なぜ排出側の責任が続くのか
廃棄物を出した事業者には、最終処分まで適正に行われることを確認する責任があります。
この考え方があるため、次のことが起こり得ます。
- 委託先が不法投棄していた場合、排出事業者にも措置が求められる可能性がある
- 委託先の許可が失効していた場合、無許可業者への委託として問題になる
- 再委託されていた場合、確認していなかった責任が問われる
「知らなかった」では免れない構造だと理解してください。だから継続的な確認が必要になります。
確認すべき4つのこと
① 許可が有効か
最も基本的な確認です。
- 許可証の写しを受け取っているか
- 有効期限が切れていないか
- 委託している品目が、許可の範囲に含まれているか
- 運搬の区域が許可の範囲か
3番目を見落としがちです。許可はあっても、その品目が対象外という場合があります。品目ごとに確認してください。
② 処理能力があるか
- 施設の処理能力に対して、受け入れ量が過大でないか
- 保管量が上限を超えていないか
- 受け入れを断られたことがあるか
能力を超えて受け入れている業者は、いずれ処理が滞ります。その滞りが、不適正処理につながります。
③ 実際に処理しているか
- マニフェストの返送が期限内に来ているか
- 処分の内容が契約と一致しているか
- 再委託していないか
④ 行政処分の履歴がないか
行政処分の情報は公表されることがあります。定期的に確認してください。
実地で見る
書面の確認だけでは分からないことがあります。可能であれば、施設を見に行ってください。
見るべき点を挙げます。
- 敷地に廃棄物が過剰に溜まっていないか
- 保管の状態が適切か(区分、囲い、高さ)
- 処理設備が稼働しているか
- 掲示板の記載が現行か
- 従業員が働いている実態があるか
1番目が最も分かりやすい兆候です。山積みになっている施設は、処理が追いついていません。
年に一度、あるいは新規に委託する前に見に行く。この一手が、大きなリスクを避けます。
記録を残す
確認したことを記録してください。委託先ごとに、次を残します。
- 許可証の写し(受け取った日付を記入)
- 許可の有効期限
- 確認した日と、確認した人
- 実地確認の記録(日付、見た内容、写真)
- やりとりの履歴
この記録が、「確認していた」ことの証明になります。万が一委託先に問題が生じた場合、確認を尽くしていたかどうかが問われます。
ファイルを委託先ごとに分け、1つの場所にまとめてください。担当者以外も探せる状態にしておくことが大切です。
複数化する
委託先が1社しかないと、次の問題が生じます。
- 受け入れを止められたら、廃棄物が溜まり続ける
- 値上げを受け入れるしかない
- 問題が発覚しても、切り替えられない
3番目が最も深刻です。「切り替え先がないから続けるしかない」という状況を作らないこと。
主要な品目については、代替の委託先を確保してください。実際に少量でも委託した実績があるかどうかで、緊急時に使えるかが変わります。
確認の担当を決める
この業務は、決めておかないと誰もやりません。
- 誰が確認するのか
- いつ確認するのか(許可の更新時期に合わせる、年に一度、など)
- 不備が見つかったら誰に報告するのか
- 記録をどこに残すのか
そして年間のカレンダーに入れてください。「気づいたときにやる」では、数年間確認していない状態になります。
承継の場面で問われる点
買い手はここを重点的に確認します。理由は、過去の不適正処理の責任が引き継がれる可能性があるからです。
見られるのは次の点です。
- 委託先の一覧が整理されているか
- 許可証の写しが揃い、有効期限が管理されているか
- 確認した記録があるか
- マニフェストの未回収がないか
- 行政処分を受けた業者に委託していないか
- 代替の委託先が確保されているか
3番目が差になります。「確認していました」と口で言うのと、記録を示すのとでは、まったく違います。
今からファイルを整え、確認の記録を残し始めれば、数年後には履歴になります。委託先の許可の更新時期に合わせて、写しを依頼するところから始めてください。
年間の予定に組み込む
確認は「思い出したときにやる」では続きません。予定として固定してください。
組み込み方の例を挙げます。
- 期初:委託先の一覧を更新し、許可の有効期限を確認する
- 四半期ごと:マニフェストの未回収を確認する
- 年1回:主要な委託先の施設を見に行く
- 許可の更新時期:新しい許可証の写しを依頼する
- 随時:行政処分の情報を確認する
3番目は手間ですが、書面では分からないことが見えます。年に1社ずつでも構いません。数年で主要な先を一巡できます。
そして訪問した記録を残してください。これが「確認を尽くしていた」ことの最も強い証拠になります。
※ 排出事業者の責任の範囲や必要な確認の程度は、法令の運用によって異なります。個別の対応は所管の自治体窓口および専門家へご確認ください。