もあります。販路の選択肢として検討の余地があります。
四輪と併せて扱う場合
実務では、四輪の解体業者が二輪も扱っているケースがあります。この場合の注意点を挙げます。
- 手続きを混同しない:移動報告の対象になるのは四輪だけです。
- 保管場所を分ける:混在すると管理ができません。
- 許可の範囲を確認する:二輪の処理について、どの許可が必要かを整理する。
- 記録を分ける:台数、収益、費用を分けて把握する。
4番目が経営判断につながります。二輪が採算に合っているのかを、四輪と混ぜずに測ってください。
場所を取り、手間はかかるが金額は小さい、という結果になることがあります。その場合、扱う車種を絞るという判断もあり得ます。
承継の場面で
二輪を扱っている場合、次の点を整理しておいてください。
- 二輪について、どの許認可に基づいて処理しているか
- 登録抹消の手続きの流れが文書になっているか
- 二輪の収益と費用が分けて把握されているか
- 電動二輪への対応方針
買い手にとって、制度の枠組みが違う事業が混在していることは確認事項になります。整理されていれば説明が済みますが、曖昧なままだとリスクとして見られます。
扱う車種を絞るという判断
二輪は1台あたりの規模が小さいため、すべてを受け入れると効率が落ちます。
絞る基準の例を挙げます。
- 部品需要のある車種、排気量帯に限る
- 旧車や人気車種は積極的に受ける
- 原付の量産車は、素材としての価値で判断する
- 電動二輪は、引渡先が確保できるまで受けない
基準を決めて現場に共有すれば、判断が速くなります。断ることを許可しておかないと、現場は全部受けてしまいます。
そして年に一度、実績を見て基準を見直してください。部品需要は車種の流行によって変わります。 測っていれば「この車種は思ったより売れなかった」という判断ができます。
※ 二輪車の処理に関する制度や手続きは、車両区分と地域によって異なります。必要な許可や手続きは所管の窓口へご確認ください。